京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2010年2月号 掲載)
今年成人を迎えます 奈緒子

辻 素子

 奈緒子は今年2月に二十歳になります。昨年末なんと3か所から成人式の案内が家に届きました。宇治市主催の「成人式」、卒業した養護学校の「成人を祝う会」、作業所の「成人式」いろいろな方にお祝いをしてもらい二十歳を迎えることになりました。
 久しぶりにトライアングルに奈緒子の最近の様子を報告させていただきます。

 養護学校を卒業し今、宇治作業所に通っています。進路を決める時には、いろいろなところを一緒に見学したのですが「奈緒子どこに行きたい」と聞くと「宇治作業所」と即答でした。自分で選ぶなんて奈緒子にできるのかなあ?なんて思っていた母でしたが、自分で選んだだけあって、なかまのみんなに、職員の方々に、お仕事にほんとにスムーズになじんでいるようです。作業所ではみしん班で布製品の糸きりをしたりマット織りをしたりしています。そして時には宇治市役所等の販売活動に行ったり、老人の方のデイサービスにパンのサービスに行ったりしています。

 働くことをどういうふうに理解するのだろうと思っていたのですが、毎月のお給料日前日には、 「明日給料日!」と作業所でお給料から食べるアイスを楽しみにしていて、お父さんが「奈緒子だけアイス食べられていいな」というと、「奈緒子が働いたお給料やもん」と言い返しています。けれど作業所に行き始めたころに「食べに行こう」と奈緒子が私たちに回るお寿司をごちそうしてくれたこともありました(感激でした)。奈緒子なりに子どもではなく学生ではなく、おとなへと成長しているようです。

 休日の奈緒子は、今までから私があっちこっち連れて出ていたのですが。最近はヘルパーさんにお願いすることも増えてきました。小さいころから身体を動かしてほしいとエアロビやバスケット等の活動をさせていたのですが、本当は手を動かすことが好きな奈緒子です。学校を卒業して何か余暇に楽しんでできるものを増やそうと思い、さをり織りの教室に行き始めました。見学して体験させてもらうと、はまってしまい今一番楽しいことのようです。2年間貯めたお給料で織り機を買って家でも織ろうとしています。

 そして次に奈緒子のやりたいことはグループホーム(ケアホーム)で生活することです。作業所のお友達の話を聞き「ホームに行きたい」と言い始め、体験入居させてもらいました。お父さんは奈緒子と離れるのがさみしいのか渋い顔でしたが、奈緒子は着々と自立し始めているようです。

 20年間いろいろなことがありましたが、あっという間だったような気がします。しんどいことや困ったこともあったと思うのですが、今思うと奈緒子がいるからこそ楽しいことやうれしいことがいっぱいあったように思います。これからまだまだいろいろなことがあると思いますが、奈緒子の毎日を私たちも楽しみながら見守っていきたいと思います。




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