京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(1996年8月号 掲載)
「出生前診断を考える会」を開催しました。

 トライアングル臨時号にてお知らせしておりました「出生前診断を考える会」を7月28日(日)、障害者スポーツセンターにて開催しました。

 パネラーに、浜辺さん(ご自身が四肢障害)池田さん(二分脊椎親の会)井田先生(産婦人科医)岩佐さん(弁護士)利光さん(優生思想を問うネットワーク)武部先生(遺伝学の立場から)をお迎えし、それぞれの立場でお話していただきました。

 浜辺さんは生まれつき右腕がないのですが、片手とはいえ大抵のことは出来たわけですから障害を持ちながらの生活というより健常者としての生活をしてきたと思います。しかし、できるから自分は障害者でなく健常者なのかと思うと、自分は差別をしていないとは言えないのではないかと気付きました。結婚し、第1子を妊娠した時義手をはずし、よりいっそう、生きること、ひいては生まれてくる命そのものについて考えるようになりました。そして「自分が生まれてきて良かった」というより、親が「産んで良かった」と思ってほしいと思っている等をお話してくださいました。

 池田さんは、二分脊椎についての説明と二分脊椎の子供は生まれてすぐ障害を知らされるのと同時に手術がまっていること、その手術が繰り返される現実の厳しさ、それでもこの子が生まれて良かったと思っているお話、井田先生は現在の先端医療の現場のお話、岩佐さんは医者も政治家も一定の割合でいい人がいるので、諦めずに霞が関にもの言っていけばいいとアドバイスをいただきました。

 利光さんは女と障害を持つ人が一緒に社会が持つ諸々の問題について考えているが、このトリプルマーカーテストについては全妊婦を対象としたスクリーニングで、こんな曖昧な検査はやるべきではないと発言されました。

] 最後に武部先生が、遺伝というのは、全部が違うということを前提としていて差ではない。治すことは、治らないことを否定しているのではない。人間とはもともと如何わしいもの、それをしっかり自覚しなければならない。と締め括ってくださいました。

 「考える会」を企画した時はどんな形にするのか、決まっていないまま会報に載せたのですが、アンケートの回収が進むにつれ思いもかけない反響がありました。この問題はダウン症の親の会だけで終わってはいけない、もっといろんな意見を聞かなければと思い、急きょ、今回のような形になりました。

 パネラーだけでなく、参加して下さった方からもたくさん意見が出てとてもいい会になりました。時間がなくて討論になりきれなかった事が残念でした。アンケートの集計がもっと進んだら、是非、もう一度開きたいと思っております。


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