京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2013年2月号 掲載)
 前々号でお願いしました「障害者自立支援法 アンケート」にご協力いただき、ありがとうございました。その結果をもとに下記の意見書を作成し、去る1月10日の「京都市障害者施策推進審議会」にて提出いたしましたので、ご報告します。
 引き続き来年度も審議会に出席しますので、今後もご要望・ご質問など是非どんどん事務局へお寄せ下さい。お待ちしております!


2013年1月7日  

「次期京都市障害者計画」に望むこと

京都ダウン症児を育てる親の会
(トライアングル)


 今年度、「京都市障害者施策推進審議会」に参加できましたことを嬉しく思っております。京都ダウン症児を育てる親の会も活動を始めて、27年になります。私たち親は、常に子どもの安全と安心を願って、情報提供や相談活動など、多岐に渡る活動を継続して行ってきました。

 活動を続ける中で、育っている地域で排除されることなく、当たり前に生活できてきたかといいますと、そうではありません。
 合併症を多く抱えるダウン症は、医療から離れることはなく、継続していく治療に費用がかかり、また、長期の入院、24時間の付き添い等、時間が取られていくことにサポートは少なく、兄弟に負担をかけてきた経緯があります。
 また、地域の普通学級を希望しても校長や教育委員会に阻まれ、かなりのエネルギーを費やさなければ希望通りにならない経験も現在進行形でたくさんしています。
 「障害を理解する」ということを啓発や広報でできるという考え方には疑問があります。障害を理由に地域から隔離し、育成学級や養護学校へ行かせること自体に問題があると私たちは思っています。

 昨年、8月末ごろから、マスコミで盛んにダウン症をターゲットにした新型出生前診断「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」についての報道があり、当たり前のヒトの誕生を脅かし、障害のある子どもは生まれるべきでない、という社会が広がろうとしています。
 私たち親の会は検査が普及していくことについて、反対の立場で意見を出してきました。が、マスコミ関係の人と話す中で、ダウン症について(障害全般を含んで)知らない、ということがわかり驚きます。16年前の「母体血清マーカー検査」の時も障害について、一般の人があまりに知識のないことに愕然とした覚えがありますが、16年たっても変わっていないことに気づかされ、これはどういうことなのか、と考えた時に改めて、共に育っていないことに原因があると気づかされます。

 「共に生きる」の基礎は「共に学ぶ」からです。障害のある子とのクラス作りには「共に生きる」ための知恵があふれています。同じ教室で机を並べ、一緒にいて初めて同じという意識が芽生える、一緒にいていろいろなことを学ぶのです。一緒にいるからトラブルも含めて、お互いのかかわり方を身につけるのです。それは、障害があるとかないとか関係なく、当たり前の子どもの育ちなのだと思います。
 高校についても、「共に学ぶ」を広げてほしいと思います。大阪では、すでにその取組もあり、総合高校に障害のある人が共に学んでいることも聞いています。
 私たちトライアングルの子どもたちの多くが地域の普通学級に通い、実践しています。
インクルージョンの理念の基、障害があるなしにかかわらず、希望すれば誰もが地域の普通学級へ通級できるように、体制及び支援の整備を早期にお願いします。

 親の会では幼児教室を開催し、生まれた子どもがダウン症と診断され戸惑うご両親の支援活動を続けていますが、子どものサポートについて、福祉事務所や保健所に行っても、希望するサポートの話に、なかなか行きつかない経験を多数の親がしています。医療、福祉、子の育ち、といった情報を総合的に提供できる体制を早く実現してほしいと思います。
 せめて、福祉の窓口に「親の会、一覧表」を置いていただきたいと思います。
育ちについて、どんな専門家より、親がよく知っていますから。

 私たち、親が最も心配している親なき後の生活のサポートでは、できるだけ具体的に、たとえば、そのために「住まいは市営住宅を提供」とか、「ヘルパーは少なくとも1日10時間」とか、ケアホームは、今年度は○○件予定しています、とか提供していただければ、より、安心できます。
 総合支援法のヘルパー派遣認定では厳しすぎる感が否めません。

 最後に。
 私たち親の会は発足して27年になりますが、このような審議会があり、「障害者施策推進計画」が進められていることを知る機会がありませんでした。
 広報の方法をもっと工夫され、活発な議論となれば、と思います。
 また、トライアングルはとても活発に活動していますが、全て会費と寄付と自助努力で賄われており、京都市より、支援をいただいたことはありません。
 是非、この部分も一考いただきたいと思います。
 障害者団体の活動は当事者にとって、メンタルな部分、公の支援と並んで多大であると思います。

 この、計画が誰にとっても住みやすい街「京都」となりますよう、進めていかなければならないと思っております。

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