京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2008年12月号 掲載)
花奈子21歳、同窓会のお知らせ

柵木 郷子

 10月の初め我が家のポストに一枚のA4サイズの印刷物が投函されていました。同窓会のお知らせ、え?誰の?よく見てみると次女の小学校時代の同級生の男の子からのもので、出欠の連絡をするようにと電話番号、メールアドレスが記されていました。

 地域の小学校に入学したのは今から14年前で6年間普通学級に通っていました。卒業後初めての同窓会でした。しかし、娘が参加すると言うことは私が同行することになるし、嫌がられないかな?行っていいものか。とにかく花奈に聞いてみる。同窓会に行く?小学校の時のYちゃん、Cちゃん、Oちゃん達に会えると思うし、皆と一緒にご飯たべる?一回目の返事は、もういいわ。聞いたときのタイミングが悪かった。お腹がすいている時だった。違う日にまた聞いてみる。同窓会にいく?いいよ。フィフティー、フィフティーの答えにさてさてどうしたものか?お気楽な夫に聞いてみる、別にいいやん?そうかな?とりあえず勇気をだしてI君に電話をしてみる、花菜子のおばちゃんやけど、同窓会に一緒に行ってもいいか?いいっすよ、と軽快な返事をもらう。

 さてさて同窓会の当日、娘と一緒に会場であるA君の家の店に行くと玄関で男子軍団が迎えてくれた。花奈もその子達を覚えていた様で声かけしてもらい顔が緩んでいた。二階に上がるなり、柵木さん憶えてる?Yやで、と声かけしてくれたのは、低学年の時に娘の隣の席に良く座ってくれた男の子で、花奈ちゃんが鼻を出してたし拭いといたと言ってくれていた子。久しく会っていなかった女子軍団も花奈の横に来てくれて、何で私と目を合わさへんの?恥ずかしいの?と話しかけてくれていた。

 ビールを注いでもらい、乾杯し、一緒にご飯を食べ、ほろ酔い気分もあってか、くつろぎながら同級生の顔を見て名前を言っている姫でした。シャメ撮ろう、ソフトドリンク持ってこようか?ビール飲めるんや、花奈食べてる? 皆、成長していました。G君がニコニコしながら柵木さん憶えてる?と近寄って来てくれた。花奈ちゃんとこからもらった写真でとてもいい表情をしているのを今も飾っていて、柵木さんどうしてるかな?と思ってた。僕は今、入所施設で仕事をしてるねん、柵木さんは何処に行っているの?花奈はS学園に通ってると伝えると、え?まじ?そこにYチャンと言うスタッフいませんか?いるいる、花奈と同じ班で毎日サポートしてくれてるよ。と伝えると、僕とその子は同じ専門学校の同級生なんですよ。とても良く知っているんです。と話してくれたのは驚きでした。

 一足先に帰るとき幹事のA君が柵木バイバイ、花奈もそちらの方を向いてにっこりと手を振りました。A君の声に気付いた他の子達もバイバイと言ってくれ、又同じように花菜も皆に手を振りました。三回目A君が柵木バイバイと又言ってくれました。花奈も手を振りました。今度は後ろ向きで。普通は一回で充分と思っている姫です。

 翌日、皆に会えて楽しかったか?と聞くと、優しい顔つきで、うん、とうなずいていたのがとても印象的でした。同級生と娘が違和感なく、自然にとけ込み、タイムスリップした様な優しい雰囲気は、良い時も悪い時も6年間を共に過ごし同じ釜のご飯を食べた仲間だったからかな?そして4年間、花菜の担任をして下さった先生もきっとあの場所で、同じ様に感じて下さったとのではと思った素敵な素敵な夕刻でした。

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