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『カタログに見る展覽会』について 京都・岡崎・山崎書店/山崎純夫
『カタログに見る展覽会』を改めて見返してみると色々と面白い発見があったので少々書いてみたい。 明治大正期のカタログはどうも古美術、博覽会、博物館というような傾向があるのと図版の全く無い文字目録のみのものが多い、それとくらべ同時期の文展や帝展などのカタログは図版も多く原色版のものもありかなりその頃のものとしては斬新な気がする。
世界大戦中の昭和17年には「満州国国宝展覽会」が帝室博物館で開催されている、同年2月には「日本美術院同人軍用機献納展」や「大東亜戦争美術展」が朝日新聞社主催で東京都美術館で開催された。戦後すぐの昭和25年には、なんと「アメリカ博覽会」なるものがこれも朝日新聞社の主催で開催されてる。 複製展と称して昭和21年12月「欧州古典美術複製展」 昭和24年10月「現代フランス絵画複製展」が国立博物館で開催されたとある、説明書きによると単なる印刷物を展示したように受け取れるのだが…。
戦後は百貨店を会場とした新聞社主催の展覽会が多くなってくる、宣伝力のある新聞社と集客力のあるデパートが文化事業で手を組んだわけだが、この頃のカタログの印刷は色も実物のそれと異なり内容もまだまだである。ちなみにこの頃、カタログのサイズで俗にBB版と称する少し四角めの形のカタログが流行っていた。 さらに見ていくと昭和39年の「ミロのビーナス展」昭和40年の「ツタンカーメン展」昭和45年の「万博美術展」昭和49年の「モナ・リザ展」が目に付く、どの展覽会もガラス張りで見たような記憶があるし人が多くて大変な行列だった。カタログも良く売れたようだ、特に「モナ・リザ展」はカタログを30万部売上げたようだが弊店リストには掲載がなく「モナ・リザ展」記録 なる文化庁の発行した冊子が掲載されていた。万博以降各地で美術館の開館が相次ぐことになり〜美術館開館という記録が増えてくる。昭和60年には日本で3回目のゴッホ展が開催されるとある、日本人はゴッホが好きと云うか日本で画家の代名詞いえばゴッホかピカソのようだ。
懲りずに平成14年(2002年)にも『再ビ カタログに見る展覽会』(弊店書庫リスト39号)特集号を発行をした、全く同じ形式だが展覽会の開催月を入れたのとカタログの頁数をなるべく入れるようにした。裏表紙に分厚いカタログを記録しておいたのでそこから抜粋してみたい ●日本仏教美術の源流 奈良博 昭和58年 403頁 ●比叡山と天台の美術 京都市美術館 昭和61年 420頁 ●ジャポニズム展 昭和62年 国立西洋美術館 409頁 ●ウィーン世紀末 平成元年 セゾン美術館 536頁 ●表現としての写真 セゾン美術館 平成2年 419頁 ●未来派1909〜1944 平成4年 セゾン美術館 404頁 ●1970年-物質と知覚 平成7年 広島現代美術館 平成7年 493頁 ●バウハウス1919-1933 平成7年 セゾン美術館 A3版 425頁 などとある。もちろん分厚ければ良いわけではないがセゾン美術館のカタログは分厚いものが多い、1975年東京池袋に開館した西部美術館が1989年に改名し、セゾン美術館となり特に収蔵品を持たず、公共の美術館のやらない独自の企画のみで展覽会を開催して現代美術や写真、デザインなどを紹介していたが残念乍ら1999年2月に閉館した。しかしこのころ以降公共の美術館の出すカタログも分厚く内容もデザインも良くなっているように思われる。
注)AB版→BB版に訂正しました。