11月22日(日)京都市障害者スポーツセンターにて福井達雨先生の講演会を行いました。2人の止揚シスターズにもお越しいただきました。 聴講者56名、保育の子ども15名、ボランティアさん10名の参加。 講演は止揚シスターズ、西村美紀さんのキーボード演奏と西竹めぐみさんの歌唱による『弱いことってすてきやなあ』で始まりました。その後も講演は合間に手作りの歌をはさんで進められます。 福井先生が創設された知能に重い障害をもつ子どもの施設「止揚学園」の「止揚」とは、哲学者ヘーゲルが使っていたドイツ語の「アウフヘーベン」を直訳したもので、「2つの相反するものがぶつかって1つになり、古いものを捨てて新しいものが生まれ前へ進んでいく」という意味だそうです。障がいをもつ仲間と、もたない仲間がぶつかって1つになって、差別がある社会から、すべての人が胸をはって生きていける社会に進もうという思いからそう名づけたとの説明がありました。 「僕は母親が嫌いでした。第二次世界大戦の激しい頃、クリスチャンの母親は「戦争は間違いだ、天皇は人間だ」と言って留置場に入れられ非国民と言われ、僕は“非国民の子ども”と呼ばれ、小・中学校の友だちは一人もいません」という話で始まりました。そんな福井先生が20才の時に知能に障がいをもつ子と出会った時、「自分と同じだ」と思われたそうです。「僕は日本人の子として存在していたけれど、日本人の仲間に入れてもらえなかった。所属がなかった。障害をもつ子どもたちは日本の子どもなのに日本人に入れてもらっていない。僕と同じだな、僕と同じ悲しみを持っているのと違うかな」と思われたそうです。差別と区別の違いは、所属があるかどうか。障害を持っている持っていないは区別だけれど、「障がいを持っているから仲間にいれてあげない」というのは所属を奪っているから差別になる。 福井先生が高校2年生の時に亡くなられたお母様が言われた言葉、「偉い人より立派な人になりなさい。見えるものより見えないものを大切にしなさい」。 見えるもの‥地位、財産、お金、それらをたくさんもったエライ人より、見えないもの‥思想、情熱、心を豊かにもった立派な人になること。それを信条に57年間、福祉に携わってこられた福井先生が、「知能に重い障がいをもった仲間から“やさしさ”って何かを教えられてきました。弱さを持っているからこんなにやさしい心を持っている」と言われ、もう一度最初の『弱いことってすてきやなあ』の歌を聴くと、その歌詞が心に響いてきました。最後に、キング牧師の言葉、「助けを必要とする他者のためになにかをすること、これ以上に偉大なことはこの世にはない」と締めくくられました。福井先生は福祉問題で社会と闘う激しさから、「若い頃は“鬼の福井”と言われた」とおっしゃっていましたが、そんなことは少しも感じられない、やさしくて心が温かくなるお話でした。 帰り際に「高平さん(有香ちゃん)に「話がよかった」と言ってもらったので安心した」と笑顔で言われ、トライアングルの子たちが「また来てね」と手を振ってお別れしました。 講演のテープおこしは次号の会報に掲載予定です。 (近藤) |