唯一の完全オフ。今日一日しかない。寝不足だ
けれど目が覚めてしまったので、9時くらいにホテルを出る。でもどこも開いていないので、バスティーユ広場まで歩く。その途中にカメラ屋が沢山あり、掘り
出し物があるらしいと、昨日、荒木君(日本からの留学生)に聞いたので。まだ開いていなかったけれど、ウィンドウ越しにステレオスコープを発見。後で来る
ことにする。
バスティーユ広場からシテ島の方に向かうつもりが逆に歩いてしまい、結局地下鉄へ。ノートルダム大聖堂を横目に見
つつ(こんなんばっかり)、目指すはパリ警視庁。なぜなら犯罪者写真の定式を作ったA・ベルティヨンの博物館があると聞いたから。でも行っても何もなさそ
う。門番の警官に聞いたら、ブールヴァール・サン・ジェルマンの方にあると、親切に教えてくれる。でも行ってもやっぱり何もない。訊き方が悪いのか、教え
方が悪いのか。残念。気がつくとJ・ヌーヴェルの設計になるアラブ世界研究所の前にまで来ている。「ほう」とまたままた横目で見つつ、一路ヨーロッパ写真
美術館。おしゃれな建物で、マグナムのマルク・リボーの展覧会。『ゴーギャン・タヒチ・写真』という秀逸な図録と図録『1850年のローマ:カフェ・グレ
コの写真家サークル』、それにリュミエールの『シオタ駅への列車の到着』のフリップ・ブックを購入。
つづいて凱旋門の近くの国立写真センターへ。ロートシルト家の旧邸で、アルセーヌ・ルパンが忍び込みそうな豪奢な
建物。でも展覧会は、セルフ・ポートレート/成り切り界では圧倒的な強度(キツさ)を誇るオルランの回顧展。ギャップが面白い。バック・パックが重くなっ
てきたので書籍購入はあきらめる。

私と凱旋門(ほぼ見えない)
先日の骨董屋を再訪。ダゲレオタイプやティンタイプ、カルト・ド・ヴィジット、横浜写真が次々出てくる。コーヒー
まで出てくる。どうしよう。あれも欲しい、これも欲しいと、テンパりかけているところに、「他に見たいものはあるか」と聞くので、「サミュエル・ボーンの
インドの写真」と言ってみると、それも出てくる。やばい。きりがない。「この骨董屋に棲みたい」とか訳の分からないことを思いはじめたので、「今回はこれ
くらいで」という。呻吟したあげく、ティンタイプ2点(ダゲレオタイプのいいものはとてつもない値段なのでヤメ)、カルト・ド・ヴィジット3点、横浜写真
2点(日本の相場より相当安い)を購入。散財。
ちなみにステレオスコープ: これが大失敗。
帰国して
わくわくしながらステレオ写真を入れると、像が大小の二重になっている。分解してよく見ると、右目用と左目用のレンズの厚さが全然違う。これでは見えるは
ずがない。あ〜あ。安い方にしとけばよかった。悔しい。形は完璧なのに・・・。でもレンズの確認という基礎的(かつ最重要)なことをしなかった僕が全面的
に悪い。いや、いい勉強をした。そのうち双眼鏡のレンズを流用するなり、何とかして直そう。

収穫物:(左から)カルト・ド・ヴィジット(左上の二点はディデリ商会のもの)
ティンタイプ二点
日下部金兵衛の横浜写真(撮影地は日光か?)
フェリックス・ベアトの横浜写真