京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2005年10月号 掲載)

こころのままに 夢色模様 ダウン症の人たちが創る「さをり織り」の世界

阪本富子   

 平成17年度(第6回)ダウン症児者の芸術創作活動のステージイベントが8月20日に東京すみだリバーサイドホールで催され、母娘で参加してきました。
 さをりの作品を応募しようと、昨年の11月に3ケ月間コースに入塾し1月の締め切りまで通いました。縦糸も人に援助されずに自分でできることが原則になっていたので、毎回集中した2時間を積み重ねて「夢色模様」を織り上げることができ、展覧会まで楽しみにしていました。

 明子は全日本女子バレーボールが憧れです。その応援歌「紅く燃ゆる太陽」をテーマに自分のイメージで糸の色を選び、織りながら配色や横糸を変える配分なども自分で決めていきました。かわいげのないくらい先生や私が“こんな糸もあるよ”と声かけしても、「もっと光ったオレンジ!」などと主張するのです。とても明るい暖色系でテーマ「太陽」を織り上げた作品は、明子の感性が表現されていると感じました。

 浅草で電車を降り、雷門と反対の方向へ隅田川を渡ると、丸いビル墨田区役所がみえました。その内の展覧会の会場に入った瞬間、ひとりひとりが個性あふれる織りの風合いと色の世界に引き込まれるような空間がありました。ガラスの食器が似合うブルー系のテーブルセンター、お月見をイメージした秋色のシックなタペストリー、カラフルなピーマンを仲良く包んだクロスなど、会報が白黒でお伝えできないのが残念ですが。プロの方が作品の良さを十分に見る人に感じてもらうように、衣食住をテーマにコーディネイトされ、単にさをり作品が展示されているのではなく見ごたえのあるものでした。

 ステージイベントでは、“さをり”の創始者の城みさをさんが94歳とは思えない闊達なお話ぶりの中で「差異を織る」それが“さをり”の原点ですといわれ、今までの型にはまった価値観を取り払おうと、今や世界に広められるまでの理念と実践の歩みに、またまた57歳からこの道を歩まれたことにすごいなあと感じいるばかりでした。

 ファッションショーでは、自分で作ったベストやかばん、スカートなど親子で、仲間でと次々ステージに上がりポーズを決めて、にっこりとそれが観客席と一緒になり心が通い合う発表会に創られていきました。
LOVEJUNXのダンスも本当に“うまい”。跳んだり回転したり躍動感あふれるダンスの仲間たちに、明子はきっと圧倒されていたと思います。共に大いに拍手を送りました。

 全国バージョンのJDSの会に参加するといつもながら、可能性を伸ばす やりたいことを見いだす、日常に流れていく時間にこどもの成長を見据えながら、歩む道を探る営みを“さをり”のようにひと織りひと織り積み重ねていくことの大切さを実感しました。


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