京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2016年12月号 掲載)
2016京都教祖教育キャンペーン第1弾
手話言語とインクルーシブ教育を考える学習会報告

 きょうと教組では「インクルーシブ教育」について毎年学習会を重ねてきました。
2014年度に、青年部が中心となって、「学校で活きづらさを抱える子どもたちと共に」と題してパネルディスカッションを組合独自で開催してことは大きな一歩でした。
 同年に発足した「京都インクルーシブ教育を考える会」の学習会の中で、共生共育に取り組む様々な人に巡り会うことができ、昨年度の「インクルーシブ教育を考えるシンポジウム」、「みんなの学校」の上映会が実現しました。今年度もきょうと教組の教育キャンペーンの大きな柱として、インクルーシブ教育があります。
 
 9月11日、京都テルサで「手話言語とインクルーシブ教育を考える学習会」が「障害者権利条約の批准と完全実施をめざす京都実行委員会」主催の学習会として行われました。きょうと教祖は日教組の教育キャンペーンの一環として、開催に向けて協力してきました。教育関係者だけでなく当事者や親の会など幅広く80人を超える参加者でした。
 
 京都府聴覚言語障害者協会教育担当理事で障害当事者の宮川さんから制定されたばかりの「京都市手話言語がつなぐ心豊かな共生社会をめざす条例」についてタイムリーなお話、京都市の聴覚言語障害センターが取り組む放課後デイサービスの報告に続き、茨木市白川小学校の金城三美子さん(現在は三島小学校)の「難聴児童を中心とした集団作り『みんなちがってみんないい〜手と手で話そう』の実践報告がありました。
 
 「地域の人びとと関わり合いながら育ってほしい」という保護者の願いで、茨木市立市白川小学校普通学級に聴覚に障害のあるAさんが入学しました。2年生から6年生まで担任をした金崎三美子さんが子どもたちとともに体験したたくさんのエピソードを通して、具体的な授業の工夫、ともに育ったクラスの子どもたちが自然に手話を覚え、ごく当たり前に様々な配慮ができる集団へと成長する様子を語ってくれました。
 
 Aさんが気がつかないときにとんとんと肩をたたく、放送が始まるとスピーカーを指さして知らせる、発言する人の方を向くといったルールはクラスの子どもたちが発案したもので、お互いの目を見ておしゃべりすることをごく自然に身につけている様子印象的でした。給食の時は、みんなの顔が見える位置にAさんの席があります。転校してきたばかりでまだ手話ができない級友の発表には自然に誰かが手話通訳に立ちます。音楽の授業は難しいですが支援級の先生が楽譜を指で押さえにきてくれ、音程が外れたと言って笑う子はいません。修学旅行で他のクラスの出し物は字幕劇だったり、無言劇だったり工夫に富んでいました。
 
 彼女とともにみんなが育っていました。
 インクルーシブ教育とは「inclusion=全てを包み込む」こと、そして@親の願いA支援はその子どもだけの支援ではないB周りの子どもたちはかかわりの中で自分の将来の生き方や生き様を大きく変えるこの三つが柱だと締めくくられました。
 
 最後に「障害者権利条約の批准と完全実施をめざす京都実行委員会」副会長の岩井光男さんから、この学習会に対する評価を含めた挨拶が行われました。知的障がい児・者の親などらから構成される「育成会」顧問である岩井さんから、インクルーシブ教育の必要性や社会での共生が強く求められていると話されたことが印象的でした。
 「インクルーシブ」という考え方の広がりと展望がみえてきた学習会でもありました。
 

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