キンコーン、キンコーン玄関チャイムがなった。「ハイ!」「あの〜、猫の子飼ってくれませんか?」という声ガチャン、とドアホンを置き、「これ以上増えると破産するから、断わってきて!」ときつくいって、相棒に玄関へいってもらった。
しばらくして、見にでてみると、何と相棒の胸にぬいぐるみのような真っ白な子猫が抱かれていた。「なんで断わらへんかったん?」と聞くと「あんまり美人やから」という。
よくみると、本当に綿毛のように真っ白で青い目で、気品があって美人なのだ。
トンボの二カ月前に、スズメが来たところだった。
トンボは最初からすんなりと他の猫達となじんでいた。ずっと前からいるみたいに。とくにスズメとは、年が近いので大の仲良しになり、一緒に遊んだり、いつも後について歩いていた。
たいていの新入りの猫は、以前からいる猫達が挨拶に臭いを嗅ぎに来ると「ハァ〜」といって威嚇する。
すると挨拶にいった猫も「ハァ〜」といって歯をむき出して前足で相手を叩く。これで新入りの猫は萎縮してしまい、態度が小さくなる。
ところがトンボは、挨拶にいった猫達を無視し、一等席であるザブトンの上へ行き丸くなって寝てしまった。
美人やのに根性すわっとるなぁ。
いまはもう中年になってしまったトンボだが、おしりを振りながら歩く姿や、ハスキーな鳴き声で私たちをくびったけにしている。
トンボの子供を見たい、と思ったのがまちがいだった。2回のお産で6匹の扶養家族をみなければならなくなった。
まんまるとんぼ とんぼファミリー(1回目)