診療日記(2013年12月23日更新)





この日記は、医院での診療の様子をお伝えするものです。ホームページを見て、受診した患者さんから、日頃の診察の様子や、医者がどんなことを考えているかがわかると、受診する時の参考になるということで、このコーナーを開設しました。かなり、面倒なので反響が乏しければ、消滅する場合もあります。悪しからず。


12月X日

福島県の原発事故被災地にある病院を院長先生の案内で見学してきました。
病院は避難解除準備区域にあるため、居住・宿泊はゆるされていません。
宿泊が許されない病院というわけですから、当然診療はできません。
付近の住民もいませんし。
病院の中は、避難指示があった時のままです。
黒板など、避難の日の日付が書かれていて、
カレンダーも事故の月のままです。
地震の被害があるわけでもなく、
建物はすぐにでも使えそうです。



すでに2年9ヶ月、使われていません。
少なくとも今後、2年4ヶ月は使用できないそうです。
病院が戻れる状態になっても、住民が戻らなければ、機能しません。
天窓から、光がたっぷり入る設計になっています。
工夫して建てた建物でしょうに、無念だなあと思いました。
光だけが白々と明るく。


12月X日


秘密保護法が成立して、その逐条解説があきらかになった。
その中で、秘密の取扱者から精神疾患者を排除すべきだという項目がある。
それを見ると、こうある。

「精神疾患に関する事項
特別秘密の取扱者としてその保護のための措置を適切かつ確実に講ずるためには、常に、特別秘密の保護に関わる各種の規範を理解し、自己を律してこれを実行する必要がある。この点、精神疾患により意識の混濁・喪失等が生じたり、薬物依存症・アルコール依存症の症状が見られたりするという事実は、自己を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかも知れないといういことを示唆していることから、こうした事実が見受けられる者には、本人にその意図がなくても特別秘密を漏らしてしまうおそれがあると評価し得ると考えられる。」

この文章を読んで、通常の臨床経験を積んできた精神科医なら、何のことを言っているのか理解不能だろう。
このような定義に当てはまるような精神疾患は存在しない。
存在しないような対象を想定して、法律が作られているのだとしたら、
他にも、専門家が見て吹き出すようなトンチンカンは内容が多々存在していることだろう。
一体だれが、このような法律案を作り、無理押ししたのであろうか。



12月X日


ラーメンネタで文章を書きましたので、確認のためにお店を訪れてみました。
ともかく、沢山の人で、行列が長く、とても待ち切れませんでした。
「ラーメン荘 夢を語れ」など大変です。
凄い人気です。
隣の有名店の「天天有」など影が薄くなっています。
とうとうあきらめて「横綱」でおちゃを濁してきました。



11月X日



京都精神科診療所協会の講演会に参加。
終わってからの情報交換会に出て、いろいろおしゃべりしていると、
傍らの先生が、「最近、ソムリエの試験に合格しましてね」と見せてもらったのが、
このバッチ。



イヤー。凄いですね。
診療の傍ら、こういうことに蘊蓄を傾けていたのか。
見ると、宴会場のホテルの従業員も同じバッチをつけている。
二人は、何か目配せしている感じ。
「これを取るにはさぞかし、投資が必要でしょうね。」と聞くと、
「試験に出るのは、2000円程度のワインが多いのですよ。
たまに、グラス10000円程度のものも飲みますが、
高級ワインばかり飲んでいると、ソムリエの試験は通りません。」
そんなものかと聞いていると、
「試験問題に高いワインを出すと、受験料が高くなって、
誰も受験しなくなりますから」
なるほど、説得力がある。


11月X日

同志社大学で行われた学会に参加した。
良心館という最近できた校舎に入った。
床が石畳になっていて、落ち着きと重厚さがすごい。
これは安定感があるわいと思った。
考えてみると、私の学んだ大学では、
校舎の廊下は、合成樹脂かなんぞで作ってあって、
弾力があるけれど、どこか軽薄な感じがしていた。
そういう床を歩いていると、そもそも大学で教える学問など、
その場しのぎと知識に過ぎず、実社会での検証にとても耐えるものではない。
そういう感覚を持つようになっていた。
本番はこの先にある。
大学教育など、プレハブ校舎で教えられ付け焼き刃にすぎないのだ。
そういうことだ。
しかし、大学の廊下が、こんなに安定感を持つのでは、
実社会より、こちらの方に真実があり、不動の価値があるという
イメージが作られるのではなかろうか。
格式あるホテルとまがうようなトイレにも入って、
その疑いは一層深まったことだった。



11月X日


京都で年に三回開かれる古本市。
ほとんど毎回出ていますが、
今年の知恩寺にはは最終日だけ顔を出してみました。
色々スケジュールが重なったからです。
これまでの教訓は、なるべく買わないということです。
家に持って帰っても、置く場所がない。
それで、良さそうな本が見つかると、本の著者や題名を
記録して、図書館で探すという方法に切り替えました。
「この著者にこんな本があったのか」とか、「こういうテーマで書いている人もいるのか」
など、現物を見てはじめて気付くということもあります。
最近は、ネットで本を購入することが多く、本屋に行かなくなりました。
それで、どうしても見落としがでてきてしまうのですね。
やはり、定期的に書店は覗いてみないといけません。
古本で、どうしても買ってしまうのは、長年探していた本とか、
ともかくやたらと安いとか。
小出版社で、次にいつ見つけられるかわからないとか、古本に出そうもない場合。
そういうつもりで買って、家に帰って、ネットで調べると、一冊300円とかだと、
腹が立ってしまいます。
まあ、そんなに怒るほどでもないのでしょうが。
今回は、和本の『毒語注心経』と『大智禅師偈頌』を買いました。
『毒語注心経』は明治の版ですが、ともかく字が美しいので、ついつい手が伸びてしまいました。
『大智禅師偈頌』は文政3年の版ですから、出版してから200年ほど経ったものです。
どちらも1000円ですから、安いのか高いのか。
そして、うろうろしていたら、Edith Steinの著書2冊と、彼女の伝記を見つけました。
ドイツ語で読める可能性はないのですが、買ってしまいました。
一冊500円でしたから。
家に帰ってパラパラ見ていると、前の所有者は京大経済学部の教授だった
大野英二氏のようです。
彼女の伝記と自伝は読んであるけれど、主著の『Endliches und ewiges Sein』
は開いた様子はない。
やっぱり、むつかしかったのだろうかな。



10月X日


久しぶりにピアカウンセリングの講演をしました。
講演と言えば、大概1時間からせいぜい1時間半なのに、
今回は2時間。
いつもは、イスに座って話すのですが、
マイクがないので、ついつい立ってしゃべりました。
坐ってしまうと、大きな声が出なくなりますから。
ところが、立っているのが結構大変で、
まあ疲れちゃいました。
やはり年だなあとか考えますね。



10月X日


タクシーに乗ったら、あれ、この前乗った人じゃないですかと言われてびっくり。
同じに人に乗ってもらうなどということは、滅多にないことですと言われてしまった。
いやあー偶然ですねと言うと、目的地は知っていますよと言われて、
びっくりというわけはないですね。
所が、この前タクシーに乗ったら、またまた同じ運転手さんで、
おなじく、びっくり。
これが、異性だったりすると、この偶然には意味があるのでは、
と思う所なんでしょうが、
おじさん二人では、どうにもなりませんね。



10月X日


ホームページの更新がないというおしかりをいただいた。
とくかく、話題を探して、
載せてみました。

最近の医院での話題のひとつはラーメングランプリ。
京都のどこのラーメン店がおいしいかという話。
あるスタッフがうんちくを傾けてくれた。
第三位は、「新福菜館の堀川三条店」。真っ黒なチャーハンがおすすめ。
第二位、「ラーメン荘、夢を語れ」。人を選ぶラーメン。
どかもりです。
ニンニク入り、油入り、辛めでなどと通は頼むらしい。
麺が普通の三人前ぐらい入っている。
小や麺半分と言っても多いくらい。
第一位、「極鶏」というラーメン店。
鶏ポタと言われる、鶏白湯。
鶏ポタージュ。
どろどろのスープ。
ともかく、京都のラーメンは美味しい。
一乗寺はラーメン激戦区ですから。






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