京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2010年12月号 掲載)
あきとの運動会

小寺さちこ

 やっとアキトの運動会が終わってホッと一息。夏休み明けから毎日、運動会の練習でクタクタになって帰ってきた。練習がイヤで毎朝の登校を嫌がるアキトを励ますのに私も疲れていた。

 やっと迎えた当日。二年生になって運動会は二回目だといっても、やっぱりみんなといっしょに行進している姿に感動する(笑)。
 障害物競走も80m走もニコニコしながら完走。障害物競走で、ぶら下がっているタンバリンを叩くコーナーのとき、みんな走りながらタンバリンに軽くタッチして走り抜けているのに、アキトは立ち止り、まず掌にハアッ〜と息を吹きかけ、勢いをつけてニコニコしながら…まるで誰かにハイタッチしているような感じ。そして嬉しそうにゴール!アキトらしい走りに笑ってしまう。スピードも順位ももちろんおかまいなしだ。

 そして…、全ての競技が終わり、先生たちが猛スピードで片づけ始め、子どもたちは各自イスを教室まで運んでいた。相当疲れているだろうに、アキトもみんなと同じようにイスと荷物を一生懸命ひとりで運んでいる。かけよって手伝いたい気持ちを抑えて、遠くから見ていると涙がでそうになる。みんなどんどん教室へ行って、アキトは最後だ。さすがに2階までイスを持って階段を上るのは無理だろうし危ないし、どうするんだろう…どうしよう…と思いながら、階段の下で靴を履き替えるアキトをみていたら、同じクラスのナナちゃんが「あきちゃ〜ん!」と呼びながら戻ってきてくれた。そして、当たり前のようにイスと荷物をさっと持って階段を上がって行ってくれた。こんな瞬間、普段の学校生活に対する余計な心配でもやもやしている心が、す〜っと洗われる気がする。嬉しくてホッとして…。やっぱり、周りの子どもたちはあったかい…大丈夫!だと。アキトはアキトで学校に一歩入ったら本当に頑張ってるんだなあ…と、しみじみ感動する。友だちの力はすごい!親の私には絶対してやれないことがいっぱいある。大人がどんなに頑張っても、仲間の力にはかなわない。


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