京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(1999年10月号 掲載)
父親の見た有香の 

中学生時代(有香、かたまる)

高平福治   

 こんな事を書くと「お父さん、なぁ〜にかいてんのよー」と娘から苦情がこないかと、内心ビクビクしながらキーボードに向かっています。(笑) 少し大きなダウンの子を育てられている皆さんの中には経験された方も多いと思いますが「かたまる」と言うことについてです。つまり突然、訳もわからぬまま(当然のことながら彼女なりの理由や論理はあるのですが) がんとして動かなくなる状態についての話です。

 私なんかは、これは本当に困ってしまう状態なのです。どう対処したらよいのか未だに判らない。それに父親と言うのは母親に比べて廻りを気にする生き物のようで ・ ・ 結局、困ったとなんか恥ずかしいのが2乗になってしまい、だんだん感情的になり事態をさらに悪化させてしまうようです。

 「かたまる」に遭遇する事はそう珍しくはありません。最近ではトライアングルの海水浴の時も突然水辺で かたまってしまいました。また、日曜参観の時に参観後に保護者懇談があるので母親を残して娘と私は一足先に帰ることにしたのですが、「お父さんとかえる」と言う言葉と裏腹に教室でかたまってしまい、私では らちが明かず副担任の先生や母親が話をしてやっと納得して校舎から出てきたというのもありました。しかし そのあと先生と母親の姿が消えると校門近くで またまた かたまってしまったこともありました。。

 こんな時は、うまく気持ちを切替えてやれば良いと思うのですが、その糸口がなかなか見つからない。本人も たぶん糸口を探しているのでしょうが上手くいかない。私はそのうちイライラして、声が荒々しくなり、それがかえって「かたまる」を助長している悪いパターンが多い様です。

 思い切って、こちらも かたまってしまって横にしばらく座って時間も廻りの目も気にする事なく彼女は何を思っているのか考える余裕が持てたら案外事態は好転するのかなと思ったりもします。でも、現実はまったく出来ていないの状況なのです。

 やはり自分が生きてきた世界なり社会しか見ていないし、そしてそこでの価値観や物差で計っているのでしょう。別の世界や社会、見かたがあって当然な事なのに。 彼女は彼女の生活している世界があるし、それは世間一般のそれと少し違うかもしれないけれど、でもそれはそれで良いと考えたりもするのですが・・。

 夏休み中の運動不足で、ひとまわり大きく(太く)なった娘。9月からの通学で少しはスリムになるのでしょうか? あと半年、制服の新調だけは避けたいと思っている父でした。
「お父さん! なに ゆうてんの!」と これも有香のキツーーイ言葉が飛んできそうです。


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