京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2008年10月号 掲載)
あきと、妹がうまれました・・・

小寺さちこ

 8月12日、3人目の赤ちゃん未鈴(みすず・女の子)が生まれました。オットと兄2人に見守られ、幸せなお産でした。あきとは、ひろと(3才)が生まれたときのお産に立ち会っていたので、2回目の経験・・さすがに余裕のお兄ちゃんぶりでした。

 予定日の翌日、晩ごはんを食べた後、“今晩うまれそうな気配”がし、したくをして、できるだけ陣痛を家ですごそうと夫に腰をさすってもらったりして何とかすごしていた。
そしていよいよ・・。夜中に子どもたちを起こすと、いつもなら泣きわめいて怒る兄ふたりが、おりこうさんで病院についてきてくれる。暑い夏の夜、ハ〜ハ〜フ〜フ〜言って、のどがカラカラにかわく私に、ペットボトルの水をせっせと飲ませてくれる ひろと。そして、分娩台の横で赤ちゃんがでてくる瞬間まで目をまんまるにして見ていた。「赤ちゃん、お尻からでてきはったな〜」と何度も何度も言う。

 妊娠中から、いろんな不都合にガマンをし、陣痛につきあって、出産の一部始終を体験したひろとは、その後もけなげに頑張って、入院中の私のところへ来てもわがままもいわず、ガマンしている姿が痛々しいくらいだった。

 1ケ月が経ち、私が元気になってきたのを見計らったように私に言った。
「おっぱいのみたい・・・」。とうとうかたか・・・。未鈴のあとに吸わせてみる。
吸ってみたものの「でない・・どうやってのむの?」と不思議な顔。また未鈴が飲むのをじっとみつめる。そして「すずちゃんと一緒にのみたい」という。
未鈴と同時に飲むと勝手にでてくると考えたのだろうか(笑)。左のおっぱいに未鈴、右のおっぱいに ひろとが吸いつく。やっぱり「でない・・」

 それを見ていた あきとが「オレも〜 おっぱい! おっぱい〜!」と叫んだ。
すかさず、ひろとが「あきとはアカン! 赤ちゃんちゃうやろ!!」 あきとは、しょんぼり。
そういう ひろとは赤ちゃんなんか??(笑) その頃から少し余裕がでてきて、いつものひろとらしく、わがままに、少し兄っぽくなってきた。あきとはずっとマイペースである。

 未鈴はもちろんかわいいが、「す〜ずちゃん」とカワイイ声で未鈴のまわりを、まるでえさにむらがる小ザルのようにきゃっきゃっきゃっとはねまわる兄ふたりがまたカワイイ。が・・・追いはらうのも、なかなか大変である。

 未鈴という名前は父ちゃんが悩みに悩んでつけた。
何しろ、なんでか男だと思いこんでいた父ちゃんは女の子の名前は考えていなかった。赤ちゃんは男の子だと思いこんでいたので、うまれたときも、性別の確認はしなかったのである。1時間以上たって、私が「どっち?」と聞いたら、「えっ、オトコやろ??」と言ったのだから(笑)。(男が欲しかったというわけでもない)

 “みすず”と聞いて、“みんなちがって、みんないい”の金子みすずのみすず?ときくと、「金子みすずってだれ?」と言う父ちゃん(笑)。
金子みすずと名前の由来はカンケーないが、金子みすずのような想像力がゆたかに、やさしく、強く生きてほしいと思う。





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