京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報
(1997年2月号 掲載)
娘・有香と私のこと
高平恵子
10年ひと昔と言いますが、本当に時の流れを感じます。
娘の有香が生まれてから、かれこれ12年です。まぶたが腫れて開かなくなるくらい泣いた産院の病室での夜のことも、保育器から出してもらって、初めて有香を抱いた時のフワッとした感触、それでもしっかり“生きてる”ことを感じた、あの一瞬のことも、つい昨日のことのようにはっきり覚えているけれど、でも、この12年のあいだには、いろんな事があったなぁ・・と思い出します。
有香のおかげで、一度はまっ暗な狭い部屋に押し込められたような気持ちにもなりました。でも、少しずつ、本当に少しずつまわりを見渡してみると、ポツリポツリと光の穴が見えてきて、無我夢中でそこから抜け出したように思います。
“トライアングル”を知ったのは、有香がまだ1才になる前でした。先を歩いているお母さん達の姿は、何よりも心強く感じましたし、その後すぐに3人目を妊娠した私の精神安定剤でもありました。さすがの私も3人目の遼太を切迫流産しかけた時は、情緒不安定になっていて、人のちょっとしたひと言がすごくショックで、泣いてわめきちらした事もありました。
自分自身がまったく大人になりきれていないこんな私は、なんだかよくわからないままに子育てをしてきましたが、これでいいのかどうかは、今のところわかりません。はっきりとしたポリシーがあるわけでもありませんしね。
親が不出来だと子どもがしっかりすると言いますが、そうなってくれればいいなぁ〜なんて、ボンヤリ思ってます。
この春から、長男は中3、次男は小5、そして有香も中学生です。お兄ちゃんと同じ地域の普通学級へ通い始めます。
お友達や先生との関係のこととか、学力のこととか、今ちょっと不安材料はありますが、でもとりあえず“ぶつかってみるか・・”といったところです。また、どんな人達との出会いがあるのか楽しみでもあります。中学生と言っても、まだまだ子どもです。有香と出会う子ども達がどんな表情を見せてくれるのか、ちょっとドキドキしてます。
できれば、この3年間は私ももう少し時間的に余裕を持って有香にもゆっくり向き合いたいなと思ってます。私にとっても30才台最後の3年間です。毎日を大切に、有意義に過ごしたいなぁー・・。
最後に・・
今、有香はとっても素直で明るく健康に育ってくれてます。そのことを、何よりも感謝したいと思います。
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