第3回「文化遺産としての大衆的イメージ」公開講演会
開催趣旨
私たちは、モノに取り囲まれ、モノを使用して生きている。ただし、モノはただあるだけではない。モノは商品として〈流通〉し、時には〈蒐集〉の対象となる。そればかりではない。モノは言説やイメージによって〈表象〉され、その表象もまた商品として〈流通〉し、時には〈蒐集〉の対象となる。私たちが自らの人生を生きているように、モノもまたさまざまなコンテクストに再布置されることによって、その生を生きているわけである。近代日本――19世紀の終りから20世紀の前半――におけるさまざまなモノと表象――鉄道車輌、家具、絵画、仏像、納札――の生を追うことによって、マスカルチャー勃興期における視覚文化と物質文化を再考すること、それが本講演会の課題である。
日時 2010年6月12日(土) 13:00〜
会場 同志社大学今出川キャンパス 至誠館2番教室 → アクセス/キャンパス・マップ
主催 共同研究「文化遺産としての大衆的イメージ——近代日本における視覚文化の美学美術史学的研究」
(研究代表者:金田千秋〔筑波大学大学院教授〕)
後援 大正イマジュリィ学会
プログラム
12:30 開場
13:00 趣旨説明 岸 文和
発表1 佐藤 守弘「鉄の夢――近代日本における鉄道の視覚文化」
発表2 ジョルダン・サンド「アジア植民地における家具と立ち居振る舞い」
発表3 ミカエル・リュケン「化物絵としての《麗子像》」
発表4 鈴木 廣之「仏像の『近代』――鎌倉大仏の行方」
発表5 ヘンリー・スミス「お札博士――フレデリック・スタールと蒐集の人類学」
17:40 総合討議
*発表は日本語で行われます。
登壇者略歴
佐藤 守弘
京都精華大学デザイン学部准教授。芸術学。論文に「擬写真論——肖像写真の転生」(『美術フォーラム21』20号、2010)など。
ジョルダン・サンド
Jordan Sand
ジョージタウン大学東アジア言語・文化学科准教授。歴史学。著書にHouse
and Home in Modern Japan: Architecture, Domestic Space and Bourgeois Culture,
1880-1930 (Harvard U. P., 2003)など。
ミカエル・リュケン
Michael Lucken
フランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)日本言語・文化学科教授。美術史。著書に『20世紀の日本美術——同化と差異の軌跡』(三好企画、2007)など。
鈴木 廣之
東京学芸大学芸術・スポーツ科学系教授。美術史。著書に『好古家たちの19世紀——幕末明治における〈物〉のアルケオロジー』(吉川弘文館、2003)など。
ヘンリー・スミス Henry D. Smith
II
コロンビア大学東アジア言語・文化学科教授/京都アメリカ大学コンソーシアム(KCJS)所長。歴史学。著書に『泰山荘——松浦武四郎の一畳敷の世界』(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館、1993)など。
岸
文和
同志社大学文学部教授。芸術学。著書に『絵画行為論—浮世絵のプラグマティクス』(醍醐書房、2008)など。