京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2008年12月号 掲載)
アキト就学時健診を受けて、いよいよ小学校へ・・・

小寺さちこ

 アキトも早いもので来春、就学。地域の小学校の普通学級か、育成学級か、総合支援学校か・・・考えに考えた。
 将来のこと、どんなふうに育ってほしいか、育てたいか・・・、何がこの子にとって生きる力になるのか・・・。真剣に考えながらも、ふと、“みんなと一緒に普通学級に行くのが当たり前やん!何でフツーに行くのに理由を問われなあかんねん!”と腹も立つ。それでもいろいろ考え、普通学級へ行かせようと心に決めた。
 そして、普通学級へ行かせたいと思ったときからずっと、いつか学校と対決(?)しなければならない日がくるのだと、びびっていた。8月の出産を終えたら・・・と、先のばしにして、あっという間に10月。小学校の校長先生に手紙をかいた。

「私の息子はダウン症です・・・普通学級に行かせたい・・・就学時健診は行きますが、どんな判定がでても知能テストは受けさせたくありません・・・」と。一語一句、想いをこめて手紙を書き、小学校へ持って行った。
 そして、校長先生より連絡があり、面談することになる。想いを伝えたという安心感からか、校長室のフカフカのソファーで、話をしながら、2ヶ月のみすずのオムツを替えている自分にちょっとびっくりした(笑)。
校長先生の返答は「前向きに検討します。就学時健診の様子をみて・・・」。

 そして、いよいよ迎えた就学時健診当日。
親と子は別れて、子どもは6年生のお姉さんと手をつなぎ健診をまわることになっているのだが・・・やっぱり心配したとおり。アキトは、案内役の女の子の手をふりほどき、泣いて、私にすがりつく。結局、いっしょに健診をついてまわり、終了して、他の子どもたちが、親を待っている体育館へ。
その後、私も少しだけ、親たちの集まっている別室へ顔をだそうと、アキトを体育館へ残し、別室へむかった。

 その20分の間にアキトはオシッコをちびる・・・。保健室へ連れて行ったと聞き、むかえに行くと、私の顔を見たとたん、真っ赤な目で、泣きながらとびついてきたアキト。ものすごく緊張して頑張ってたんだと思うと私まで涙がでそうになる。
 保健室の先生がいろいろ気を使って声をかけてくれ、やっと気がゆるむアキトと私。「(学校にくるのを)待ってるよ」「(トイレを失敗しても)保健室で着換えをあづかっておくし、着換えさせてあげるから大丈夫よ〜」とのやさしい言葉に、思わず涙がこぼれそうになる。
健診が始まってから、「お名前は?」と何度聞かれても、何を言われてもウンともスンとも言わなかったアキトが、保健の先生が差しだした手にタッチをし、「バイバ〜イ」と手をふっていた。

 そして・・・校長先生との面談で「とりあえず1年は・・・」と普通学級への入学を認められた。フウ〜ッ・・・念願の普通学級入学である。まさか、2回の面談でOKがもらえるとは思っていなかったので、ヨロヨロと気が抜けた感じである(笑)。

 それからは・・・「アキトぉランドセルは何色がいいかなあ?リュックがいいかなあ?・・・」と入学に思いを馳せる毎日。
いろんな心配は、とりあえず、入学してからにしよう、と自分に言い聞かせながら・・・。

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