島崎明子 9月17日(金)、合宿明けで、次の会報の編集日、という、実はかなりバタバタした事務局会議の日に、大阪市立大学の堀智晴先生が、イタリア・ボローニャ大学でインクルーイシブ教育を学ぶ(教える)、アリーチェ・イモラさんという美人を連れて、その上、通訳には京都産業大学の准教授・中川先生を連れて、トライアングル事務局に来られて、イタリアの障がい児教育の話を聞かせて下さいました。驚いたことの第一は、イタリアには特別支援学校も学級もない。もう30年間、ずっと統合教育を行っている。分けてはいけないという法律がある。障害のある子がいないクラスは25〜30人くらいだけれど、障がいのある子がいるクラスは20人くらいで、その上、サポート・ティーチャーがつく。元々、イタリアは学力主義の国ではなく、高校までは入試もなく、全員入れるのだそうです(その代わり、卒業は大変なのだとのこと)。ただし、貧富の差、身分の差は歴然とあって、「○○公爵夫人」なんて人が今もちゃんといる。お金持ちの子は私学へ通うが、お金持ちのダウン症の子も私学へ通うのだとのこと。こんなふうに変化したのは、’68年、学生運動の嵐が吹きあれた中で、“人権”ということもいわれて、スイッチが切り替えられたのだそうです。 障がいの重い子がクラスに入ると先生は教育方法を変えて、実物やお人形を持ってきて教えたりと工夫をする。まわりの子はそれを手伝い、世話をしたがるとのことでした。障がいのある子たちの能力を計ったところ、読み書きの能力は10〜20%くらいだったけれど、ディスカッションする力や、自分のことを説明する力は70〜80%もあるとのことでした。イタリア人はみんな陽気でおしゃべり好きだけれど、ダウン症の人たちも例外ではないらしい。 最後に、彼女は「知ること、学ぶことはワクワクドキドキすることなのだ、生きることは悦びなのだ、ということを学校で教えているのです」と言われました。 二才年下の弟がダウン症だというアリーチェさん、身ぶり手ぶりたっぷりに熱っぽく話す様子は美しく、言葉の意味が分からなくても、まるで、目の前でオペラを観ているようでした。 |