京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2001年6月号 掲載)

ドキュメンタリー映画「ひなたぼっこ」を見て来ました

近藤雅子   

 千葉県で障害のある子ども達の普通高進学運動を進めている"ちばMDエコネット"(山田晴子代表)が企画したドキュメンタリー映画「ひなたぼっこ」(桐野直子監督)が東京で上映されました。この映画は今のところ東京でのみの上映で、全国各地での自主上映会開催を募っているとのことで、紹介番組としてNHKの「にんげん ゆうゆう」でも取り上げられていました。高校進学を経験した、または中学卒業も間近の子ども達が多いトライアングルでは興味のわくところです。京都でもこの映画が上映できないものか、それにはまず実際に映画を観てみなくては…ということで、事務局のみんなの後押しをうけて東京まで映画を観に行ってきました。「にんげん ゆうゆう」放映後にテレビ局に電話を入れて映画監督さんとコンタクトを取った事務局員宛には映画の特別観賞券が送られて来ました。

 この映画は、5人の障害のある主人公たちが努力の末に進学した公立の普通高校での生活や課外の出来事を1年半にわたってつづった記録です。高校での授業、クラブ活動、文化祭、ボーイスカウトのキャンプ、プライベートなショッピングなどの場面での先生や友達との関わりが描かれているところが印象に残りました。彼らは集団の中で決してお客さんではなく、皆と対等に扱われています。彼らはそれぞれのスタイルで高校生活を送り、友人たちはちょっとしたルールを作って彼らを受け入れているのです。それがとても楽しそうで、自然で、むしろ彼らと共に過ごす学校生活の方が幅があって豊かなのだろうと思いました。映画を観た後で映画監督さんとお話をすることができたのですが、その時に監督さんが「映画に出演した子ども達が特別に発達がいいというわけではないのですよ」とおっしゃっていました。本当にそうなのでしょう。一緒に行った福田さんは「うちの子もおんなじだわ」と言っていました。映画の紹介文に "映画を見た千葉の高校のある先生は、「うちの高校でも、受け入れてもいいと思うようになった」と語ったそうです"と書かれていましたが、映画を観終わったあとの感想はまったくそのとおり。彼らが高校に行ったっていいじゃない! 高校生活を送りたいと願う子ども達の高校進学を阻む理由がどこにあるのかと思いました。

 この映画の最後には、「ちばMDエコネット」が目指している「地域環境を、自分たちで汗を流して働いて、創造し再生していく」活動へとつながっていくのですが、それもまた私たちの今後の目標を示唆しているように思います。

 今、トライアングルでは「ひなたぼっこ」自主上映の計画を進めています。高校進学を控えているダウン症の子どもさんをお持ちの方やお友だち学校の先生など、多くの方々に是非とも観ていただきと思います。


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