『こ・こ・ろのケア』ボランティア情報
京都 VOL.6 1995.7.10
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第35回社会福祉夏季大学〜阪神・淡路大震災に学ぶ〜
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兵庫県社会福祉協議会は、7月20日(木)・21日(金)の2日間、宝塚市市民会館大ホールで、「震災と福祉」をテーマに、第35回社会福祉夏季大学を開催する。日程とプログラムは以下の通り。
第1日7月20日(木)10時20分〜16時30分
講義「大震災と情報」神戸新聞社編集局総務 石山靖男氏
シンポジウム「私たちが学んだもの」―大震災から得た教訓と課題―
神戸都市問題研究所長・長田区真野地区まちづくり推進会相談役 寺西悠司氏
京都府社会福祉協議会参事・地域福祉部長 芝田宇佐男氏
社会福祉関係者救援合同対策本部西宮現地事務所責任者・大阪府社会福祉協議会
施設福祉課長 佐藤貞良氏
特別養護老人ホーム・園田園園長 中村大蔵氏
大阪ボランティア協会事務局長 早瀬昇氏
コメンター&コーディネイター 全国社会福祉協議会地域福祉部長 和田敏明氏
第2日7月21日(金)10時〜15時30分
講義「震災とこころのケア」大阪府立看護大学教授 服部祥子氏
講義「被災を通して見えるノーマリゼーションの進行度」
身体障害者自立生活問題研究所長谷口明広氏
特別講演「人間再発見」作家・藤本義一氏
記
対象:福祉関係者の他、福祉に関心のある方ならどなたでも参加できます。
募集人員:800名
聴講料:6000円(申込と同時に前納)
締切:7月12日(水)但し、定員に達し次第締切。
開催要項・申込書問い合わせ先:
兵庫県社会福祉協議会 神戸市中央区坂口通2-1-18 兵庫県福祉センター内
п@078-242-4633
FAX 078-242-4153
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ボランティア募集
連絡先:日精診支援センター事務局
030-13-52029 FAX 078-271-3002
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「外国人救援ネット」では、8月1日、2日(11:00〜20:00)中央区の中山手カトリック教会で、「こころのホットライン」を開きます。被災した外国人の生活相談を電話で行うもので、日精診支援センターが協力する。英語・スペイン語・タガログ語・中国語・ポルトガル語・ベトナム語・韓国語・タイ語の通訳がつく。両日、こころの相談に参加するDR,PSW,CPのボランティアを募集。7月21日までに日精診支援センターに連絡・問い合わせてください。
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避難所の現況
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災害対策本部民生部が5月9日から16日にかけて行った「避難所個別面談調査」の結果が明かになった。366の避難所を対象に、14063世帯のうち12951世帯の回答があった。1世帯あたりの平均人員が2.1人で、一人暮らし世帯が43.1%、独居の高齢者が11.8%を占めている。被災時に居住していた住居は9割以上が住めない状況にあり、70.4%の世帯が避難所をでるめどが「今のところない」と回答している。全体の9割が仮設住宅の1〜3次の募集にいずれか申し込んでいる。この調査の結果、先日報道があったように、8100戸の仮設住宅追加建築が決まった。被災時の住居の所有関係は、71.1%が借家で、り災証明の取得状況から見ると、90%が全壊(全焼)となっている。一方、避難所を出るめどがある世帯の42%が、仮設住宅を次の住居と答えている。民生部の「今後の対応」の中に、『避難世帯に対する個別ケアの実施』がうたわれているが、具体的には触れられていない。関係者の話を総合してみると、7月末の避難所解消は必至で、立場の弱い避難者の行く末が案じられる。(日精診支援センター事務局・「支援センターウィークリー」NO.4、6月15日)。
「避難所個別面談調査」について、神戸市災害対策本部民生部の担当者に直接「調査」について聞き取りを行った。それによると、「調査」の目的は、避難所を解消するためにどのくらい追加の仮設住宅が必要か明確にすることであり、8800戸の数字は「ほぼそれくらいでカバーできるだろう」とのこと。自由記入の「今後の生活で最も不安なことはなんでしょうか」の回答には目を通していないし、明らかにする予定もない、とのことでした。20日現在県下で西宮市60箇所(1120人)、神戸市内311箇所(20892人)の避難所・避難者数で仮設住宅の入居状況(鍵渡し戸数)は、神戸市内21147戸、市外15131
戸、合計36278戸(推計65300人)となっている。テント村会議によると、追加決定戸数に加えてまだ5000戸は仮設住宅が必要とのことです。(日精診支援センター事務局・「支援センターウィークリー」NO.5、6月22日)。
6月21日仮設支援連絡会運営委員会(NGO)によれば、各区の仮設住宅にボランティアがほとんど入り込んでおり、安否確認を主に活動を展開中で、ほぼカバーしている。各区に設置が予定の「ふれあいセンター」(行政の委託事業で、高齢者等の自立生活を支援するために、仮設地内116箇所に設置の予定)がいまだ軌道にのっていない現状。(日精診支援センター事務局・「支援センターウィークリー」NO.6、6月29日)。
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作業所の現況
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「中央区むつみ会」自主制作の「ふらわあぽえむ」(石鹸デコパージュ)が、得意先を失い、ピンチとのこと。きれいな石鹸で、一個100円。問い合わせは、上記の日精診支援センター事務局へ。「中央区むつみ会」は、ビルの2階を借りておられ、半壊の状態で、2月中旬再開し、現在修復中。また、「むつみ会」では新規の委託の作業で、「植物図鑑」が必要。牧野博士監修の「植物図鑑」をお持ちのかたは、日精診支援センター事務局へご一報を。
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震災後の心のストレス相談センター
078-333-1984 FAX 078-392-3960
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(1)活動状況(6月20月〜6月26日)
1)電話相談
51件、相談累計1831件。男性15件・女性36件。
40代後半女性:「直後は生きていてよかったと思っていたけど、だんだん腹がたってきて…何に向かって怒っていいかわからず、死んでしまいたい。」と、かなりの泥酔状態で電話してきた。「いや、大丈夫、1週間はがんばれる。」と締めくくるのに直感したボランティアが、深夜だったが来院を促したら、近辺にいたというのに2時間後に来院。後日、「本当はあのとき電車に飛び込むつもりだった。」と再TEL。
40代半ば男性:「公務員で忙しかったのは事実だが、この頃少し落ちついてきているにも関わらず、しんどくて仕方がない。それでいて、朝早く4時から5時に眼がさめて以後眠れない。」と、朝6時半に電話。
2)ボランティア参加状況
DR:東京1,福岡2。
CP&PSW:兵庫1,広島2,奈良1,大阪1,福岡1,東京2。
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「こころのケアセンター」活動報告
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~7年6月1日より6月12日までの活動に基づいた「こころのケアセンター」の活動が報告された。現時点では、「こころのケアセンター」は、仮設住宅訪問等の活動を通じ、「地域こころのケアセンター」として取り組むべきテーマを徐々に集約しつつある。
以下にいくつかの案や、課題を記す。
1 地域型仮設住宅への巡回〜福祉相談員へのサポートを中心に〜
地域型仮設住宅には、市民福祉振興協会から派遣された福祉相談員が31〜166戸に対し て1名常駐しているが、管理人の役割から介護までを引き受けている現状では、
@巡回によるサポート、
A福祉相談員グループによる情報交換・研修会
といったニーズがある。
地域型仮設住宅内コミュニティ(自治会組織等)の育成、近隣地域とつきあうため の企画等を通じて、情報やケアの行き届いた生活空間を築いていくことが課題と思わ れる。
今後の計画として、
@当面、週に一度程度巡回し、情報交換・スーパーバイズを行うシステム作り。
A各福祉相談員の共通のニーズに基づいて、情報交換会・研修会を行う。(6月下旬 以降)。
を考えている。
2 一般仮設住宅への取り組み
〜機関・団体とのネットワーク作りと、「ふれあいセンター」での展開を中心に〜
東灘区内で、仮設住宅への巡回を実施・計画している機関・団体は次の通り。
@保健所:保健婦の巡回訪問
A区社協:民生委員+ボランティアによる「友愛訪問活動」
B地域助け合いネットワーク(ボランティア)
Cボランティア情報センター(企画したが人数が不足で実施していない)
→@ABで「見回りネットワーク打ち合わせ」等をしている。
諸機関・団体のもつ課題またはニーズは、
@人手が足りない、または効果的に入居者に会えない。
A自機関管轄以外のケア、社会資源に関する情報・ネットワーク。
今後の活動としては、
@各機関・団体と定期的な連絡をとり、情報交換・ジョイニング。
各機関・団体の企画するイベントに参加。(地域助け合いネットワークの「さわやか テント」等)
A仮設住宅での自治会組織の結成の動き、「ふれあいセンター」の活用についての動き に歩調を合わせること。
Bボランティアの獲得と育成。
仮設住宅への取り組みには、地域こころのケアセンターの日々雇用職員のほかにも、 数名以上のトレーニングされたボランティアが必要と思われる。
これらのスタッフに必要な資源は、
@関係を作る力
A情報を整理し、提供・活用する力
Bメディカル+メンタルの基礎知識
Cカウセリング・マインド
Dスタッフ自身のケアシステムを持つこと
等と思われるが、次のようなプロセスをシステム化して、実施してはどうかと考え ている。
(1)区社協窓口でボランティア登録してもらう。
(2)こころのケアセンターの活動日程に沿い、研修と平行して活動してもらう。
(3)諸機関・団体との関係づくり、仮設住宅訪問の実践は、多職域にネットワークを張っ たグループ行動が望ましい。
(4)スタッフによる情報集約・情報発信。
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日本精神病院協会企画・ヤンセン協和(株)提供のラジオたんぱ医学専門番組
「知っておきたいメンタルヘルス」
第1回「阪神大震災における精神科医療体制」日本精神病院協会情報委員長、長尾卓夫 (95年3月6日放送)
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VOL.5でお知らせしました日本精神病院協会企画・ヤンセン協和(株)提供のラジオたんぱ医学専門番組「知っておきたいメンタルヘルス」を入手しましたので、内容を紹介したいと思います。。
第1回は、日本精神病院協会情報委員長、長尾卓夫先生の「阪神大震災における精神科医療体制」(95年3月6日放送)です。
今回の大震災は、淡路島を震源として神戸市及び兵庫県南東部のいわゆる阪神地区という人口の密集した大都市部におきた未曾有の大災害でありました。
地震直後は、家屋の倒壊や火災、電気・ガス・水道・道路といったいわゆるライフラインの寸断などのことから、避難所に30万人を超える人達が避難をしました。
この震災の、兵庫県における精神医療が、どのような状況にあったかについて、お話したいと思います。
まず、震災によって、医療機関も大きなダメージを受けたことが上げられます。精神科の診療所においても、全焼したり、ビルが半壊したりして、診療不能になったところがあり、また建物が無事であっても内部がむちゃくちゃな状態となっていたりで、すぐには診療できない状況が生まれていました。
これに加えて、道路・交通機関の寸断により、医師自身が診療所にいくことがスムースにできない状態ともなっていました。また、診療を始めても、薬品の補充ができないということも生まれました。
精神科病院では、幸いにも大きな損壊を受けたところはなく、通院していた患者さんや、焼け出された一般の人達の避難所にも一時なっていたところがありました。
このような状況に於いて、患者さんはどうであったかといいますと、地震そのものや、地震による倒壊、火災によって住む家が失われ、その恐怖とストレスにより精神症状が悪化した人が多く、新たに急性の反応性の精神病状態を起こした人もでてきました。
また、寸断された交通により、病院・診療所に行けない、例え行けたとしても診療所があけられていないとか、薬がないとかいった状態で、服薬の中断による症状の再燃・悪化もでてきました。
更に、避難所においては、暖房もなく、寝るスペースの確保がやっと、といったところで、着のみ着のままで多くの人達が、全く自分一人、また家族だけの空間と時間を持てないというプライバシーの保てないところで生活する状態のために、緊張を強いられることになりました。
このような中では普通のときであれば、ある程度軽い症状や、障害を持っていても家庭や地域でなんとか支えられてきた精神障害者とか、痴呆性の老人等の人達がストレスに耐えきれなくなり、いろいろな問題行動を表面化させてきたため、周りでも支えきれなくなってきたこともありました。
このような中で、まず精神医療の救急的な診療対応ということで、兵庫県精神保健センターから厚生省を通じて、全国の自治体に支援要請が出され、1月24日頃よりその支援のもとに、神戸市の6保健所と、西宮・芦屋・伊丹・津名の計10保健所に精神科医療救護所がおかれ、精神科医師の常駐が始められ、また、他の保健所でも地元の精神科病院・診療所・多くのボランティアとの連携によって精神医療の確保がはかられました。
しかし、様々な面で情報の不足・混乱が起こっていたため、兵庫県精神病院協会から精神医療に関しての情報の一元管理を強く要望し、1月26日に急遽関係諸団体が会合を持ち、兵庫県精神保健センターが精神医療についての情報を一元管理すること、支援に入っている精神科医療チームはそれぞれの保健所を核にして、支援・診療活動の情報交換を行うことが決められました。余りにも被災の範囲が広く、大きいため、充分とはいえない面もありましたが、この情報を一元化し、精神保健センターニュースとしてその状況や支援活動のあり方、対応の仕方等を流して、精神医療活動に基本的な方向性を持たせていった効果は、大きなものであると思います。
精神科救護所に常駐したり、避難所を巡回診療する支援医療チームにより、まず精神科にかかっていた患者さんへの薬剤の供給・精神症状の悪化した人への救急対応が始められました。そして、入院の必要がある人に対しては、当初県立病院や、近辺の病院への入院対応が多く成されましたが、搬送手段や交通マヒ等により、混乱した面もあり、これらを解消し、スムースな入院ルートの確保のため、兵庫県精神病院協会では、日本精神病院協会に対して、支援チーム派遣を要請し、地区別の3病院が24時間体制の入院受け入れ窓口として機能することになりました。
また、兵庫県南東部は、地理的に大阪に近いため、大阪精神病院協会と大阪府に対しても入院の受け入れを依頼し、相当数が大阪に受け入れられています。ちなみに1月17日から2月18日までの1カ月の兵庫県下の入院数は、1262名に上り、普段の約2倍に相当する数となっています。そして、その大多数が1月20日頃から、2月初旬にかけて集中しています。
このような緊急対応によって、精神医療の混乱も、次第に収拾に向かいつつあり、地元診療所の機能が回復してきたことに伴い、精神科救護所の常駐は3月に入ってから徐々に撤収が始まっています。しかし今尚震災前の診療体制には戻っていないところも多く、精神障害者にとっても、家が失われたり、安いアパートがなくなってしまったり、地域で支えられていた共同作業所がなくなったりという問題もあり、こうした面での対応も、精神障害者が取り残されないよう早急に必要と思われます。
今一つの問題点は、広い意味でのメンタルヘルスをどう考えていくか、ということがあります。今回の大震災による精神的なストレスは、被災したすべての人に計り知れない影響を与えているところがあります。そして、こうしたストレスも、特に高齢者や児童、何らかの障害を持っている人には影響も大きなものがあります。
私が相談を受けた方も、少し高齢の方で、地震後の数時間の行動の記憶がなく、その間「何回も同じことばかり家族に聞いていたらしい、ぼけてしまうのかと心配だ」とか、「少し音がするとビクッとする」、「イライラする」、「眠れない」等といった症状を訴えられていました。これは、「災害後のストレス障害」とされる範疇にはいるものですが、避難所などに於いても、不眠・不安・イライラ感等があっても「こんな状態では我慢しなくては」と思って、表に表せない人や、また、精神的なことで相談するのははばかられる、と感じている人もかなりおられるようです。仮設住宅の建設が進むことや、ガス・水道の復旧に伴い、避難所からの生活から解放され、ホッと一息つくときが新たな問題がでやすい時でもあります。日本人の特性として、こころの表出が苦手な面もありますが、ある程度自分の思いを誰かにぶつけることでもこころの痛手は癒されるものがあり、こうしたこころの悩みを少しでも気軽に相談できるように、電話相談窓口がいくつか設けられています。また、兵庫県でもこころのケアのためのパンフレットを配布したり、専門家による講演会を開き、啓発活動を行いつつあります 。また、子どもにおいても夜驚であるとか、幼稚っぽくなる退行現象が出たりしています。特に成長に伴い、問題を残さないようにすることが大切であり、兵庫県・神戸市の教育委員会に、専門医がスーパーバイザーとして日精協などから派遣されています。
他にも、自分自身が被災しながらも働き続けなければならない関係者や、ボランティアに対する配慮も必要であり、こうしたこころのケアの問題は、長期的な見通しをたてて組織的な活動をする事がますます望まれるところです。
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当方で所持している参考資料
コピー(1枚10円)・郵送実費で行います。希望される方はYOUYOU館へ返信用の封筒にあて先を明記して申し込んでください。
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東灘区在住の臨床心理士・斉藤文夫氏の作成されたパンフレット、東灘・地域助け合いネットワーク「大震災とこころの保健」(B5 6P)、「大震災とこころの健康回復」(B5 7P)。前者は、大震災を乗り越えるためにこころの保健という観点から参考になるかと思われることをまとめたもの。「こころの地割れや液状化はだれにもおこりうる」、「余震あって地固まる」といったわかりやすい項目、21箇条。後者は、こころの健康回復という観点から、「地震後のこころの変化の過程」を含む教訓的な項目25箇条。
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│ この情報誌は、当面本年10月末まで、月2回刊行を目標に発行していく予定です │
│送付を希望される方は、80円切手を下記の連絡先までお送りください。また、ボラ│
│ンティア情報をおもちの方は、情報を読んだ人が活動のイメージをもちやすいよう│
│に、なるべく簡潔な形にまとめてお送りください。 │
│ 「『こころのケア』ボランティア情報・京都」宛 │
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●山根寛先生、郵送費のカンパをありがとうございました。
■「こころのケア」ボランティア情報・京都では、10月までの郵送費・及び印刷費とし て約6万円が必要です。現金・不要な切手のカンパをお待ちしています。