★★★★★実習感想文★★★★★



 4週間の実習中私が最も不安に思っていたことは、毎朝遅刻せずに起床できるかどうかでした。
初めての電車通所、慣れない乗り換え、とにかく私にとっては早朝の起床と、医院にたどり着くまでの交通機関の利用が大きな不安だったのです。

普段の生活で早朝から通学、或いは通勤している方にとっては当然すぎる行為だとは思いますが、 結果として4週間、1度も遅刻せずに通えたことは、私にとっては大きな成果だったと思います。
実を言うならば、私は大の遅刻魔だったのです。そんな遅刻魔の私が、1度も遅刻せずに通所できた、という大きな理由は、シエスタに行けばメンバーさんのみんなに会える、ということでした。

眠い目をこすり、出かける準備をしている間から「今日は将棋で1勝でも上げるぞ。」「今日のお菓子づくりはうまくいくといいな。」「今日はどんな発見があるかなぁ。」等々・・その日1日のスケジュールを頭に浮かべているうちに、どこからか自分の中にパワーがみなぎってくるのです。

そうして正体不明の強力なパワーによって苦痛の満員電車に乗ってしまえば後はもう楽しみなことばかり。
そんな朝の日課を経て4週間、遅刻せずに通える要因を与えてくれた不思議なパワーは、今思えばスタッフさん、メンバーさんから毎日もらっていたものだと思います。

思えばデイケア、というものはそういう存在なのかもしれない、そう気付いたのは実習が終わってからでした。
毎日、そこに自分を待っていてくれる場所がある、楽しみにしている物がある、そこに行けば何かがある。
デイケア、というものは毎日のプログラムももちろん大きな意味を持つものですが、そこにある、受け入れてくれる、そうメンバーさんの心に位置する、ということにも意味があるのではないか、何よりもそう自分が身を持って気が付いたのでした。

実習1週目の土曜日、ちばりよーYOUYOU館’99大工哲弘さんのコンサートで、メンバーさんと一緒にステージに上がって全5曲の歌を歌わせてもらいました。
あの時私はステージに立った瞬間から鳥肌が立ちっぱなしでした。
そしてみなさんと一緒に歌っているうちに涙があとからあとから溢れ、言い知れぬ感動に襲われていました。
みなさんが一生懸命、障害と立ち向かいながら、笑顔でステージに立って歌っている。
そしてそんな姿に囲まれながら、歌により更に一体感を得た瞬間に、私の涙が止まらなくなってしまったのです。みなさん、生きるのに一生懸命なんだ、そう思いました。

あの日の感動は絶対に忘れることはないと思います。
そして更には、みなさんの生きる姿に励まされたこの4週間から得た思いこそ、深く私の心に刻まれ、消えることはありません。

私とメンバーさんとの出会いは、一実習生とそこに通所するメンバーさん、というだけのものでした。
しかし、その内容はそれだけでは言い切れないものだったと思います。
毎日みなさんからパワーをもらい、様々な苦悩を抱えながらも一生懸命に生きている姿を見せて頂いた、
それは言葉にし尽くせないほど大きなものを私に与えて下さったのです。

4週間、振り返ると本当に楽しく、そして学ぶことの多い日々でした。
温かく、まるで以前からそこにいたかのように私を向かえて下さったみなさん、これからも遊びに行った時は、よろしくお願いします。たくさんの思い出、たくさんの思いやり、そしてたくさんの感動を、本当に本当にありがとうございました。

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