京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2000年10月号 掲載)

 中学一年生の福田智子ちゃんが、クラスの男の子8人にデコピンされたり、めがねをとられたり、いじわるされたことが一学期の末にありました。それをクラスの女の子が先生に伝え、先生からおうちに連絡がありました。8人の男の子と先生たちを前に、お母さんに何か言って下さいと言われて、何て言えばいいのか悩んでいたら、次の朝、お父さんがこんな文章を書いてくれていました。

 お母さんは、みんなの前でこれを読んだそうです。


 皆さんこんにちは。福田智子の母です。
 もう皆さんも知っていると思いますが、智子はダウン症という障害を持っています。だから、皆さんと同じように算数の計算をしたり、元気に走り回ったり、自分の気持ちや、思っていることをうまく言葉に出して言うことができません。

 じゃ、なぜそんな子が自分たちと同じクラスにいるんだと思うかも知れません。今日は、そのことを少し皆さんに聞いてもらいたいと思います。

 さっき言った通り、智子はみんなと同じ様には勉強したり、運動したりはできませんが、感じる心、感じる気持ちはみんなと同じです。おこられたり、いじわるされたら悲しいし、悲しければ泣きます。おもしろい時、楽しい時は笑うし、やさしくされるとうれしくなります。

 みんなは何をしている時が一番楽しいですか。いろいろあると思いますが、私は友達と、仲の良い友達と一緒に遊んでいる時が一番楽しかった。だから、智子にも、みんなと同じ様に友達と一緒に遊ぶ楽しさを味わわせてやりたかったし、子どもはそれが当たり前だと思いました。だから、小学校から普通学級でみんなと一緒に生活し、中学校も校長先生にお願いして、みんなと同じ普通学級に入れてもらいました。

 みんなは多分、中学を出たら高校に行くと思いますが、高校はもう義務教育ではないので、多分、智子はみんなと同じような高校に行くことはできないと思います。だから、この最後の中学生活で、たくさんの友達の中で一人でも二人でも智子にやさしくしてくれる子ができて、楽しい中学生活を送ってくれたらうれしいと思っています。


 今日は、私の話を聞いてくれて、どうもありがとう。  智子はみんなと同じ様には自分の気持ちをうまく伝えることはできないけれど、感じる気持ちはみんなと同じだよ、ということを分かってくれたら、とてもうれしいと思います。


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