診療日記(2013年6月8日更新)





この日記は、医院での診療の様子をお伝えするものです。ホームページを見て、受診した患者さんから、日頃の診察の様子や、医者がどんなことを考えているかがわかると、受診する時の参考になるということで、このコーナーを開設しました。かなり、面倒なので反響が乏しければ、消滅する場合もあります。悪しからず。


6月X日



中国へ旅行した人から聞いた話。
中国の西域には、風力発電が盛んで、砂漠のような土地に数千、数万の風車が回っているそうだ。
太陽光発電も盛んで、あたり一面にパネルが並んでいるところがあるらしい。
中国は石油の消費が高くて、大気汚染がひどいというイメージを持っていたが、
それはごく一部の情況らしい。

少し驚いてしまったが、ネットで調べると、
設備容量で比較すると、中国の風力発電が7万5564MWに対して日本は2614MWで30分の1しかないらしい。
2012年の新設設備になると、中国の1万3200MWに対して日本は88MWにとどまり、中国と比べると150分の1の規模である。

日本は、海に囲まれているため、洋上風力発電だけで、電力の総需要をまかなえると予想されている。
洋上風力発電の設備容量は、2012年には全世界で1292MWの洋上風力発電設備が新設されている。
トップは日本と同じ島国の英国で、2012年だけで854MWも増加した。
英国の累積は2948MWまで拡大している。
中国の洋上風力は累積で390MW、日本は25MWである。

英国の洋上風力発電は日本の100倍以上にあたる。

再生可能エネルギーで日本は完全に立ち後れているらしい。



5月X日



今日受診した患者さんはスマホを取り出して、自分の睡眠パターンを分析して、
どのような眠剤が適当かを提案してくれました。
i-phoneのアプリで「快眠サイクル時計」というものなんだそうです。
枕元に置いておくと、睡眠中の身体の動きを解析して、
睡眠パターンをグラフにして知らせてくれる。




そうなのか。
こんなものが出来ていたのか。
もう、終夜脳波など取る必要がない感じだ。
これまでは、診断機器は医療機関にしかないものだと思ってきたが、
医療機関より自宅のほうに、診断機器が豊富にあるという時代になってきた。
必要なプログラムさえ手に入れば、患者が自己診断する時代がもうそこにやって来ていることを実感した。



4月X日



今日は滋賀県精神科医学会に行きました。
日曜をつぶすのは、負担ですが、一日色々な人の話を聞きました。
 なんだか不思議な話もありました。
自殺率の研究のために、色々と調査したら、男性は結婚と貯金が自殺予防効果があるらしいことがわかったそうです。
貯金というのは、郵便貯金を指すらしく、ゆうちょ銀行ですね、一般の銀行の預金額との相関はないらしい。
不思議です。
何故郵便局なのか。
 女性は、失業と自殺率に相関があり、不思議にも生活の場の温度と逆相関するらしい。
暖房をけちると、女性は自殺しやすくなるのか。
それにしても女性には結婚が自殺の予防にならないらしいです。
他にも、青身魚の消費量との相関関係はなかったとか。
色々と思いつくこと、噂されていることを、調べている人がいるらしいですね。
感心しました。
 また、日射量と楽天的な人の出現には相関があるらしいです。
東北が自殺率が高いのはそのせいだとか。
イタリア人がドイツ人より明るい訳です。



2月X日


診察中に、PC遠隔操作事件で出た逮捕者の話になった。
患者さんが「また誤認逮捕じゃないかな」というので、
私が混ぜっ返して、「今度つかまったのは一人でしょう。五人じゃないよね」と言うと。
待っていたとばかり、
「いやー先生。前に4人誤認逮捕してますから、今度こそ5人逮捕ですよ」
そうくるか。
油断大敵だなあ。
すべて、先を読まれているようだ。


2月X日


診察中に、ロシアの隕石が話題になって、
「隕石の落下を目撃するなんて、珍しいことですね。
大体、身近なところに隕石が落ちることなど滅多にないですね」
と言ったところ、患者さんが、
「そんなことないですよ」と
あきれ顔で答えました。
「そうかなあ」と返すと、
「私の家など、隣に隕石が落ちたんですよ。屋根に穴が開いて、新聞にも載りましたよ」
「う〜ん」
やはり、色々なことがあるようです。
ネットで調べてみると、六回も(!)同じ家に隕石が落ちたことがあるそうです。
びっくりですね。
雨の日が多いそうです。
これからは、雨の日に注意ですね。


2月X日


岩田慶治先生が亡くなられました。
今朝の新聞で始めて知った次第です。
先生とは専門分野が違うのですが、ふとしたことでご縁が出来て、
大谷大学のゼミにも、押しかけで参加させていただいたこともあります。
ご自宅へも何度かおうかがいし、お話をお聞きしました。
庭にやってくる小鳥のお話とか、
疎水を散歩したときに顔を覗かせる鯉の話とか。
その度ごとに、私たちの見ているささやかな光景が、
タイや東南アジアのジャングルにつながってくるような
感覚になったものです。
蛙の小物のコレクションなども見せていただきました。
今でも印象に残る思い出です。


2月X日


西暦292,277,026,596年12月4日15:30:08 UCTに、
コンピューターが動かなくなるという問題があるそうです。
実に壮大なことを考える人もいるものだと思いますね。

コンピュータの世界が終わる日


2月X日


ネットのBLOGOSというサイトで、
「体罰・指導死・教師の鬱……どうする日本の教育現場!」
という討論を見ました。
大阪市立桜宮高校体育科のバスケ部顧問による体罰問題に触発されたものです。
そこから教育現場の問題にまで話は及んでいます。
前編
後編

このなかに、モンスターペアレントも話題になっています。
教育に聖域無しとか、トラブルは即警察という話もあります。
「信頼関係を個人的に作ることはほぼできなくなってきている」と断言されると、
躊躇を感じますが、トラブルの世界ばかり見ていると、
そういう割り切りになってしまうのでしょうか。
色々と考えさせられました。
教師の鬱病については、現場の過重労働が原因だという指摘は頷けます。
地域の教育力が失われて、学校だけにその責任が負わされているというのは正しいでしょう。
しかし、その力を再生していくと言っても、それはなかなかに難しいでしょう。



2月X日


ある福祉団体の評議委員会に参加しました。
私も話の流れで、過去の体験も語ってみましたが、
参加者から、そのころはまだ生まれていないという話が出たりして、
時の流れを今さらのように感じました。
最初のころから活動している人から、
熱心に活動していた人たちが、高齢になって、運動から脱落している、
孤独な生活をしている人も多い。
活動から縁遠くなっても、前のように和やかに交流して、
いのちを終えられた良い。
そのような活動を考えていきたいという話が出ました。
社会運動とか福祉運動に参加した人のターミナルケアなのでしょうか。
そういうことを考えるのが適切な時代になってきたのかと思いました。


2月X日

朝起きてみると、一面の雪景色でした。
久しぶりのさらさらした粉雪。
わずか1cmたらずのつもりかたです。
生まれ故郷の金沢では、雪が降ったとも言えない程度ですが、
京都では珍しい積雪です。
こんな粉雪なら、金閣寺あたりの雪景色はさぞや美しいことだろうと想像しました。
さて、仕事が終わって帰り道、
今度はすごい牡丹雪です。
これは北陸並みの降り方です。
自転車で帰宅するまでに、体中雪だらけ。
故郷での雪の降り方を思い出しました。


1月X日


最近診察したおばあさん。
認知症で、何を聞いても返事をしない。
黙っているだけ。
わかっているのか、いないのか。
自宅とショートステイを行ったり来たりしている。
ショートステイを利用すると、最初は嫌がっていたが、だんだん慣れてきて、
最近は利用を楽しみしている様子。
「お家で、同じ顔ばかり見ていると、元気がなくなるんでしょうかね。」
家族が「そりゃお互いに気分転換になりますからね。助かります」
私「そうですね。家族もたまには入れ替わったりすると良いかも知れませんね。」
家族「親戚が来たりするのも良いんでしょうね」
私「たまには、親子、夫婦も変わると良いのかも知れませんね」
すると、それまで黙っていたおばあさんが、
大声で「それはいけません!」
認知症と思って油断したら、全部聞いていたのですねえ。


1月X日


東南アジア在住の中国の人と話をする機会がありました。
20代後半ですが、自分の人生設計、職業選択を現在の中国の動きとむすびつけて、
熱を込めて話してくれました。
実に説得力があって、地に足がついている感じです。
中国と東南アジアを行き来して、自分の人間的力量を付けていくのは眼に見えるようでした。
同年代の日本人と比較したら、とても足下にも及びません。
これだけ、自分を語れる人が日本にどれだけいるのだろう。
現時点で同年配の日本人と論争したら、日本人に勝ち目はないと感じました。
そもそも、自信のありようが違います。
しかし、彼の語ることは、どこか日本の1970年代か80年代の乗りがありました。
その道は、かって我々の歩いた道だよと言ってみたくなりました。
今後の中国の課題はと聞いたら、「沿岸部と内陸部の経済格差」との返事でした。
「全体の経済発展の中で、格差は解消されるでしょうか」と聞くと。
「それは、極めて困難でしょう。楽観的に語って済ませられない、中国の大きな課題です」
明るく将来を語る彼の表情が、真剣そのものになりました。

ネットで見た情報です

これじゃあ。中国人に元気があって、日本人に元気がないはずです。








1月X日

数日前から、風邪気味で、声がかれてしまった。
診察中も、声がかすれて話しにくい。
患者さんの中に、
「いやー。先生も声変わりですか。いよいよ思春期ですね。」
などと言う人もある。

診察が終了すると、
いつも私が「お大事に」と言っているのに、
患者さんから「お大事に」と言われる。
一度は、そう言ってみたかったという具合に、
皆さん顔がニンマリしている。
たまにそういうことがあっても良いのかも。



1月X日


いただいた年賀状の中に、ホームページの更新がないというおしかりの言葉がいくつもありました。
振り返ってみると、昨年の8月ごろから更新がない。

これは努力して更新しなければと思った次第です。
今日は、受診した患者さんから、「私の指輪の写真が載っていましたね。」と言われました。
ケロリングのことです。
医院のHPを見ている人もいるのだと思いました。




1月X日


今年の年頭にあたっての天皇陛下のお言葉です。


東日本大震災から2度目の冬が巡ってきました。放射能汚染によりかつて住んでいた地域に戻れない人々や,仮設住宅で厳しい冬を過ごさざるを得ない人々など,年頭に当たって,被災者のことが,改めて深く案じられます。今後,震災や津波による被害の経験を十分にいかした防災教育やまちづくりが行われ,人々の安全な生活が確保される方向に向かうよう願っています。

日本は,大震災の影響等により,現在厳しい状況に置かれていますが,皆が被災者に心を寄せつつ,互いに支え合って様々な困難を克服していくよう期待しています。

本年が,我が国の人々,また,世界の人々にとって少しでもより良い年になることを祈ります。


ほとんどが、東日本大震災のお話です。
このような言葉が出てくるのは、天皇陛下が被災地をめぐり、親しく被災者と言葉を交わされたからだと思います。


自民党の安倍総裁の年頭挨拶は、選挙に勝った話が中心で、被災地の話は終わりの方の「東北の復興においては、より深く被災地の生活に入り込み、国が責任をもって決断・指示し、真に被災地のニーズに応え得る復興策の加速化を図ってまいります。」という部分。
放射能のことなど触れてはいない。

この手の挨拶は、どこの政党でも似たり寄ったりだろう。
国会中心の活動をしていれば、被災地のことが二の次、三の次になるのもうなずける。
しかし、それでは数ヵ月先をにらんだ政治は行えても、二十年、三十年先の役には立つまい。








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