京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2011年6月号 掲載)


茉莉香7歳 & へなちょこママ

 今年一年間、学校生活を中心に原稿を書かせていただくことになりました。
 毎日が笑いと落ち込むこと満載の日々を、楽しく読んでいただけたらいい なぁと思いますし、ご意見や感想、ファンレター(ちょっと図々しい?)とかもらえたらうれしく思ってます、よろしくお願いします。

 波乱万丈の一年間を無事(?)過ごし、はやくも小学2年生になりました。
 去年一年間はまず学校に慣れる迄が親子共々とにかく大変でした。本人のストレスは計り知れなかったと思いますが、いたってマイペースなように見えました。学校のどこに何の教室があるのか、トイレはどこか等々を頭の中に入れるまで、学校中を探索していました。チャイムが鳴っても教室に戻らない、校庭に出たらいなくなる、給食の前にトイレに行ったら戻らないことが毎日続き、その度に校内放送やクラスのお友達が探してくれました。1学期が終わる頃には知り尽くしその行動も徐々に落ち着きましたが、2年生になった今でも時々チャイムが鳴っても教室に戻らないようです。しかし、そのことが功を奏したのか、学校中で知らない人はいないぐらい有名人となり、学校の中や近所でも学年・男女問わずに誰かが「まりかちゃん!」と名前を呼び手を振ってくれます。
 1年最後の通知表のコメントに「明るく元気で誰とでもお話できる性格で、学校の誰もが国本さんのことを知ってくれました」と書かれていました。喜んでいいのやら、どんだけ毎日捜索されてたんよ!とちょっと複雑な心境です。

 勉強は1年生で習う漢字80個は全部読んで書けるようになりました。漢字は大好きで、外出先の看板や新聞で知っている字をうれしそうに読んでくれます。算数はまだ10以下での足し算と引き算ですが、同じ問題のプリントでも5分でできる時と、30分以上かかる時とあり一進一退の日々です。音読の宿題は毎日欠かさず色々な本を読み、本の題名と自己評価を○△で書き、提出します。提出用紙の枚数を友達の間で競っているようで、必死になっていました。

 毎週火曜日の朝に、1年生はひらがな・カタカナ検定があります。茉莉香には先生が答えの書いたプリントを先に渡してくれるので、週末に予習して臨みます。そのテストの合格がもらえなかった日は、机を叩いて悔しがります。

    お友達のしていることは自分もやりたい、できると思っているみたいで、その気持ちの表現ができずに、学校でも色々思っていることがあるようです。
 たとえばある日突然、「まりかちゃんなぁ、あのねちょうないねん」と言っており何のことかな?と思っていたところに、支援学級の担任から「他の1年生は“おたよりあのね帳”という日記を始めているので茉莉香ちゃんにも始めようと思う」と言われ、このことだとわかりました。同級生が提出しているのを見て自分には無いとずっと思っていたようです。今は週末だけですが日記を書き、支援学級でその日記をみんなの前で読むのも張りきってるようです。

 学校の方針で掃除や運動会、遠足等の学校行事のほとんどは、縦割りグループ編成になっており1年生から6年生までのメンバーで行動します。そのグループの班長さんは茉莉香にとって憧れの存在で「○○さんかっこいいねん!」と目をきらきらさせて話してくれます。上級生からもらった手紙を大事に読んでいるのをみていると、学校に楽しく通い、学年問わず子供達が良い関わりをしてくれていることにとても感謝しています。

 小学校入学という大きく変化した環境の中でがんばった一年だったと思いますが、ストレスの全ては鉛筆と消しゴムを噛むという行動に集約されていました。1年間で鉛筆は3ダース以上、消しゴムは2ダース以上噛んでしまい、筆箱は2つ壊してしまいました。歯の間に鉛筆や消しゴムが挟まっていたり、赤鉛筆をかじって先生を驚かせたり、毎日帰宅後に筆箱を開けるのは恐怖でした。消しゴムや筆箱に「かまない」と書いたり、消しゴムと筆箱を紐でつないだり、消しゴムが泣いている紙芝居を作って毎日読んだりしつつ、毎日新しい物を補充し続けました。2年生のある日突然その行動が無くなり、支援学級の担任と共に驚いています。時期が来たらやらなくなるのねぇ〜、できるようになるのねぇ〜と今更ながら思い、あんなに毎日怒るんじゃなかったとちょっぴり反省の母です。茉莉香は今日も筆箱を開けて見せながら「噛んでないで」と自慢気に報告してくれています。子供の力を信じて待つことの大切さを今一度かみしめています。
 さぁ2年生は始まったばかり、ぼちぼち行こかぁ♪


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