公益財団法人日本ダウン症協会2018年度相談員研修会報告
佐々木和子 〜「親あるあいだ」の準備〜
今回の研修会の内容は、親ならば一番、気にしている内容だと思います。 ◎老障介護(8050問題:親80才子50才)の悲劇を起こさないために *「親なきあと」の心配がなくなるほどの社会資源は、残念ながらありません。 *でも社会との接点があれば、どこかで救ってもらうくらいの福祉の体制はあります。 *法制度やサービスは変化し続けています。子どもがより質の高い生活を送れるために、知識と情報を得るようにしましょう。 親なきあとを考えるにあたって、以上の3点は最重要点です。 ◎親なきあとの 〇障害者の生活を支える収入:障害基礎年金、給料、工賃、遺産、他 〇住居:自宅、賃貸、グループホーム、入居施設 〇自立のために利用できるサポート制度と仕組み:障害者総合支援法 成年後見人制度 他 ◎暮らしの場によって違う生活費 *入所施設:一定のお金が残るように設計されている *グループホーム:基本は障害基礎年金でまかなえるようになっている。 *賃貸住宅に住む:家賃に対する金銭的な助成措置はないが、入居に必要な支援を行う、居住サポート事業あり。 ◎「親なきあと」の生活を支える仕組み *お金をどうやって残すか:遺言や信託の活用 *お金をどうやって管理するのか:成年後見人制度と日常生活自立支援事業の活用 子どもの生活能力に合わせて、これらを組み合わせる。 ◎本人がお金で困らないためには、たくさん残すことより、そのお金が本人の将来のために使われる仕組みを準備することが大切です。 遺言の基礎知識、信託制度の情報、障害者扶養共済制度、成年後見人制度の基礎知識については渡辺伸氏の著書を参考にしてください。 今年の9月に最新版がでます。 ◎今からやっておくべき準備は何か? *将来のことについて家族で話あってみる→何かを決める必要はない *一人暮らしの練習を始める→ショートステイの利用 *「ライフスタイルカルテ」(ラスカル)を作ってみる:親がいなくなったとき、子どものことを知ってもらう→「親心の記録」(事務局にあります) ◎ある二人の事例 *知的障害のある50代の男性。親が資産を遺してくれたが本人は施設に入っていて、使い道が無い。ただし、手厚い支援を受けることができている。 *身体と精神の障害がある40代の女性。年金受給できず生活保護を受け、措置でGH入所。若いころから作業所に通っていて社会との接点はずっとあり、何か問題があると本人を支える人が集まる体制ができている。 ↓ ★社会との接点があることで安心安定した生活を続けられている。 お金の有無は関係ない。 |