京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2001年2月号 掲載)

サンタさんからのお便りです

 トライアングルの皆さま、はじめまして!全日本科学漫才研究会に所属し、全ての子どもたちに科学の感動を伝えるべくボランティア活動をしている「科学家酔太(かがくやすうた)」と申します。まずは、簡単にトライアングルさんとの出会いから。

   私が大学1回生の頃、武部先生の講義でトライアングルさんのことを知りました。それ以来会報を送っていただいている賛助会員です。いままでも行事にも参加させていただこうとは思いながらも、どうも出不精のためか体が動きませんでした。しかし今回は思い切って老体にむちを打ち、トナカイ号にまたがり小雨の中、田中高原町から烏丸紫明まで飛んで参りました。

 ダウン症の子どもさんやその親御さん達と会うのもはじめてなので、正直なところ不安もありました。なにせ、連絡をとらせていただいた近藤さんとも直接お会いしたこともお話したこともないのですから。しかし、会場につくとその不安もどこかへ消え去りました。子どもたちの楽しそうな笑顔、子どもたちだけでなく、ボラさんや親御さんまでみんながステキな笑顔でした。と同時に--皮肉なことですが--現代社会の虚しさが同時に浮き彫りになった気もしたのですが、、、。また、私のつたない素人芸にも暖かい眼差しで見守って下さり本当に感謝申し上げます。伝えたかったのは”理科っておもろいんやでぇ”というただ一点で日頃からこのような活動をしています。

 トライアングルさんの活動は送っていただいている会報などによりイメージはできていたですが、紙面での印象と実際お会いした印象は異なるものでした。ライブ特有のエネルギーに圧倒されたということです。本当に、子どもさんから親御さん、ボラさんまで全員がとっても素晴らしい笑顔なのです。そのエネルギー溢れるトライアングルさんの活動にはさまざまな面があると思います。まず、ダウン症のお子様と家族の皆さまの相互交流という側面があげられるのではないでしょうか。そこで、いろいろな面があると思いますが、今回は私自身も学生ですし、(学生による)ボランティア活動という視点に絞って感想を述べたいと思います。

 それは花大ボラさん達の活動のことです。ふつうの大学生ならテニスやスキーといったサークルに参加してそうなものです。言葉が悪いですが、花大のボラさんは一体、何を好き好んでこういったボランティアをしているのだろうか?きっと十人十色、さまざまな理由があるのだと思います。知人に障害者がいてたのかもしれません。兄妹でダウン症の方がいらっしゃったのかもしれません。あるいは、就職活動に有利!?という理由かもしれません。それはわかりません。わからなくともいいのです。当初の動機など、どうでもよい感じがします。それは全てのボラさんの優しい笑顔が全てを物語ってくれていました。一般にこのような活動は当事者だけで行っている場合も多いのではないでしょうか。しかしボランティアさんも参加されることにより、ダウン症児とそのご家族の交流という枠を大きく越えて活動は広がっていくでしょう。家庭、学校、社会の三者が一体となり地域に根差したさまざまな活動を展開していく可能性があると思います。ご存知かも知れませんが、2002年度から学校での学習内容が大きく変わります。文部省的「生きる力」を育成することがねらいだそうです。「生きる力」とは一体何なのでしょうか?こういった地道な活動をつうじて「生きる力」の意味を考えるきっかけにすることもできるでしょう。それは小学生だとか大学生だとかに限ったことではありません。生涯学習という視点からも、地域住民という観点からもこのような様々なバックグラウンドを持った人間が集まるトライアングルはすばらしい可能性を秘めており、だからこそいっそう本来の目的であろうダウン症児とそのご家族の相互交流という面もいっそう充実していくものと思います。やがてボラさんたち(ぼくも!)は社会に出ていきます。社会でどう役立つかはわかりませんが、学生時代に貴重な経験をしたことだけは間違いありません。この経験を社会に還元していくのが、私にできるせめてもの恩返しだと考えています。

 今回は参加の連絡も2,3日前のことで、準備をされていた事務局の皆さまやボラさんの方々には本当にご迷惑をおかけしたかと思います。この場をお借りしお詫び申し上げますとともに、私のようなキワモノを快く受け入れて下さりサンタの大役をもまかせて(おしつけて!?)くださったトライアングルの皆さまには心からお礼申し上げます。ちょっと風邪気味で声が出ないサンタさんでしたけども。これに懲りずこれからもよろしくお願い申し上げます。

 
  京都大学大学院農学研究科 修士2年 25歳独身 迫田 博



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