京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2016年12月号 掲載)
井上摩耶子さん講演会

 11月20日に井上摩耶子さんを講師に招き、「成人期の問題を考える講演会1」を開催しました。
障害者に対する性暴力の話だけでなく、男性中心社会において、性暴力を受けた女性の訴えに、裁判官すら、被害の状況を理解しない現実があることなど、幅広いお話しで、大変、勉強になりました。
 京都府では、性暴力被害を受けた方に対して、被害直後から中長期にわたる総合的な支援を行うため、行政、医療機関、警察、弁護士会、民間団体等が連携し、「京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター」(愛称:京都SARA)を開設しています。
 ワンストップとは被害者の相談内容を部署ごとにバラバラにせず、一カ所で全て対応していく、という意味です。被害者の負担をできるだけ少なくするためです。
 講演後の意見交換、その後の感想も貴重なものでした。
 
感想
◎本日はありがとうございました。
小学校の頃から私なりに説明してきたつもりですが、成人してから、かえって話をしなくなりました。
今後の関わりの参考にさせていただきます。
 
◎私自身も性教育については、ちょっと…という気はずかしい所があり、あまり、乗り気ではなかったのだけれど、障害の子ども達の被害が実際にある事が、やっぱりと思っていたけど、ショックでした。
日本も、小さいうちから性教育をしていく事が大切だと痛感しました。
しかし、大きな課題であると思いました。
 
◎子どもたちに上手く性について伝えられないのは、親である私たちがまともに性教育を受けてきていないことにあると思います。昔から、性被害に会う事を「いたずらされた」という表現を今だに使われることに怒りすら覚えます。
性に関する情報ばかりがあふれている今の社会で、障害を持つ子どもたちを守る、また子どもたちに自分を守る力をつけるのには、親・学校などがきちんと取り組んでいかなければいけないと思いました。
 
◎実際におきた事例を挙げての井上先生のお話は、自分の子どもと重ねて考えることができ、とてもわかりやすく、聴き入ってしまいました。貴重なお話ありがとうございました。大切なテーマの企画、ありがとうございました。
当日の質疑応答でも感想を述べさせていただきましたが、、、、、
女子の親として犯罪被害者に(加害者にも)ならないようにどう教えたらいいのか、常に思案していました。なので「中度・重度障害者だから(被害にあうような一人でのお出掛けしないし)、安心している」「生殖能力が低いので結婚はない?」というような先輩お母さんたちの意見を聞き、驚き、正直憤りすら感じました。先生のお話にあったように、親や支援者の目の届かないところでの性犯罪はどんな子どもにも起こりえます(言いにくいですが、同級生だって先生だって加害者・被害者になりえます)。防止策はもちろんですが、イタズラなどを含む性犯罪があった時に、本人がまずそれに違和感を覚えることができ、必ず信頼できる人に相談できるように どう教えるか考えていきたいと思います。
また、ダウン症者たちは言葉でのコミュニケーションが弱いのだから、「ハグ」や気になる人を「見つめるだけの行為」は大目に見てあげて、という成人親からの意見がありました。でも、本人の気持ちのみ慮るのではなく、される相手にも気持ちや感覚があることを教えるのが、周りの人の誤解や不快をうまないための、性教育の入り口ではないでしょうか。コミュニケーション能力が低い20代の女性が、相手をハグすることはオーケーとするならば、男性が同じことをしてもいいのでしょうか。ここに男女の差はあまりないのでは?と思っています。気の無い異性に見つめられたり、接近されたりすることは性犯罪未満ではありますが、言葉でコミュニケーションが取りにくいから余計に、相手を不快や不安にさせる可能性がある行為ではないでしょうか。今日のお話は、そういった教育はお年頃になってからでは遅い、ということではないかと思って聞きました。本人感覚、親目線ではない第三者の教育が必要なのはこの点もあると思います。
そしてダウン症者の結婚の事例について、先生から「ダウン症の人の結婚て少ないの?どういうこと?」と逆質問がありました。それはその時にお答えになったような生殖の問題ではなく、我が子たちが大人になって親以外の誰かと一緒に住みたくなった時に、それを一緒に考え実現に向けて支援する社会になるよう考えていかなきゃいけないのでは?と思いました。(10歳女児の母)
 

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