京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(1997年12月号 掲載)
父親の見た有香の 

中学生時代(合唱指揮者・有香)

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高平福治   

 10月に校内合唱コンクールがありました。1学期にクラスの指揮者選びで立候補して、対立候補がいなかったので娘に決まったのですが、2学期になってからは、親としてどうなる事かヒヤヒヤの毎日でした。

 課題曲は「気球に乗って どこまでも」と言うテンポのある曲で、有香はなかなか上手くタクトが振れません。コンクールの二三日前の担任からの連絡でも、うまく指揮が最後まで出来ない状態なので、指揮と歌う方両方の練習をしてもらっている。指揮は駄目かも・・・との内容でした。
 ただ、当人はやる気満々で少々指揮を間違おうが気にしない(?)様子であり、他方家での練習は親の怠慢もありあまり出来ずにいた事情もあったので、私や妻は、とりあえずコンクールに楽しく参加してくれれば指揮はできなくても仕方がないと思っていました。

 コンクールでは、娘のクラスは異例の二人指揮者での参加になったそうです。とにかく娘も指揮者として舞台に立ったのです。妻の話によると、娘は曲の途中で指揮を間違ったそうですが、隣の指揮者を見て立ち直って後半はうまくタクトを振ったそうです。

 娘の意志を尊重して辛抱づよく指揮の指導をしていただいた音楽の先生、頼りない指揮者候補に対し「有香がやりたいと言っているのだから応援しょう」とバックアップしてくれた友達や担任の先生の盛り立てが無ければ実現出来なかった事です。娘がクラスの中で彼女なりのポジションを確保し、周りのみんなも娘を受け入れてくれている。そんな感じを抱かせる出来事でした。

「コンクールどうだった、指揮は?」と言う私の言葉に、娘の「指揮した」の返答は なんだか声が弾んでいました。


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