京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2008年2月号 掲載)
敦が成人式を迎えました。

大坂田 久美

 平成20年1月14日、敦は成人式を迎えました。
初めてのスーツ姿に感無量でした。
あんな、ふにゃふにゃだった赤ん坊が20年経てば、こんなにイッチョ前になるんだと、他人事の様に感心させられます。
二歳上の姉の時は、振袖や美容院など準備に慌しかったので、男の子はそんな事はないかと高をくくっていたのですが、とんだ見当違いでした。
そもそも、149cm90kgの体に、ピッタリ合うスーツなど、どこを捜してもあるはずはなく、オーダーメード。もちろんカッターシャツも捜し回る始末。
そして、泣きっ面に蜂とはこの事で、12月12日に肺炎で入院する事になったのです。
エツ−!どうすんの!と言っている暇もなく、バタバタする間、敦は1人病院生活をゆったり過ごしました。
おかげ様で経過は良好で8日間後に退院できました。

 そんなドタバタ劇の後、成人式の当日、みやこめっせ(京都市勧業会館)の前は、圧倒される程の若者たちに混じって入場しました。出入り口の前から式場までのスタッフ人数にちょっと引くものがありました。ちょっとでも騒いだら、周りを囲まれそうな物々しい感じでした。
会場の中までは入る事が許されず(事前に手続きすればよかった)どんな様子だったかはわからないのですが、神妙に参加していたんじゃないでしょうか。
式典後は別会場でイベントがあり移動したのですが、そこも「人がいっぱいや!」とすぐに出てきました。

 昼食はちょっと気の利いたところに行くのもいいかなと思っていたのですが、本人の強い希望は「王将の唐揚げ」。やっぱり、敦は敦です。親の心配をよそにほうばってました。

 一年前からの統合失調症による幻聴はまだ続いています。
授産所での仕事には意欲をもって取り組んでいるのですが、時折本人にだけ聞こえてくる声と闘っています。負けずにがんばって欲しいいと祈るばかりです。

 思えば敦がダウン症と分ってから、色んな思いをしたけれど、私を支えている一枚の写真があります。
それは、保育園の卒園式で卒園証書を受け取る際の、園長先生とのツーショットです。
私の大尊敬する園長先生の慈愛にあふれた姿と、敦のはにかんではいるものの、状況をちゃんと受け入れている姿は忘れられない一枚です。
敦がどんな状況でも構わない、ただ、燐としている子になって欲しいとずっと願っていた事が、目の前に現実となっていた様に思えてうれしくて、これなら大丈夫と信じて今まで来ているみたいなものです。

 これからも色々とあると思いますが、体調の管理と何かの趣味を持つ事を第一の目標としたいと思っています。
本当の大人として、話す時には案外、へっ?!と思う程、受け答えが出来る様にもなっています。
私も親になって20年余り、敦を見ていると自分がまだまだだと感じさせられます。
 節目のこの時に、思いを載せて頂く事になり、大変感謝しています。ありがとうございました。

余談ですが、以前紹介してもらった、全治連の保険に入っていたので、肺炎の入院で保険金が少々下りました。助かりました。敦は心室中隔欠損症の術後で、経過観察中です。


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