京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(1999年6月号 掲載)

一年生になりました

島崎明子   

 「一喜一憂」「青息吐息」「楽あれば苦あり」「塞翁が馬」・・・・・。
入学してからの4月5月の私の精神状態を四文字熟語にすると、こんなかんじです。「普通学級に入れてよかった!」って思える日と、「普通学級しんどいな」って日が、あざなえる縄のごとく交互にやってきます。

 はじめは何もしなかったみゆき。今思えば、石のようにじっとして、囲りの人たちが何をするのか、じいっと見ていたようです。「石になる時間が少しづつ短くなってきました」と担任の先生が言って下さったのが5月1日。でも、5月の中ごろには、「石にはならなくなったけど、やりたくないことは牛のようにノロノロとしかしない」とのこと。4月には「石」で5月は「牛」か!!

 まだ、特に親しくなれたお友だちがいないのが淋しいですが、でも今日、クラスメートのお母さんに「息子が前に、みゆきちゃんから絵をもらってよろこんでました」なんて言われてびっくり! そういえば、「ミーチャン、Kクン、ダーイスキ」と言いながら「コレ、Kクンノカオ」と何枚も、その子の顔を描いていたのは知っていましたが・・・。やるねェ、うちの子も!

 とにかく、囲りの子どもたちからの影響はすごいものがあります。「だんご3兄弟」を踊り、しりとりをやりたがり、紙ヒコーキをとばすのが、このごろ我が家でのみゆきです。学校でみんながやっている時は多分、じっと見ているのでしょう。その分、家に帰ってくると元気なのです。

 全校生徒124名、1年生17名の小さな学校で、それでも入学前の校長先生との話しあいで心配したよりは、うんと沢山の先生やお兄ちゃんお姉ちゃんにかまってもらっているらしいみゆきです。3年生の姉、あゆみは、はじめはみゆきと一緒に学校へ行くのをとても楽しみにしていて、「もういいよ」というほど世話をやいていたのですが、このごろどうもあきてきたみたい。そういえば、「気になるし、放っとけへんけど、じゃまやねん」なあんて事を言ってた時期もありました。当のみゆきは4月は「ガッコ、オモシロカッタ」と毎日言っていましたが、このごろは「ガッコ、ツカレル」と毎日言っています。彼女の疲れは、私や家族がいやしてやり、私の疲れはトライアングルの先輩たちに泣き言を聞いてもらうことでいやしてもらいながら、一日一日を楽しくすごしてゆけたらと願うこのごろです。心配事や不安な事があるたび、「長い目で見よう」と自分に言いきかせています。

 重いランドセル背負って、ききわけよく「パパトイク!」と出かけるうしろ姿に、「なんてケナゲで、いじらくして、かわいいんだろ!」と、毎朝、ジーンとしている私です。


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