京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2013年12月号 掲載)
長谷川先生 講演会「ダウン症がある人の
成人期も良い健康を保つために」報告

 11月23日、日本中、いや世界中を忙しくかけ回っておられる長谷川知子先生をおむかえして講演会を開催しました。会場には会員以外にも、元会員さん、作業所の職員さん、一般の方も含めて76人の方が参加して下さいました。

 先生のお話は先ず、身体のことから。「皆さん! いつまでも健康な生活を!」とレジュメの最初に書かれていて、「ダウン症の方だけじゃなく、家族みんなの健康が大事」と開口一番言われた言葉は身にしみました。
「年齢に合った健康診断を定期的に受けましょう」ということから、かかりやすい病気、お薬がききすぎることがあること等、細かくお話し下さいました。ダウン症を持つ人は身体の不調を訴えないこともよくあり、身体の異状が続くと能力低下に陥りやすいから、定期健診と、かかりつけ医をきめておき、「変だ」と思ったらすぐ受診を! とくり返されました。そして、どんな時でも、本人をとびこえないで、ちゃんと説明すること。それも一方的な説明ではなく、話しあって本人の思いを汲み、本人の了承を得ることが必要と話して下さいました。

 次は心のおはなし。レジュメには「「問題行動」という言葉は、その人が問題という意味ではなく、その人を取り巻く全ての人的・物的環境に問題があるという意味であり、その問題を周囲が適切に解決してほしいという期待も込められている。英語ではchallenging behavior」と書かれていました。そして、おとなになってから注意してもロクなことはないわよ。NOを言わないで、NOを伝えてと。悪い事した時おこるより、いいことしたらほめてあげてとも言われました。

 フロアからの質問には、基本は同じ人間なのよ、ダウン症とばかり考えがちだけど、それってごく普通のことじゃないと繰り返し答えられてました。「どうせボクなんか・・」って思ったり、「つまらない仕事」って思ってしまったら、がんばる気持ちになれないし、恋をすればぼーっとするし、失恋すればつらくて悲しくて何にも手につかないし・・。でもそれって、みんなふつうのことよね。
 お母さん、あんまりピリピリしないで「私もそんなことあったわ」って言って放っときなさい。ウーウーって言うのは、しゃべってるつもりなのよ。だからやめさせないでね。ひとりごとだって頭の中のごちゃごちゃを整理しようとして私たちだって言う時あるよね。ただ、場所を考えて、自分の部屋で言うとかすればいいのよ。仕事場で悪いことしたら、ちゃんと叱ってもらわなきゃね。一度でダメなら何度でもね・・・etc.  先生の答えをきいて、思いあたることがあるようで、ふわあ〜っと表情が明るくなったお母さんが何人もおられました。

 最後に作業所の職員さんが手をあげて、「私たちは強いです。お母さん、もっと私たちにまかせて下さい」と言って下さった時は、ありがたくて大きな拍手でした。

 別室では、ボランティアさんが子どもたちと遊び、ホットケーキを作り、絵を描いたり、お面を作ったり・・。女の子にネイルをして下さる方まで来て下さり、沢山の人たちに支えられて講演会を無事終了することができました。
ボランティアさんたち、ありがとう。
長谷川先生、ありがとうございました。また来てください。

 長谷川先生が監訳された本「ダウン症のある成人に役立つメンタルヘルス・ハンドブック」(定価3,990円のところ3,600円に値引き)がまだ何冊か事務局に残っています。必要な方はなるべく早目にお申し出下さい。(島崎)

 

会報No.169のindexへもどる
会報バックナンバーのindexへもどる

homeへもどる