教育現場とこころの病 (2008,12, 27 更新)
このコーナーは2007,6,20教育三法国会成立を記念して開設しました。
数年前のことですが、文部省から報告書が出るたびに、新聞に記事が載せられていました。
それは、不祥事を起こした教師の数や、休職中の教師の数を報告するものでした。
その中に、猥褻行為で処分された教師の数と、こころの病気で休職している教師の数が同じグラフのなかで、紹介されていました。
まるで、心の病気で休職している教師は、猥褻教師の予備軍であるかのようなグラフでした。
その後、こうした発表は、あからさまな表現はされなくなっていますが、心の病気で休職する教師は駄目教師であるというような風潮は、教育現場では強いものがあります。
聞いてびっくり、唖然とする話には、本当に事欠きません。
文部科学省や自治体の教育委員会は、日本の中で一番、メンタルヘルスを理解しない人々の集団だと思います。
と言うわけで色々書きたいのですが、現場で知ったことは、差し障りがあって書けませんので、このコーナーでは、新聞報道などの内で、教師と精神疾患との関連に触れたものを気づいた範囲でご紹介します。
皆様の、ご意見をお待ちしています。
休職教職員 『保護者対応など背景』 精神疾患最多62%
2008年12月26日 朝刊 東京新聞
二〇〇七年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立小中高校などの教職員は四千九百九十五人(前年度比三百二十人増)で、全病気休職者八千六十九人(同四百十四人増)の約62%を占め、調査開始の一九七九年以来最多だったことが二十五日、文部科学省のまとめで分かった。
精神疾患の休職者は十五年連続の増加。文科省は「子どもや保護者への対応が昔ながらのやり方では通用しなくなったことや、多忙な職務、職場の人間関係など、環境が厳しくなっていることが要因では」とみている。
調査は全国約九十一万六千五百人の教職員が対象。都道府県と政令指定都市の計六十四教育委員会の懲戒や分限処分などの数を集計した。
通勤手当の不正受給など、公費の扱いをめぐる処分は七十六人で、前年度より五十一人増えた。最も多いのは秋田県の二十四人で、愛媛県九人、東京都八人の順だった。
わいせつ行為などによる処分は百六十四人(同二十六人減)。被害者は勤務校の児童生徒と卒業生が44・5%。態様別で最も多いのは「体に触る」で、四十件に上った。
国旗掲揚や国歌斉唱に絡む処分は五十四人(同四十四人減)。東京都の二十六人が最多で、広島県二十一人、新潟県三人など。飲酒運転での処分は八十一人(同二十人減)で、全員が免職か停職となった。
(コメント)
毎年、文部科学省から発表される統計を報道するものです。休職や処分の実際を伝えようとするものなのですが、精神疾患で休職している教師の数と、わいせつ行為で逮捕された教師の数を並べて報道するセンスにはいつも驚いています。ずいぶん以前は、同じグラフで表していた時代もあるのですから、これでも変わったと言うべきなのでしょうか。
教員の病気休職63人 62%が精神疾患 07年度県内
12月26日更新 佐賀新聞
2007年度に病気休職した小中高校などの教職員は前年度比414人増の8069人だったことが25日、文部科学省の調査で分かった。
このうち精神疾患による休職は62%の4995人で、いずれも過去最多を更新。
県内の病気休職者は63人(前年度比6人増)で、うち精神疾患による休職は39人(同2人増)。
県内も同様に過去最多を記録した。
調査は都道府県と政令市の教育委員会を対象に実施。
県内の精神疾患による休職者の割合は全国と同じ62%だった。
県教委が06、07年の精神疾患休職者を対象に要因調査(複数回答)したところ個人の性格(61%)、対人関係(60%)、業務の負担(47%)が挙がったという。過去最多となったことについて県教職員課は「学校現場へメンタルヘルスの講師派遣や出前講座、相談窓口設置など対策を拡充しており、働きやすい環境づくりをさらに進めたい」としている。
また懲戒処分や訓告などを受けたのは全国で1万7482人と前年の約4倍。
北海道教委が導入した「査定昇給制度」などをめぐり教職員組合がストライキ、約1万3600人が処分を受けたことが影響した。
県内では131人で、うち懲戒処分が6人だった。
わいせつ行為などによる処分者は164人で、うち免職は94人。
被害者は、処分された教員が勤務する学校の児童生徒が42%で、「体に触る」が40件で最も多かった。
県内でも2件の処分があり、1人が免職となっている。
飲酒運転による処分は81人で、いずれも免職もしくは停職の重い処分だった。
公立校教員:ベテランの挫折増加 孤立深める
2008年12月25日 毎日新聞
心を病む先生が増え続けている。精神疾患で休職する教員数が過去最高となった文部科学省の調査結果(25日)。
ベテランの先生でも手のかかる児童生徒に立ち往生し、多忙の中、孤立を深めている。
「最近多いのは、40代後半から50代のベテラン教員の挫折」と話すのは、北九州市教育委員会内の保健室で教員の相談にのる保健師だ。
「立って騒ぐ子に注意しても、これまでの指導が通用しない。授業が成立せず、保護者のクレームが入り始めると対処が難しい。夜間の家庭訪問や保護者説明など時間外の仕事も続き、精神的な病に陥る例がある」
最長期限の3年休職して復職したものの、辞めていく教員もいる。休職期間が長いほど復帰は難しい。
学年主任として生徒間トラブルの処理に奔走した関西地方の50代の男性教員は、自律神経失調症と診断され今春から休職した。
きっかけは肩の重い痛みと右腕のしびれ。脳血栓の前兆と思い受診したが異常はなかった。
「授業後に口が乾き強い疲労に襲われるようになった。休む理由を探す自分にがくぜんとし、心療内科でストレスが原因とわかりました」
東京都教職員互助会の三楽病院で、年900件近くの相談に対応する臨床心理士の溝口るり子さんは「悩みがあっても同僚は忙しそうで相談できず、抱え込んでしまう教員も多い」と話す。
団塊世代の大量退職で、経験の浅い若手教員も増えている。
教員の相談にのる東京メンタルヘルス・アカデミーの武藤清栄所長は「子ども同士のトラブルにどう介入していいかわからない教員が増えている。
受験、受験で教員採用に至った人も多く経験不足。相談すれば楽になるのに、『余計なことを話せば自分が傷つく』と孤立しがち」と指摘する。
07年度に精神的な病で休職した教員は全教員の0.55%。だが武藤さんは、時々休んだり、抗うつ剤を服用して働く教員はその5倍程度に上ると推測、休職予備軍のすそ野は広いとみる。
【山本紀子】
<公立校教員>過去最多4995人うつ病などで休職
12月25日19時58分配信 毎日新聞
07年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は4995人(前年度比320人増)で過去最多だったことが、文部科学省の調査で分かった。
15年連続の増加で、01年度(2503人)の約2倍。
病気休職者に占める割合も13年連続で増え、過去最高の61.9%(前年度比0.8ポイント増)に達した。
文科省は「重大な結果。教員のメンタルヘルス保持の取り組みを充実させたい」とコメントした。
全国の公立小中高校や特別支援学校などの教員計約92万人を対象に調査。病気休職者全体の数も8069人(414人増)と過去最多で、14年連続で増えた。
精神疾患の大多数はうつ病で、適応障害やパニック障害、統合失調症なども含まれるという。
年齢別では40代(37.5%)と50代以上(35.2%)で7割以上を占めた。
文科省によると(1)従来の指導方法が通用しなくなり自信を失う(2)保護者との関係が変化し説明を受け止めてもらえず悩む(3)業務の多忙化や複雑化(4)家庭の事情−−など複数の要因が絡んだケースが目立つ。
メンタルヘルスに関する面接相談窓口があるのは08年10月現在、64都道府県・政令市教委のうち53教委、精神疾患の復帰支援プログラムを実施しているのは48教委だった。
調査では07年度に懲戒処分(監督責任を除く)を受けた教員が1万2887人だったことも判明。
前年度比1万1728人の大幅増だが、うち1万1893人は北海道で、査定昇給制度などに反対する争議行為で処分された教員だった。
処分の理由別では▽酒気帯びを含む飲酒運転81人(前年度比20人減)▽わいせつ行為139人(31人減)▽体罰124人(45人減)▽公費不正執行または手当などの不正受給40人(24人増)などだった。
【加藤隆寛】
「週に休める日ない」44% 教員の心の健康調査
北海道新聞(11/07 08:04)
「一週間の中で休める日がない」と回答した教員は44%と一般企業の社員より三倍も多い−。
教師のメンタルヘルス(心の健康)対策に関する文部科学省の委託調査で、教員を取り巻く厳しい環境が明らかになった。
日常生活で気持ちが沈んでうつの傾向にある教員の割合は一般企業の二・五倍にも上った。
二〇〇六年十一月−〇七年三月にかけ、東京都教職員互助会と企業のカウンセリングを専門とする会社が、道内を含む七都道県の公立小中学校の教師千六百人を対象に行った。
仕事で「とても疲れる」と答えた教員は45%で、厚労省が実施した同様の労働者健康状況調査(〇二年)の一般企業社員の回答平均14%と比べ三・二倍だった。
ストレスの原因として「仕事の量」と回答した割合は一般企業32%に対し、教員は61%もいた。
うつ傾向と関連深い質問をしたところ、「気がめいる」と回答した教員は44%、企業20%、「いろいろなことに頭が回らない」は教員44%、企業21%、「気持ちが沈んで憂うつ」教員28%、企業10%など、自覚症状を訴える教員は一般企業の社員に比べ平均で二・五倍多かった。
「一週間のうち休める日がない」は教員44%と企業より29ポイント高く、「児童生徒の訴えを聞く余裕がない」は62%で、教員が慢性的に多忙でストレスを抱えていることが浮き彫りになった。
調査を行った会社は「教員のメンタルヘルス対策は遅れておりカウンセリングの充実が必要」と分析している。
(コメント)
カウンセリングの充実より、休暇の充実が先決ですね。
メンタル対策「十分」1%未満
文科省が教委・教員調査
京都新聞(2008,11,6)
精神性疾患で休職する教員が増える中、メンタルヘルス対策が「必要」と認識している教育委員会は78・6%に上る一方、具体策に「十分、取り組んでいる」とする教委は0・8%にとどまっていることが6日、文部科学省の委託調査で分かった。
教員への調査では、うつ病傾向と関連が深い「気持ちが沈んで憂うつ」との質問に27・5%が該当すると回答。2002年に調査した一般企業の9・5%と比べ約3倍という結果だった。
調査はカウンセリング会社が東京都教職員互助会の協力を得て実施。今年3月までに、全国1842教委のうち473教委、7都道県の公立小中学校の教員約1100人から回答を得た。
結果によると、メンタルヘルス対策は「必要」78・6%と「まあ必要」19・9%を合わせ、ほぼすべての教委が必要性を認めた。しかし対応策では「十分に取り組んでいる」が0・8%、「まあ取り組んでいる」は17・8%だった。
「仕事に意義・やりがいを感じる」とした教員は90・0%と高率で、カウンセリング会社が実施した一般企業調査(02年)の52・0%を上回った。一方で「勤務時間外の仕事が多い」との回答は89・0%あり、一般企業の約2倍だった。(共同通信)
職員室もゆとりなく 増加する県内教職員精神疾患
岩手日報(2008年8月31日)
年々、増加の一途をたどる県内の教職員の精神疾患。目まぐるしく変わる学習指導要領、対応が難しい子どもの増加、父母との関係など、昨今の子どもたちと同様、「職員室」もゆとりをなくしている。教職員の悩みに長年耳を傾けてきた県立南光病院(一関市)の山家均院長は「精神疾患の大多数は仕事の悩みや対人関係のストレス。日々、人間的対応が迫られる教職員の特徴だ」と背景を語る。
山家院長によると、教職員の精神疾患は1999年ごろから予兆があり、2002年ごろに急増したという。「地方公務員全般にそうだが、機構改革や大合併など、さまざまな社会的変化が影響しているのではないか」とみる。
山家院長が相談を受けた教職員の悩みは@教科指導A生徒指導B校内外の雑務C保護者対応−の順に多い。本県においては、へき地勤務による単身赴任の問題もあるようだ。
「頭痛が続き、眠れず、体もだるくなり、まったく意欲がわかなくなってしまった」
県内の中学校に勤める30代の男性教諭。うつ病と診断され、今年1月から休養を取っている。
昨年春、大規模校から小規模校に転勤した。職場環境が一気に変わり、職務内容に慣れることも、同僚とうまくコミュニケーションをとることもできなかった。
「みんな毎日忙しそうにしていたので、話し掛けづらかった」。1人で悩みを抱え、通院し、薬を飲みながら仕事を続けたが限界だった。
今、振り返ると「とにかく忙しかった」という。土日も部活で休めず、まして自分の健康管理などできない状態。「業務量に比べ、教職員数は絶対的に少ない。生徒とかかわれる時間は本当に少ない」と訴える。間もなく復帰する予定だが、「すぐに100パーセントの力で働くことができるだろうか」と不安を口にする。
岩教組の豊巻浩也委員長は「病休前の100パーセントを求められてしまい、また自信を喪失してしまうケースも見受けられる」と復帰後の問題点を指摘。「同僚が完治するまで長い目で見守ることが大事」と職場のサポート体制の充実を呼び掛ける。
教職員の精神疾患の増加は、子どもたちへの影響も懸念される。県PTA連合会の小野寺明美会長は「子どもたちにも影響してくることなので憂慮している」とし、「多忙な中で、一生懸命ゆえのこと。先生が1人で抱え込まないよう学校全体で理解し、協力し合う工夫が必要だと思う」と改善を願う.
2008/08/31)
◎先生、頼りは法務局 モンスターペアレントに疲れ 県内、学校と板挟みで相談急増
北国新聞(200年6月12日)
学校や教師に理不尽な要求を繰り返す「モンスターペアレント」と呼ばれる保護者への対応に苦しむ石川県内の教員が、金沢地方法務局を頼る事態になっている。
保護者と学校の板挟みとなり、誰にも話せず、人権擁護の相談窓口を利用するケースが昨年から増えている。
同法務局は法律上の助言や弁護士を紹介するなどして対応しており、法務局が「先生の駆け込み寺」となっている。
同法務局によると、保護者の理不尽な要求に悩む教員からの相談はかつて、ほとんどなかったが、一昨年一件、昨年は四、五件となった。
中には、子どもがいじめにあったとして学校にクレームを付けた保護者への対応が、担任教員一人に押し付けられて板挟みになったケースもあった。
相談者は小中学校の教員で、二十代の若手から退職間近のベテランまで年齢層は幅広い。
同法務局はほとんどの相談について、人権が侵された疑いがあるとして、法的な助言や法律事務所などを紹介する「援助」を行っている。
県教委などによると、県内の小中学校には昨年、「兄の合格発表と重なるので弟の卒業式の日を変えろ」「写真の中央に自分の子どもが映っていない」などの保護者からのクレームがあった。
過去には、教員に学校の玄関で不審者と間違えられ、刺股(さすまた)で取り押さえられた保護者が腹を立て、この教員の異動を求めてきたケースもあり、教員はその後、別の学校へ移ったという。
県内でうつ病などの精神疾患で休職した教員は昨年度が三十三人で、十年前の一九九八年度の六人から五倍強となった。
この中には、保護者からのクレームで精神的に追い込まれ、休職する教員も含まれるとみられる。
全国では、〇六年十月に東京都内の小学校教員が保護者からの深夜の苦情電話などを苦に自殺した。
県教委は「教員が一人で抱え込まないよう、各学校、教委にはクレームに対し組織的に対応するよう促している」(教職員課)としている。
◆モンスターペアレント 学校や教員、教育委員会などに、自己中心的で理不尽な要求をする保護者。
「友だちと同じクラスにしろ」「子どもが嫌いなおかずを給食に出すな」といったクレームをつけ、教員に土下座を要求したり、夜間に長時間にわたって電話をかけるなどの例がある。
中には精神的に追い詰められ休職するケースもある。
福岡市教委:教育改革の新指針策定へ 意欲の低下など課題 /福岡
毎日新聞 2008年5月27日 地方版
福岡市教委は来年度からおおむね10年間の新たな教育改革の指針策定に向け26日、市内で初会合を開いた。
市教委は00年7月、教育改革プログラムを策定したが、教育基本法の改正や社会情勢の変化などを踏まえ、新たな指針を作ることにした。策定にあたり、大学教授や企業経営者、PTA協議会役員ら12人で構成する専門委員会の意見・助言を受け市民意見を募集し約1年かけてまとめる。具体的な実施計画は策定から5年後に見直す。
初会合で吉田宏市長が「教育を巡る環境は子供たちにとって非常に厳しい。大人のしつけする力も落ちている。ゼロから、あるべき福岡の教育の姿を示してほしい」とあいさつ。委員長に八尾坂修・九州大大学院人間環境学研究院教授(教育経営学など)が選ばれた。
事務局から現在の課題として、学習意欲の低下▽基本的な生活習慣の乱れや体力低下▽いじめ・不登校の増加▽携帯電話などネットによる被害▽教師の多忙感の増加やメンタルヘルス問題−−などが挙げられた。
委員から「学校や教育委員会のためでなく、子供のためという視点が大事だ」「不登校やいじめはチームで取り組む必要がある」などの意見が出された。【早田利信】
〔福岡都市圏版〕
(コメント)
生徒や学生のメンタルヘルスは語られても、教師のメンタルヘルスについて語られることはあまりにも少ないです。
ゆとり教育が色々と批判されていますが、現場の教師にゆとりがなければ、良い教育は絶対に行えません。
フジテレビ
自殺した静岡県内の教師の遺族や
公務災害認定を求める活動を支援する教師たち、
教師を診察してきたベテラン精神科医を取材し、
今、教育現場で起きている問題点を探るとともに、その解決策を考える!!
第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『先生の叫び』
(テレビ静岡制作)
<11月2日(水)2時33分〜3時28分>【11月1日(火)26時33分〜27時28分】放送>
“うつ病”や“神経症”などの精神疾患で休職する教師が増えています。自殺する教師も増えています。教師たちは今、何に悩んでいるのでしょうか。
11月1日(火)【11月2日(水)】放送の第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『先生の叫び』(テレビ静岡制作)<2時33分〜3時28分【26時33分〜27時28分】>では、自殺した静岡県内の教師の遺族や公務災害認定を求める活動を支援する教師たち、教師を診察してきたベテラン精神科医を取材し、今、教育現場で起きている問題点を探るとともに、その解決策を考えます。
<番組内容>
昨年9月、静岡県内で、教師になってわずか半年の新人教師が焼身自殺を図りました。5年前には48歳のベテラン教師が自殺。全国で年間70人〜100人の教師が自殺しています。今、学校では何が起きているのでしょうか?
教師の遺族と、支援する教師の現状を取材していくと、「子どもへの対応が大変だから」という理由だけで教師が「心の病」にかかるのではないとわかります。悩みを同僚に打ち明けられない、教師同士のつながりが希薄になっている現状が見えてくるのです。
精神科医は言います。
「先生は孤独だ。クラスを持っていても競争している。本当に治し難い。」と。
まもなくベテラン教師が大勢退職していきます。これからを担う新人は大丈夫なのでしょうか?
医師・弁護士・教師…。今、「先生」と呼ばれる人たちが教育現場の問題を洗い出そうとしています。
自殺した教師の遺族や公務災害認定を求める活動を支援する教師たち、教師を診察してきたベテラン精神科医を取材し、今、教育現場で起きている問題点を探るとともに、その解決策を考えていきます。
○自殺した教師たち
<新人教師の自殺>
昨年9月、静岡県内の小学校で、教師になってわずか半年の女性教師が焼身自殺しました。娘は何に悩んでいたのか。両親は日記や同僚の証言をもとに知ろうとしました。そこには、授業がうまくいかず焦っていたこと、上司からの叱責などが記されていました。子どもの対応以前に、教師同士の希薄な関係が新人教師を「孤独」に追い込んでいたことがうかがえたのです。
<ベテラン教師の自殺>
5年前、養護学級のベテラン女性教師が自殺しました。彼女は、重い障害を持つこどもが、養護学校から2週間の体験入学でやってきたことがきっかけで、うつ病になってしまいました。。体験入学の成果を上司にも、同僚にも聞いてもらえなかった孤独。遺族は自殺を公務災害と認めるよう、求めています。
自殺した教師の弟は、こう語ります。
「公務災害と認めて欲しい訳ではないのです。教師がうつ病になる原因をなくし、二度と悲劇が起こらないようにしたい。姉を研究材料にして欲しい。先生は貴重なんです」と。
○支援する教師たち
教師たちの自殺を巡り、必死に戦っている人たちもいます。
教師歴33年の齋藤達雄先生。齋藤先生も「教師を辞めたい」と思った辛い経験がありました。4年前、ADHD(注意欠陥多動性障害)のこどもを受け持ったときのことです。キレると30分キレ続けるこども。押さえるのに必死でした。他の子にケガをさせてはいけない。こどもに背を向けて黒板に立つことができなくなりました。齋藤先生は、その子の保護者から「病気のことを内緒にして欲しい」と言われ、他の先生に相談することもできませんでした。
1人で全てを背負い込んだのです。
○うつ病の教師を診察してきたベテラン医師
浜松医科大学名誉教授 大原健士郎医師。75歳。大原医師は、大勢の教師を診察してきました。
突然、授業中にチョークを食べだした教師。
手ばかり洗い続けている不潔恐怖症の教師。
大半が、「神経症」または「うつ病」です。
大原医師は言います。
「前から教師の心の病はあった。それを教育委員会が隠してきたんだよ。その体質も変えなければならない。教師は孤独だ。本当に治し難い」と。
大原医師は、8年前に診察した高校の元教師のことが気になっていました。
【橋本真理子ディレクターのコメント】
相次ぐ教師の自殺・長期休暇・不祥事。先生が病んでいる現状をどう映像化するか、日々悩んでいました。そんな時、5年前に自殺した教師の弟に出会ったのです。
「“公務災害”と認定して欲しい。二度と悲劇を起こしたくない」
その思いを無にしてはならないと取材は始まりました。
去年9月。24歳の女性教師が、自宅近くの駐車場で焼身自殺を図りました。この事実は、警察も発表していません。学校も、こどもや保護者・同僚の教師に対し「不慮の事故」という説明しかしていません。私は、知り合いの教師から「教師になってわずか半年の新人が灯油をかぶって自ら命を絶った」と知らされました。若い女性がなぜこんなにも激しい死を選んだのでしょうか。
自殺の理由は何なのでしょうか。
遺族や支援する教師、精神科医からは「教師は孤独」という言葉が頻繁に出てきます。愕然としました。先生同士が話す時間もなく、職員室が冷たい雰囲気でどうやって生き生きとした教育ができるのでしょうか?
文部科学省も「こどもの心の病」には必死になってきましたが、「教師の心の病」には本腰を入れてはいませんでした。しかしここで、この問題を指摘しなければ、教育は一向に良くならないと私は感じました。正々堂々とカメラの前に立ってくれる人達、正々堂々と叫んでくれる人達を探し出すのに苦労しましたが、モザイクをほとんど使わずに映像表現できたことにほっとしています。
(コメント)
古い報道ですが、ご紹介しておきます。
福岡県公立小中高教員 心の病で休職85人 昨年5月現在 3年前の2倍
西日本新聞(2008年3月25日)
福岡県教委は24日、政令市を除く県内の公立小中学校、高校、特別支援学校の教員のうち、精神性疾患を理由とした病気休職者は85人(昨年5月1日現在)で、3年前の約2倍に上ることを明らかにした。同県田川郡内の町立中学校で、生徒が授業妨害などを続け、校長と教頭が体調を崩して2月から休職や自宅療養しているが、学校現場で教員のストレスが高まっている傾向がうかがえる。
県教委によると、昨年5月現在の病気休職者は116人(前年比12人増)で、精神性疾患はそのうち85人(同26人増)。2004年の精神性疾患による休職者は44人だった。
24日の県議会予算特別委員会でこの問題が取り上げられ、県教委側は「生徒との問題、保護者の対応なども含め複雑な問題があると思う。家庭の問題など、公私の複合した要因もあるのでは」と答えた。
県教委は03年度から、10年程度の中堅教員を対象にストレスレベルの自己診断などメンタルケアの研修会を実施。本年度からは管理職に対象を広げて行っている。
理不尽な親 事例公表70件 市川市
読売新聞(2008年3月14日)
子供のトラブル相手「転校させろ」
学校に理不尽な抗議や無理難題を持ち込む、いわゆる「モンスターペアレント」(怪物親)について、市川市教委が具体的事例に関する集計作業を行い、その一部を13日の市議会一般質問で公表した。
笹浪保議員(公明)が、この問題の現状についてただしたのに対し、同市教委学校教育部の田中庸恵部長が「トラブル相手を転校させろという要求が目立つ」などと答弁した。
市教委の集計によると、昨年4〜12月に市内の小中学校から報告された事例は70件。
その半数以上は児童・生徒間のけんかやいじめを発端とするもので、一方的に相手の子どもの転校や処罰を学校側に求めるケースが多かったという。
ほかにも、運動会などの行事日程に関して「その日は仕事なので別の日にしろ」と迫ったり、小学校の修学旅行の出発日について児童の祖母が吉凶を占ったところ悪い結果が出たとして日程変更を求めたりといった事例もあった。
両親がそろって来校して抗議する場合もあり、学校側がやっとの思いで両親を説得すると今度は祖父母が乗り込んできた例も目立ったという。
市教委でも「冷静さを失った家族の説得は難しい」と頭をかかえている。
教職員の中には、心労から体調を崩す例も報告された。教員の精神疾患による休職は、2005年度と06年度は各7人だったのに対し、今年度(2月末現在)は17人に上る。
市教委は「すべてモンスターペアレントが原因ではないが、一因の可能性はある」とする。
学校教育の現場では、問題児ならぬ“問題親”への対処が新たな課題になりつつあるようだ。
教員の精神疾患:制度改定で再発激減 病気休暇・休職日数に追加で3分の1に /岩手
毎日新聞(2008年3月8日)
増加が懸念される教員の精神疾患。一定期間休んだ後に職場復帰しても、再発するケースが多かった。
児童・生徒への影響を心配した県教育委員会が制度を改定したところ、精神疾患の再発は3分の1になったという。
県教委によると、精神疾患や慢性疾患の場合、給料が支払われる「病気休暇」は6カ月まで認められる。
6カ月以上休むと「休職」になり、休職1年目は給料が80%支給され、2年目は無給、3年が経過すると自動的に失職する。
従来の制度は、短期間でも一度復職すれば、給料が支払われる「病気休暇」が再び取得できたという。
病気休暇・休職と復職を繰り返す人が多かったことなどから、県教委は06年1月から制度を改正。
復帰後6カ月以内に同じ理由で再び2週間以上継続して休む場合は、これまでの病気休暇・休職日数に追加することに制度を改めた。
精神疾患を理由に仕事を休んだ教職員のうち復職した延べ人数は、04年度82人中50人▽05年度90人中53人▽06年度91人中52人▽07年度94人中29人−−。
そのうち、同じ理由で再び休みを取った教職員は04年度が13人、05年度が11人であるのに対し、06年度は3人、07年度は2人と目に見えて少なくなったという。【念佛明奈】
(コメント)
岩手県のような制度運用をしている所は、現在ではほとんどないでしょう。
しばらく勤務していれば、病気休暇になるということで、無理して出勤していた人が、そういうことをしなくなったのでしょう。
見かけ上の再発が無くなっただけだと思います。
新任女性教師、夢半ばの自殺…遺族が公務災害を
読売新聞(2008年2月29日)
「ごめいわくをおかけしました」と書かれたメモは、くしゃくしゃになった状態で見つかった
2006年に自殺した東京都西東京市の市立小学校の新任女性教師(当時25歳)の両親が28日、地方公務員災害補償基金東京都支部に公務災害の認定を申請した。
教師になりたいという夢をかなえたばかりの女性は、学級内に続くトラブルに悩んでいた。
「悲劇を繰り返さないよう、新任教師に手厚いサポートを」と両親は強く訴えている。
「小学校教師はやっぱりきついね」。
自殺を図る約2か月前、福岡県の母親(56)にあてたメールに、そうつづられていた。
教師の夢を追って、短大から首都圏の教員養成大学に編入学し、06年4月から西東京市で教師になった。
低学年を受け持って間もない5月中旬、学級内で万引きのうわさを聞いた。
名前の挙がった児童の親に伝えると、「どこに証拠があるのか」と抗議を受けた。
校長が親に謝罪して収まったが、後日この件について職員会議で報告を求められた。
後に女性の部屋で両親が見つけた遺品のノートの切れ端に、女性の文字があった。
「確証がないのに電話してしまい、保護者を傷つけてしまった」「校長や副校長にもご迷惑をおかけしました」。
職員会議で謝罪した言葉の下書きだった。
同僚の一人は「彼女が謝らなくても、と違和感を感じていた」と、遺族側の川人博弁護士に語っている。
さらに7月ごろ、学級内で児童の上履きや体操着が隠され、保護者会の対応に追われた。
7月中旬にうつ病の診断を受け、8月末まで休職した。
9月に復職したが、学級内で起きた新たないじめなどの問題が続き、症状は悪化していった。
着任時の女性教師は、同僚には明るい性格と映っていた。
だが、10月下旬に近くの駅へ歩く姿を見た複数の同僚からは、「やつれて、やっと歩いている様子だった」との証言がある。
女性教師は10月30日に自宅アパートで首をつり、12月16日に息を引き取った。
教師になって、わずか9か月だった。
市教委は「指導役の教師も、親身になって相談に乗っていた。
特別な精神的ケアはなかったが、2学期からは業務の一部をほかの教師に任せ、校内研修も免除して負担を軽減していた。
考えられる支援は行っていた」と説明する。
しかし、女性教師を診察していた精神科医は「うつ病は過労や仕事上のストレスが原因であり、このうつ病の結果、自殺に至った」との見解を示している。
川人弁護士は「一番問題なのは、新任教師への精神的ケアが管理職らに欠けていたこと」と述べ、公務災害だと訴える。
女性教師は、教員の志望書に、「精一杯の情熱と愛情で、子供の可能性を引き出していきたい」と書き、希望にあふれていた。
両親は「休暇で実家に戻ってきた娘は『職場は想像以上につらい』とこぼしていた。
なぜそこまで追いつめられたのか」と、今も納得できずにいる。(朝来野祥子、山田睦子)
(コメント)
こういう事例の場合、原因と結果を誰もが納得行く形で整理することはむつかしいという現実があります。
学校側が応援したというのも本当でしょう。
しかし、新任教師が自ら命を絶ったという事は重い現実です。
本来は、教育委員会などが充分な調査を行って、残された家族に報告できれば一番良いのでしょう。
もちろん、今の教育委員会にそういう役割を期待することはできません。
それどころか、こういう事態になると、それぞれの立場の人が自己弁護的となり、率直に発言しなくなるので、真実はとらえようがなくなります。
身近に自殺者が出ると、周囲の人はみんな傷ついてしまいます。
それぞれの人が、自分の傷付きを癒そうとして、その結果責任転嫁が起こり、一層混乱を招いてしまいます。
人と人とのつながりが重要な教育現場の問題が、裁判によってしか解明できないと言うことは、残念なことです。
公務員の労災は、一般企業の場合より認められにくいと思います。
そうした点にももっとメスが当てられるべきでしょう。
親への対応、先生は負担に 残業は月40時間超 札幌市教委が初調査(02/23 11:38)
北海道新聞(2008/2/23)
最も精神的な負担を感じる業務は保護者対応−。札幌市教委が実施した市立学校・幼稚園の教員の勤務実態調査で二十二日、こんな先生たちの胸の内が明らかになった。
調査は、精神疾患で休職する教職員が急増していることを受け、時間外勤務などの実態を把握しようと初めて行われた。対象者七千百九十二人のうち、92・8%からアンケートの回答があった。
それによると、精神的な負担を感じる業務を聞く設問(複数回答)には59・6%が「保護者・PTA対応」を挙げてトップ。「個別の生徒指導等」の32・6%、「校内での会議・打ち合わせなど」の21・8%を大きく引き離した。
時間外勤務・業務は、小学校の教員は月四十二時間、中学校は月四十八時間残業し、自宅持ち帰り業務も小学校で月三十一時間、中学校も二十六時間だった。昨年五月に文部科学省が発表した全国平均の残業時間より、小学校は約九時間、中学校は約四時間多い。
札幌市教委の担当者は「教員が相当の時間外勤務を行っており、その縮減に向けた取り組みの必要性を認識した」と話している。
(コメント)
保護者対応に困難があるとすると、個々の教師が対応する方法には限界があるということではないでしょうか。
たとえば、父兄が自分の生活や仕事の上で感じている不満や怒りを、子供を担当している教師に向けて表現しているのだとしたら、それを個々の教師の力で解決しようとしても出来ないでしょう。
少なくとも、教師が生徒指導のこと以外で困難を感じているとすれば、社会全体の中における教育システムがおかしくなっているのでしょう。
心を病む教員が急増「先生を孤立させないで」( 読売新聞 2007年12月29日)
心を病む教員が、なぜ急増しているのか。昨年度1年間で4675人もの公立校の教員が、休職する理由になった「精神性疾患」。背景を探ると、単なる「業務の多忙さ」では片づけられない事情も浮かぶ。
深夜になっても携帯電話を鳴らしてくる保護者、同僚に悩みの一つも打ち明けられない職場……。専門家は「先生たちを孤立させないことが大切」と指摘している。
支え合う職場作り必要
「自分が情けない。子供たちに迷惑をかけて申し訳ない」
兵庫県伊丹市の公立学校共済組合近畿中央病院。学校に復帰するため専門のトレーニングを受けている小学校の女性教諭(50歳代)は涙を流した。
6年生の担任と親の介護で疲れ切っていた今年春、別の小学校への転任が決まった。低学年を担任したかったが、経験を買われて6年生を任された。
多感な高学年のクラスはささいなことでよくケンカが起きる。
「うちの子が同級生にぶたれたと言っている。どうなってるんだ」。保護者から夜になって学校に入った苦情電話に「明日確認します」と答えると、「明日じゃダメだ」とどなられた。
転任からまだ2、3か月。酒を飲んで愚痴を言う同僚もいない。「自分はベテラン」とのプライドが邪魔して相談もできなかった。
そこに介護疲れが追い打ちをかけ、ある朝、体がだるくて動かなくなった。「学校に行かなくちゃ」という気持ちを体は拒絶し、休職するしかなかった。
「仕事の多さもあるが、職場で教師同士が支え合う関係がないと厳しい」。同病院の井上麻紀・主任心理療法士は解説する。
東京都西東京市の自宅アパートで自殺を図り、昨年12月に死亡した小学校の新任女性教諭(当時25歳)も多忙な中で孤立していた。
担任した2年生に万引きの疑いがかかり、深夜まで謝罪に歩き、「上履き隠し」が起きて保護者会で問題にされた。7月にうつ病を発症して休職。8月に復職したものの、学級内でいじめも起こり、保護者から毎日のように深夜に携帯電話を鳴らされる状態だった。
2004年まで中学校の校長を務めた井尾雅敏さん(63)(北海道余市町教委生涯学習推進アドバイザー)は、教員が分担して作る「学校経営計画書」を簡略化したり、職員会議の時間を短縮化したりした経験からこう指摘する。
「教師の仕事をスリム化して、子供を職員室全体で見る体制作りがカギ。教師が一人で問題を抱え込まないよう、校長や教頭も対応するべきだ」
(コメント)
医療分野で救急医療が崩壊しているのと同じようなことが、教育現場でおこりつつあるということではないでしょうか。教育者であれば、献身的に動くのが当たり前という発想でいる人たちが多いのでしょう。特に、問題なのは、文部科学省の官僚でしょう。文部官僚は、こういう現場にどんどん出て、身をもって実情を知るべきでしょう。課長クラスは、たとえ一定期間であっても、自分の携帯電話の番号をいくつかの小学校保護者に公開して、実情を知るのが一番です。
かっての教育現場を知る人の話しでは、教師が横のつながりを持つのに、組合活動が力を持っていたそうです。文部科学省は組合が目の敵ですから、教師の横のつながりを作ろうとはしないでしょうね。どんなものでしょうか。
定年前に退職する教員が定年退職者を“逆転”/神奈川県(神奈川新聞 2007/12/29 )
六十歳の定年を前にして勧奨退職で学校現場を去る教員が定年退職者を上回る”逆転”現象が、県内の公立小中学校で起きている。教育関係者は原因について「のしかかる負担に耐えきれずに辞める教員が増えている」との見方を強めている。二〇〇六年度までの直近五年間でこの傾向は続いており、疲弊する教育現場の一端が垣間見える。
県教育委員会教職員課によると、勧奨退職者の主な対象は、五十歳以上(〇四年度までは四十五歳以上)で勤続二十五年以上の教員。「後進に道を譲り、退職後の『第二の人生』のスタートを切りやすいように」(同課)という名目で募っており、定年退職よりも退職金が優遇される。ただ、生涯賃金では勧奨退職の方が低くなる。
二〇〇六年度の勧奨退職者は小学校で三百九十二人に上り、定年退職の二百八十六人を大きく上回った。中学校では勧奨が百十九人に上り、定年より九人多かった。
〇二〜〇六年度の五年間の推移をみても、勧奨退職は特に小学校が顕著。定年、勧奨の両退職者に占める勧奨の比率は小学校で58〜72%、中学校で52〜62%だった。
逆に、管理職(校長、副校長、教頭)は定年まで勤め上げるケースが多い。〇六年度の定年は小学校で二百三人、中学校で七十四人だったが、勧奨は小学校三十六人、中学校十人だった。五年間の推移をみても、勧奨の比率は小学校で11〜18%、中学校で0・6〜13%にとどまった。
同課は「特に、学級担任制の小学校では教員にかかる負担が重く、定年まで勤め上げることが難しくなっているようだ」と指摘。近年、教員の精神疾患も増えており、勧奨で辞める教員もいるという。一方、管理職に勧奨が少ないのは「責任ある立場で辞めにくいためでは」と推測している。
県教職員組合は「多忙化や親の介護などが重なって女性教員が辞めるケースが多い。仕事の負担増で辞める男性教員も少なくない。多様化する子供についていけず指導方法に自信をなくして退職する教員もいる」と話す。さらに、その背景には「現場不在で進められる教育改革に伴う徒労感の影響もある」と指摘している。
(コメント)
「のしかかる負担に耐えきれずに辞める教員が増えている」ということは、教師がすでに一生の仕事ではなくなっているということなのでしょうか。若いときだけ可能な激務ということでしょうか。小学校の先生は30代までとか、独身でないと勤まらないということになっていくのでしょうか。幼い頃に、中年以上の人と話したことがないというような子供達が作られていくとしたら、将来的に、どのような影響が出てくるでしょう。社会の維持に、偏りができるということは、長い時間を見ると、大きな問題だと思います。
教職員「心の病」休職4675人 公立校、過去最多(中日新聞 2007年12月29日 朝刊)
2006年度に病気で休職した公立の小中高校などの教職員は、前年度より638人増えて7655人に上り、このうち、うつ病など精神性疾患による休職は61%を占める4675人(前年度比497人増)だったことが28日、文部科学省の調査で分かった。いずれも過去最多を更新した。14年連続の増加となり、歯止めがかかっていない精神性疾患による休職について、文科省は「仕事の多忙化、複雑化に加え、保護者や同僚らとの人間関係など職場環境が厳しくなっていることが背景にあり、対策を急ぎたい」としている。
06年度に懲戒処分や訓告など何らかの処分を受けた教職員は、高校必修科目の未履修問題による処分者が490人いたことから、前年度比445人増の4531人だった。このうち懲戒処分は同96人減の1159人。中部地方では多い順に長野22人、愛知20人、福井15人、静岡14人、3重10人、岐阜7人、滋賀4人だった。わいせつ行為などによる処分は懲戒処分170人を含む計190人で、前年度比48人増。年齢別では、40歳代が82人で最多だった。多くは勤務時間外の行為だったが、授業中に教え子の体を触るなどしたケースも8件あった。
体罰での処分は424人。愛知県の中学校で生徒を殴ったりけったりして打撲傷を負わせたり、沖縄県の中学校で生徒をけって骨折させたりするなど17人が停職処分となった。
日の丸掲揚・君が代斉唱反対に絡む処分は前年度比31人増の98人。東京都が最多の41人、新潟県35人、広島県17人と続いた。
教職員の懲戒処分については、全国の都道府県、政令市の計64教育委員会のうち、準備中の北九州市を除いてすべての教委が何らかの基準を作成していた。
(コメント)
一部の進んだ取り組みをしている地域を除けば、対応は全く遅れていると思います。例えば、各教育委員会に精神科医を配置して、個々のケースに合わせて、柔軟に対応する体制を作ることが第一でしょう。現状では、教育委員会の責任者が、個人的心情や判断で動いているのがほとんどだと思います。
各種の自治体や大きな企業では、職員が休職になれば、病状確認に上司や担当者が主治医のところまで説明を求めにくるのが一般的です。病状確認の説明を求めることへの、本人の意思確認書があるのが普通です。ところが教育委員会はそんな姿勢がまったくありません。診断書を見れば全てがわかるという考えのようです。診断書に、詳しくは口頭で説明しますと但し書きを書いても、聞きにも来ません。どういう組織なのかと思ってしまいます。
●精神性疾患で休職の教員、過去最悪4675人(2007年12月28日 読売新聞)
うつ病などの精神性疾患で昨年度中に休職した全国の公立小中高校などの教員は、前年度比497人増の4675人に上り、過去最悪を記録したことが、文部科学省のまとめでわかった。
10年前の1996年度(1385人)に比べると3・3倍という急増ぶりで、今回初めて、病気休職者全体の6割を超えた。文科省は原因として、教師が多忙になっていることに加え、保護者の理不尽な要求で、ストレスを抱える教員が多いことなどをあげている。
昨年度1年間に病気で休職したのは、全教員の0・83%にあたる7655人。精神性疾患による休職者も全教員の0・51%で、200人に1人以上が心の病で学校を離れた計算になる。
心の病で休職する教師は92年度の1111人から14年連続で増加しており、特に2003年度からは、毎年400〜600人ペースで増え続けている。文科省は「年齢別の統計はない」としながらも、<1>職場の人間関係などになじめない新人教員<2>私生活や自分の健康に問題が出る40〜50歳代――などが悩みを抱えやすいと分析している。
一方、昨年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分を受けた教員は、前年度比46人増の170人だった。全国の高校で相次いで発覚した「世界史」など必修科目の未履修問題を巡って、昨年度中、懲戒も含め何らかの処分を受けた教員も全国で490人に上った。
(コメント)
相変わらず、「保護者の理不尽な要求で、ストレスを抱える教員が多い」と説明していますが、「文部科学省の理不尽な要求で、ストレスを抱える教員が多い」と反省する姿勢が求められると思いますが、いかがでしょうか。
●教員の「心の病」急増=精神疾患の休職最多に (時事通信2007年12月28日)
うつ病などの精神性疾患で2006年度中に病気休職した公立学校教員が、4675人と過去最多を更新したことが28日、文部科学省の調査で分かった。前年度より497人増え、10年前の約3.4倍に達した。保護者や子どもとの関係で悩みが高じたケースなどが多いとみられる。
同省が毎年度実施している教員の懲戒処分に関する調査のうち、適格性を理由とした「分限処分」を受けたケースをまとめた。
増加は14年連続。特に過去4年間はいずれも、対前年度で1割以上の伸びを示し、病気休職者全体(7655人)に占める割合も初めて6割を超えた。
各教育委員会に原因を聞いたところ、保護者や児童生徒との人間関係の悩み、多忙によるストレスなどが原因との回答が多数を占めた。各教委はメンタルヘルスの研修を充実させたり、復職支援のためのプログラム策定などに取り組んでいるという。
一方、今回の調査では、全国の公立学校教員約91万7000人のうち、懲戒や訓告、諭旨免職などの処分者が4531人となったことも明らかになった。
この中で490人は06年末、全国規模で発覚した高校必修科目の履修漏れが原因。大半は校長、教頭などの管理責任で、最も厳しかったのは減給処分。過去にも履修漏れがあった兵庫、広島両県で12人に上った。
懲戒処分だけをみると、わいせつ、セクハラ行為が170人で、前年度より46人増。交通事故は531人(前年度比85人減)、体罰が169人(同23人増)、成績情報の入ったパソコン紛失などの「個人情報の不適切な取り扱い」が21人(同18人減)だった。(了)
(コメント)
この問題では一番報道が早かったと思います。公立学校教員の休職者の中で、たぶん、将来的には精神疾患が病休者の7割程度に増えるのではないでしょうか。他の疾患では、それだけの長期の休職にはならないでしょうから。
県内教職員の精神疾患が急増 (新潟日報2007年12月18日)
2006年度、県内の小学校と特別支援学校の教職員の精神疾患が02年度の倍以上に増えたことが17日、分かった。06年度、精神的な疾病を理由に1カ月以上連続で休んだ小学校の教職員は104人と、02年度に比べて倍増した。特別支援学校でも2・7倍の27人に増えた。県教育委員会が明らかにした。
高校の教職員では02年度比1・5倍の42人、中学校では同1・2倍の55人だった。全体では同1・7倍の228人に上った。
学校種別によって増加率が大きく異なることについて、県教委は「小学校教諭は、授業持ち時間が多いことや、学級担任が授業も担当し、1日中同じクラスと向き合うなどの特徴があるが、精神疾患の増加との関係は分からない」(加藤誠雄義務教育課長)としている。
県教委は五年間の推移を調べるため、02年度と06年度のデータを学校種別に再集計した。
大弦小弦 (沖縄タイムス 2007年12月17日 朝刊 )
新聞作り教室の講師として出向いた小学校で。
五十歳前後の教諭が、大声を張り上げて子どもたちを誘導する姿に驚いた。「そんなハイテンションで一日を乗り切れるのか」。
もう一つ。多くの子が熱心に新聞作りに取り組む中、あるグループはおしゃべりばかりで一向に作業が進まない。見かねて「そろそろ始めた方がいいよ」と促すと、女の子がこぶしをそろえ、子犬のように「わんわん」。
え? おふざけ、からかい。想定外の態度の真意がつかめぬまま、機転の利いた応対ができず、その子が急に遠くなっていく気がした。手ごわい子どもたちを授業に導くための努力は、並大抵ではないと感じた瞬間だ。
先生を取り巻く環境は厳しい。二〇〇六年度、精神疾患による休職者は百五十一人、本年度は半年ですでに九十五人。一方で、教職員五十人規模の学校に義務付けられる労働安全衛生委員会は一校も設置されてない。
文科省や教育委員会の管理は厳しい。いくつもの行事に忙殺され、さまざまな問題の解決も迫られる先生。「トイレに行く時間もない」とのぼやきも聞く。パソコンの前で疲弊し周りに相談する余裕はない。子どもと向き合う時間は減る一方だ。
県教育庁は来年度、勤務実態を調査する。教諭の本分は、知的好奇心をくすぐる授業を創造し、子どもの知る喜びと考える力を育てること。心のケアやサポート策を急がぬ限り、学力向上の道は険しい。(平良哲)
http://www.okinawatimes.co.jp/col/20071217m.html
(コメント)
コラムの記事ですが、教育現場の様子が画かれています。
私は、現在の教育現場を直接知る立場にはありませんが、教員の人たちから
聞いている状況は、このようなものだと思います。
文部科学省は現場の状況を知るよりも、自分たちの頭の中に描き出したイメージに
沿って、教育政策を考えているように思います。
そのしわ寄せが、現場を直接に支えている教師の肩に押しつけられているのだと思います。
心の病に倒れる教員400人 06年県内
2007/11/13 神戸新聞
兵庫県教委のメンタルヘルス事業
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1000人以上の「心の病」を抱えた教職員と向き合った井上麻紀・主任心理療法士=伊丹市内
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「心の病」で先生が次々に倒れている。
兵庫県教委と神戸市教委のまとめでは、2006年度に県内の公立学校(神戸以外の市立高校除く)で病休・休職した教職員は計401人。
予備軍も合わせれば、かなりの人が精神疾患に侵されているとみられ、県教委は新たに予防策を打ち出した。
県教委などの取り組みと、精神疾患の教職員をケアしてきた近畿中央病院(伊丹市)心療内科の井上麻紀・主任心理療法士による現状分析をまとめた。(霍見真一郎)
県教委は十二日までに、学校内のストレス分析のため、学校長や精神疾患で療養中の教職員らにアンケート調査をすることを決めた。
精神疾患の防止策を考える「教職員の元気な心づくり対策委員会」も設置。
県教委が教職員のメンタルヘルス事業を始めて六年目だが、精神疾患で職場を離れる教職員の増加傾向は変わらず、予防に乗り出した。
県教委のメンタルヘルスは二〇〇二年度に始まった。
精神疾患で療養していた公立中学の男性教諭が中国自動車道で女子中学生を放置死させた事件がきっかけだった。
当初は「職場復帰トレーニング」と「管理職メンタルヘルス専門研修」の二本立て。
トレーニングには〇六年度までに八十一人が参加し、五十一人が職場復帰した。
専門研修には、県内公立校の全校長(神戸市を除く)が参加している。
その後も県教委は「復帰サポート事業」など、メンタルヘルス事業を充実させてきた=表=が、精神疾患で休職に入った教職員(神戸市分などを除く)は、〇二年度=二十一人▽〇三年度=三十九人▽〇四年度=六十四人▽〇五年度=七十八人▽〇六年度=七十三人-と増加傾向。発症後のケアだけでなく、未然防止の必要性が指摘されていた。
校内ストレス分析の第一弾となるアンケート調査は、管理職と療養中の教職員本人が対象。
本年度は県立学校長に実施する方向で調整している。
三年をめどに対応事例集や未然防止・再発防止マニュアルを作成し、学校現場に配布する方針で、県教委は「個別の事案を積み上げることでより有効な予防策を検討したい」としている。
■神戸市でも増加傾向に 06年度は130人
神戸市でも、教員の「心の病」は増えている。
市教委によると、一九九六年度に精神疾患で病気休暇を取った教員は四十五人、休職は七人だったが、二〇〇六年度は病休百人、休職三十人まで増加。
特に小学校で急増しており、病休・休職者はこの十年で三倍以上に膨らんでいる。
市教委は、県教委と同様、〇五年一月からプレ出勤制度、〇五年度から職場復帰トレーニングを始めており、教頭や幼稚園の主任を対象としたメンタルヘルス研修も実施している。
■近畿中央病院心療内科 井上麻紀・主任心理療法士
必要なのは「同僚の輪」
学校は、教員にとって大変なストレスがかかる場所に変わりつつある。
以前は聖職として敬われ、地域が支えていたが、今は便利屋のように使われてしまっている。
個人情報保護法のあおりで保護者の緊急連絡網が作れなくなり、問題が起こるとすべて先生を通してしか解決できなくなった。
さらに評価制度も導入され、ストレスは一層高まっている。
二十代・三十代の先生の精神疾患は、もともと人格の未熟さを抱えていた人も多いが、自分自身が「いい子」のふりをし続けてきたために、わがまま放題の生徒を前にストレスをためる人もいるようだ。
そういう人は、不満を外に出せるように導き、気持ちを整理させる。
ケースにもよるが治療に二年はかかる。
四十代・五十代が精神疾患となるのは、体力が落ち、両親の死など喪失体験をする年齢ということもあるが、それまでの指導経験が生かせず自信を失うことも大きいようだ。
ある五十代女性の小学校教諭は、異動で着任した先でけがを伴う児童間のトラブルがあった。
その保護者が仕事から帰る午後十一時に家庭訪問したが「関係ない」と人ごとのように言われ、ショックを受けた。
悩みを打ち明ける同僚もおらず、孤独感を募らせ、倒れた。
治療で出会った先生は「上司や同僚と問題を話し合う輪があれば、大抵のことは乗り切ってこれたのに」と口をそろえる。
忙しさと孤独。
それが先生が倒れている大きな原因だろう。
教員同士のつながりが特に薄いのは「学級王国」と呼ばれる小学校。
中学校や高校の指導困難校は「学年で動く」文化があるが、子どもが荒れていない小学校と高校の進学校は、教員同士干渉せず、学級間で競う雰囲気が強い。
子どもや保護者の評価を得ようと張り合い、クラス担任の発表のときに「当たりの先生」と言われるよう無理をしているのではないか。
(11/13 09:36)
(コメント)
教師のメンタルヘルスというと、モンスターペアレントの事ばかり書かれる実情だが、
こんなにちゃんと取材して記事にしている新聞もあることに驚いた。
本来なら、こういう報道が中心であるべきなのに、どうして父兄を加害者呼ばわりしてしまうのだろうか。
先入観による、報道ほど怖いものはない。そもそも、新聞記者や新聞社の編集室が不勉強すぎるのだろう。実に困ったことだ。
【やばいぞ日本】第4部 忘れてしまったもの(2)「お前ら全員辞めさせる」
2007.11.7 産経新聞
昨年自殺した女性教師がノートに残した遺書
首都圏の小学校で昨年、こんなことがあった。
6年生の児童が友達とけんかした。たたかれて鼻血を出したことに父親が激怒、校長室に怒鳴り込んできた。父親はテーブルの上に座り、校長の胸ぐらをつかんで「学校の責任だ。傷害罪で告訴する」と迫った。
騒ぎを聞いて集まった担任らは「原因は双方にある」などと説明し、今後は厳重に指導すると約束した。だが、父親は聞き入れず、「お前ら全員辞めさせてやる」と廊下にまで響きわたる声で罵倒(ばとう)した。
結局、父親に押し切られる形で警察が呼ばれ、教室で現場検証まで行われた。たかが子供のけんかにと、警察も困惑気味だった。「最近の親は、いったんキレると何をするか分からない」と、事情を知る学校関係者が肩をすくめた。
こんな親は決して珍しくはない。今年8月、首都圏から十数人の小中学校教員に集まってもらい、教育現場で今、何が問題になっているのか、匿名を条件に語ってもらった。複数の教員が真っ先に訴えたのは、無理難題を押しつけて学校を混乱させる、一部の親の存在だった。
「うちの子をリレーの選手に選べと、脅迫的な電話を1週間もかけ続ける」「校庭の遊具で子供がけがをしたから、遊具をすべて撤去しろと求める」
全国の教員らでつくる研修組織「TOSS」の向山洋一代表は、学校に理不尽な要求を突きつける親のことを“怪物”にたとえてモンスターペアレントと呼び、深刻さをこう語る。
「先生を先生と思わず、抗議のための抗議をする親がいる。『校長を土下座させた』『担任を辞めさせた』などと吹聴することもある。モンスターペアレントが一人でもいれば、その学校は崩壊してしまう」
こうした親に振り回される教員の心労は大変なものだ。文部科学省の調査では、2005年度にノイローゼなどの精神疾患で学校を病欠した公立小・中・高校などの教員は過去最多の4178人。前年度より619人増え、10年前の3倍に達した。この多くが、保護者対応に苦慮していたとみられる。
昨年6月、都内の公立小学校の新任女性教師=当時(23)=が自宅で自殺した。
「無責任な私をお許し下さい。全て私の無能さが原因です」。教師がノートに書き残した遺言だ。教師は2年生クラスの担任を任されていた。関係者によれば、死の数日前、親しい知人らに保護者対応で苦しんでいることを打ち明けた。宿題の出し方などに不満をもつ親がおり、執拗(しつよう)な抗議を受けていたというのだ。
クラスと家庭を結ぶ連絡帳には、この親からの苦情がびっしり書き込まれていた。「あなたは結婚や子育てをしていないから経験が乏しいのではないか」。人格否定の言葉まであった。
教師が「すみません」と書くと、何がすまないのか具体的に書くよう求め、教師が説明すると、消しゴムで消して「もういい」と突っ返すこともあった。連絡帳を見た先輩教師がその内容に驚き、自ら親に電話してたしなめるほどだった。
校長や教頭の対応にも問題があった。悩んでいる教師に対し、親に電話で弁明するよう求めたり、誠意をみせるため配布物を各家庭に直接届けるよう指示した。ストレスは増えた。
関係者は「通常の抗議の枠を超えた親の言動が、教師を追いつめたことは間違いない。校長も守ろうとしなかった」と打ち明ける。
親による先生への“いじめ”がなぜ、これほどまでに横行しているのだろうか。
■強まった教育への「消費者」意識
理不尽な親が目立つようになった背景はなんだろう。プロ教師の会を主宰する日本教育大学院大学の河上亮一教授は「『国民』を育てる、という公教育の基本理念を見失ってしまったことが最大の要因ではないか」と指摘する。
河上教授によれば、今の親たちが中学生だった1980年代、学校を取り巻く環境が大きく変わった。個人主義が声高に叫ばれ、制服や校則に反対する“学校たたき”が盛んになった。規律や権威といった公教育には欠かせない要素が次々に失われていった。
90年代以降になると、親が学校に対して「消費者」意識を持つようになり、逆風は一層強くなった。教育サービスという言葉が浸透し、高い税金を払っているのだから、教員は親のいうことを聞いて当然とする意識もみられるようになった。代わりに、学校や教師に対する感謝が忘れ去られていった。
こうした時代を過ごした今の親が、「消費者」意識を暴走させたのがモンスターペアレントだと、河上教授はみる。
さらに問題は、理不尽な親の行動に周囲が引っ張られてしまうことだ。
数年前、都内の小学校教員が新聞を使った授業をしようとしたところ、ある児童がスポーツ紙を持ってきた。その中に成人向けのページが含まれていたため、教員は使用を控えた。
そのことを曲解した親の一人が、日ごろの不満もあって「あの教師は変態だ」などのメールを複数の親に流した。
このことが児童にも伝わった。悪乗りした児童が授業中に「変態先生」と大声を上げたため、教員は児童の頭を軽くたたき、静かにするよう注意した。すると今度は「暴力教師」とのメールが一斉に流された。
関係者によれば、この教員はそれまで、指導力が高いと校長からも信頼されていた。
ところが一部の親のメールがきっかけで、児童にあなどられても強い指導ができない“ダメ教員”になってしまった。教員は結局、自ら希望して別の学校に異動した。
親が身勝手な要求を行い、教員が萎縮(いしゅく)するようになれば、それは学級崩壊ににつながり、子供たちに悪影響を及ぼす。
今年6月以降、東京都港区教委や北九州市教委などが、公立学校で保護者との間にトラブルが生じた際、校長が法律上の問題などを弁護士らに直接相談できる態勢を整え始めた。だが、こうした取り組みはまだ緒に就いたばかりだ。
公教育は秩序ある社会生活を営むための学力や規範意識を身につけさせるものだ。昨年12月に改正された教育基本法の前文にも「公共の精神を尊び」という文言が追加された。こうした当たり前の意識が社会全体に欠けていることは否めない。「公共の精神」を考えようとしてこなかったつけは大きい。(川瀬弘至)
(コメント)
学級崩壊も、教師の精神疾患もすべてがモンスターペラレントが原因であるかのような書き方です。そして、規範意識のくずれが背景にあるかのように書いています。世の中が、競争原理、自己責任の合唱が行われている中で、規範意識を上から与えようとしても手遅れでしょう。日々ふれあう人間の間から、自然に規範意識を生み出すにはどうしたらよいか、その試みを重ねていくしかないと思います。
教育現場に問題があるとしたら、教育長はその現場へ行くべきです。陣頭指揮をして、学校の父兄を前に、教育理念を訴えるべきでしょう。そうしたところから、教育を立て直していくべきでしょう。日本の教員関係者は、指導的立場になればなるほど、現場に立とうとしません。文部大臣が、モンスターペアレントに罵られて、土下座をせまられて、そこから教育を転換させる熱意をつかみ取ってもらいたいのものです。
40歳以上が顕著 精神疾患の教職員休職
2007/10/19 神戸新聞
精神疾患が理由で病気休暇(病休)や休職している県内の教職員のうち、四十・五十歳代が、二十・三十歳代の四倍にあたる計二百八人もいることが十八日、県教委のまとめで分かった。中堅となる三十代でも、四分の一が二年以上職場に復帰できていないことも判明。管理職に就くことも多い中堅・ベテラン層が深刻な“心の傷”を抱えていることが浮き彫りとなった。(霍見真一郎)
公立学校計千九十四校(神戸市分と尼崎など市立高校を除く)の教職員二万九千七百五十五人のうち、二〇〇六年度に病休・休職した教職員は計二百六十一人。二十代=九人▽三十代=四十四人▽四十代=九十五人▽五十代=百十三人だった。教職員の数が多いこともあるが、四十・五十代の病休・休職者数が目立っている。
年代別に休み期間の長さで集計すると、「六カ月以上一年未満」が二十代、三十代とも最も多かった。二十代は五人で56%を占め、三十代は十三人と30%だった。四十代は「一年以上二年未満」が最多となり、三十五人(37%)。五十代は「六カ月以上一年未満」が最多で四十四人(39%)だった。
二年以上職場を離れているのは、五十代が二十二人(19%)と最多。四十代=十八人(19%)、三十代=十一人(25%)、二十代=一人(11%)だった。三十代は四人に一人が長期化している。
〇二年度の精神疾患による休職教員(神戸市と市立高校除く)は、二十一人。その後、〇三年度=三十九人▽〇四年度=六十四人▽〇五年度=七十八人▽〇六年度=七十三人-と増加傾向。教職員課は「経験を積んだ教員の休職者が増え、期間が長期化していることは、ほかの教職員の負担が増えるなど、子どもの教育に重大な影響を及ぼしている」と話す。
教職員の精神疾患問題について県教委は休職者らを対象に職場復帰トレーニングなどに取り組んでいる。教員OBらが、職場を離れるに至った原因などを聞き取っている。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000703547.shtml
(コメント)
教師のメンタルヘルスに影響を与えている要素に、モンスターペアレントがあるという説明が行われているが、
病休者の多くが、ベテラン層であることを見ると、その説明は当たっていない。
むしろ、経験を積んだ教師が、管理的な立場に近づくと燃え尽きたり、すり切れたりしている現実を現しているように思える。
【記者コラム:越中春秋】
親の“理不尽”要求
2007年10月5日 中日新聞
子どもが通う学校に無理難題を突きつける保護者「モンスターペアレント」。
昨今の社会風潮を端的に表しているようで、その理不尽さには開いた口がふさがらない。
富山でも親同士の不仲を理由に年度途中でクラス替えを求めるなどいくつかの実例が報告されている。
県教育委員会は「学校と家庭はパートナー」と考え、細かい実態調査には消極的だが、全国の現状をみれば、富山の「被害校」も少なくないだろう。
現場では心の病にかかる先生が増えている。
昨年度、県内の公立学校教員の病気休職者の44%は精神性疾患で、過去最高の割合だった。
保護者対応が一因とも指摘される。
“怪物”にあるのは、ねじ曲がった「顧客」意識で、パートナー意識ではない。
こうした状況は子どものためにならない。 (高橋淳)
http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/toku/syunju/CK2007100502054071.html
(コメント)
教師に起こる精神疾患の原因は、「モンスターペアレント」にあるという論調です。
嘘も、繰り返せば本当になるというような話ではないのでしょうか。
安倍総理が辞職しても、この論調は変わらないようですね。
PTAを見直そうというような議論が起こらないのは、何故なのでしょう。
大弦小弦
2007年9月16日 沖縄タイムス
県教育庁が保護者から学校への執拗な苦情や要求に対応するため、弁護士や臨床心理士などによる専門家チームを年内にも発足させる。
背景には、対応に苦慮した教員が精神疾患に追い込まれる深刻な事態がある。
「『学校に残る権威主義と思い上がり』『他者に無関心で不寛容な社会』『孤立する子育てと自子中心主義』。これが、今の学校と保護者の関係を読み解くキーワードかもしれません」。
大阪大学大学院教授の小野田正利さんは『悲鳴をあげる学校』(旬報社)でこう書いている。
学校に無理難題を繰り返す保護者を「モンスターペアレント」と言うらしい。
いかにも手ごわそうだ。
理不尽な要求も多く、翻弄され、必要以上に身構える教師も多いと聞く。
県内の事例でも「なぜリレーメンバーに入れなかった」「学校を休んだ分の給食費を返せ」「担任を変えろ」など、クレームは多岐にわたっている。
その昔、先生は尊敬の対象で、特に年配者は「シンシー」と崇めていた。
教育改革が叫ばれ、最近の先生は確かに忙しそうだ。
子どもと触れ合う時間も少なくなっている。
さらに保護者とのつながりも希薄になり、苦情を受け止めるだけの余力もなく、自信喪失から潰れていく。
学校と保護者は本来、いがみ合う存在ではない。
教育の主人公はあくまで「子ども」。
胸襟を開いて話し合う中から、苦情の向こう側にある「本質的」なものを見つけてほしい。
(崎浜秀也)
http://www.okinawatimes.co.jp/col/20070916m.html
指導力不足教員450人 2年連続減、25%は退職
2007年9月13日 朝刊 中日新聞
児童、生徒と適切な関係を築くことができないなどとして、都道府県や政令指定都市の教育委員会から「指導力不足」と認定された公立学校の教員は二〇〇六年度、前年度より五十六人少ない四百五十人だったことが十二日、文部科学省のまとめで分かった。
認定者数は〇四年度をピークに二年連続で減っているが、認定を受けて依願退職する人の数は年々増えており、別の職種への転任なども含め四人に一人の割合となる百十五人が教壇を去った。
認定者のうち、〇六年度の研修対象者となったのは三百三十五人。
このうち百一人は、研修の結果、現場復帰した。
教壇を去った百十五人の内訳は依願退職百四人、分限免職四人、転任七人となっている。
認定者のうち60%が在職二十年以上のベテラン。
指導法を変えられず、子どもの変化などについていけないことなどが原因とみられる。
都道府県・政令市で認定教員が最も多かったのは千葉県で二十二人。
次いで三重県(十九人)、福岡県(十八人)、愛知県(十五人)など。
福井県十人、滋賀県七人、静岡県と長野県が各四人、岐阜県は三人。
名古屋市は四人で、札幌、静岡、堺の各政令市は一人も認定教員がいなかった。
指導力不足教員の定義は教育委員会によって違っており、医師や弁護士、保護者などで組織する委員会が判定。
指導力不足教員に対する研修の実施が義務づけられた改正教育公務員特例法が来年四月に施行されるのに伴い、文科省は現在、定義や認定基準についての統一的なガイドライン作りを進めている。
また新任教員で、一年間の試用期間を経て正式採用にならなかった人数も年々増加、〇六年度に採用された二万一千七百二人のうちでは、1・4%にあたる二百九十五人に上った。
うち八十四人は病気で、多くは精神的な疾患とみられるという。
死亡は五人で、そのうち二人が自殺だった。
【指導力不足教員】 子どもへの適切な指導や授業ができない教員。2002年の地方教育行政法改正で、教職から外すことが可能になった。都道府県、政令市の教育委員会が指導力不足の定義や認定の手続き、研修期間などを盛り込んだ人事管理システムを整備している。今年6月に改正された教育公務員特例法で、認定や研修の実施が義務化された。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007091302048359.html
(コメント)
指導力不足教員の人数がこれだけ違うのは何故なのでしょうか。
そこも知りたいところですね。
千葉県教育委員会は現場教師の指導、教育能力が劣っているのでしょうか。
それとも、岐阜県などは、評価が甘いのでしょうか。
指導力不足教育委員会などのリストアップも、是非実施してもらいたいものです。
親の苦情に対策チーム/県教育庁が年内に発足
2007年9月7日(金) 沖縄タイムス
県教育庁は保護者から学校への執拗な苦情や理不尽な要求に対応するため、弁護士や医師、臨床心理士、警察関係者らによる専門家チームを年内に発足させる。
学校だけで解決が困難な事例について、法律や心理学などの専門的立場から助言し、現場教職員の負担を軽減する。
仲村守和県教育長は七日、「小学校の若い保護者などを中心に学校、行政への厳しいクレームが増えている。
学級担任や校長が対応に苦慮しており、教員が精神疾患に追い込まれる要因の一つにもなっている」と説明。
「どこまで対応すべきかという線引きが難しい問題。専門家の意見を取り入れ、学校現場を支援していきたい」と話した。
県教育庁義務教育課が年内の設置に向け、チーム構成や人選などの作業を進めている。
近年、行き過ぎた苦情や無理難題を学校に持ち込む保護者が全国的に問題化。
その対応に時間と労力を費やせざるを得ない学校が増え、対策が求められている。
全国の自治体では長崎県、北九州市、京都市で同種の組織が設置されている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071700_01.html
(コメント)
心理療法家の教育には、スーパービジョンという方法がとても重要視されています。
現場から離れ、直接の利害関係を持たない指導者が、具体的に事例に関して、細かな指導を行う方法です。
この方法は、自分の現場で起こっていることを、距離を持って見るためには、とても有効な方法です。
このような方法が、教育現場でも取り入れられ、実施されたら、大きな成果を上げると思います。
教育現場で、管理者が同時に、実際面の指導者であり、個々の教員の相談相手でもあるという構造では、決して事態は改善しないでしょう。
若い教師を指導し、教育していく役割を、現場を直接預かる管理者が行うと言うことは、不可能です。
実地の教育、少なくとも現場で生ずる問題を最後に相談する場所は、現場を離れ、管理体系から離れた場所に置くべきだと思います。
対応がこじれてから、弁護士や警察が登場するというのでは、あまりに遅いし、筋違いでもあるでしょう。
モンスターペアレントの出現
八重山毎日新聞 (2007-08-25
09:25:04)
校長・教頭は矢面に立ち解決を
長く、ことのほか暑かった夏休みも終わり石垣市立小中学校は一昨日から学校が再開した。
残暑が続く中、子どもたちはこれから運動会や各種スポーツ競技、学芸会などに向けて励んでいくものだと思う。
大人はそんな子どもたちを見守っていきたい。
だが、見守るべきはずの親と教員が時として反目しあうことがある。
■教員の休職療養急増
教育界に「モンスターペアレント」という新語が登場した。
モンスターは怪物、ペアレントは親の意。
学校や担任に無理難題というほかはない苦情を持ち込み、要求をする。
学校の非に対して執拗(しつよう)な抗議を繰り返す。
自分の教育観を持ち込み強要する。
そういう怪物まがいの親のことを言うようだ。
そういう意味では「登場」よりも「出現」の方がリアリティーがある。
そんな親への対応のためにしばしば時間を奪われたり、精神的ゆとりを失って授業や校務に打ち込めない教員が多くなっているようだ。
それがもとで休職療養を余儀なくされる者が増えている。
05年度の文部科学省の調査によると、多忙や保護者、同僚との人間関係等の理由でうつ病などの精神性疾患により休職をした小中高教員は全国で4178人。
13年連続で増加している。
うち、沖縄県は119人。
少子化で教員需要が減少する中、難関の教員採用試験に合格し、夢を描き意気盛んに教職に就いた若者の先がそういう職場であったならば何とも気の毒だ。
もちろんこのような怪物親は一握り。
だがその一握りが学校文化を破壊することになりかねない。
■身勝手ではないか
昔話の桃太郎は1個の桃から彼1人だけ誕生する。
ところが、ある学校の学芸会における桃太郎劇は1個の桃から何人もの桃太郎が誕生した。
自分の子を主役の桃太郎に―の複数の親の圧力に抗しきれずに、そういう脚本にしたとのことである。
学級記念写真で自分の子が中央にいない、自分の子と仲のいい子を必ず同じ学級にしろ、給食がまずいと子どもが言っているので給食費を払わない―等の種々雑多なクレームやトラブルがあるようだ。
とても大人の見識とは思えない稚拙で自己中心的な学校や担任への要求だ。
こんな学校で先人の文化遺産を継承させ、新たな文化の創造ができるだろうか。
そして、果たして子どもが育っていくだろうか。
あまりにも身勝手な親の要求に学校は苦悩している。
しかもそのことに丁寧に対応し、説明をしないと飛び火したり肥大化しかねない現代社会である。行政対象暴力の類と見ていいのではないか。
そんなことから東京都港区は弁護士と契約し専門的助言を得る制度を創設したとのことである。
■孤立させてはいけない
以前の学校は尊敬される存在であった。
そして、地域の文化の殿堂としての偉容を誇っていた。
その偉容は住民の精神的バックボーンともなっていた。
その証しに年配の者は校歌をそらで歌える。
それがなぜこうも威信が低下したのか。
少子化によるわが子への過剰なまでの期待。
峻厳すぎる保護意識。
不透明な危機社会。
個人的ないらだちが学校へと梶(かじ)を切る―等の不平不満がそういうモンスターペアレントを出現させているとみる。
ここ数年来の教育改革は教育手法を市場社会化させた。
このことは自己利益を最優先させる感性を親に強いてきたのではないか。
モンスターペアレントの出現もこれの変形したものとみたい。
ここは、校長・教頭が矢面に立ち、こじれたトラブルを解決してほしい。
決して教諭を孤立させてはいけない。
そのことは親に対してもいえる。
そして、親と教員とは良きパートナーにならなければわが子は育たない―ということを常に毅然と話したい。
(コメント)
父兄からの無理難題とも言える要求に、潰されてしまう教師から聞くと、
校長や教頭が親身に対応してくれないという話が出る。
校長や教頭が、一生懸命対応していても、親身ではないと判断する教師もいるかも知れない。
しかし、それだけではなく、責任転嫁の構造が、あらゆる所にあって、
それが「モンスターペアレント」という現象にも関係しているのではないだろうか。
教師用「訴訟保険」需要急増、都の公立校では加入者3割強
7月24日14時36分配信 読売新聞
保護者などから起こされる訴訟に備え、保険に加入する教師が増えている。
大手損害保険会社の大半が教師専用の保険を扱っているほか、公務員全般を対象にした保険を利用する教師も多い。東京都の公立学校では今年、保険に加入する教職員が3分の1を超えた。こうした状況は、学校に対する親の理不尽なクレームが深刻化する中、教師たちが「いつ訴えられるかわからない」という不安を抱いていることを示している。
複数の大手損保によると、教師向けの損害保険が出来たのは2001年前後。損害賠償請求訴訟を起こされた際の弁護士費用や、敗訴した場合の賠償金を補償する。毎月の保険料は200〜1000円、補償額は300万〜5000万円前後で、現在、大手損保6社のうち5社が、こうした保険を販売している。ある大手損保の担当者は、「口コミで保険の存在が広まっている」と語る。
(コメント)
どうも、教師と保護者を対立的にとらえる報道がなされていますねえ。
この調子で進んでいけば、教育現場にもの申す保護者は、モンスターペアレントとして、
対策を立てられる時がやってくるのではないでしょうか。
全国初の「イチャモン保護者」対応チーム、来月初旬に発足
2007年7月21日20時35分配信 産経新聞
■京都市教委、カウンセラーや弁護士含め
理不尽な要求などで学校現場を混乱させる保護者らに対応するため、京都市教委が、外部のカウンセラーや弁護士なども加わった「学校問題解決支援チーム」を8月初旬にも発足させることが19日、わかった。こうした保護者については、文部科学省が来年度から学校への支援に乗り出すことを決めているが、同チームは市教委が独自に検討を進めていた。設置は全国初という。
支援チームの設置は、今年6月の教育再生会議第2次報告で提言。同市教委はこれ以前から、カウンセラーや弁護士によるチームの設置などについて模索を進めていた。
市教委によると、チームは市教委生活指導主事のほか、医師や臨床心理学者、弁護士、警察OBら外部の専門家約10人で構成。学校からの相談に加え、チームメンバーによる学校巡回などを通して、保護者対応で課題を抱える学校の情報を収集。児童相談所などとも連携し、課題に応じて学校への助言や保護者に対する指導などを行う。
市教委は「理不尽な保護者を排除するのではなく、正常な教育のための話ができるような(保護者にとっての)学び直しの機会を作りたい」とねらいを説明。同チームに続いて今秋には児童生徒や保護者の立ち直り支援を行う「自立促進教育チーム」を設置する計画。
市教委によると、保護者の無理難題などに悩む教師が増加。年間90日以上休職した教師のうち、うつなどの精神性疾患の占める割合は平成12年度が41・4%の12人だったのに対し、18年度は77・6%の37人に増加している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070721-00000919-san-soci
(コメント)
どうも、教師の精神疾患急増の原因は、児童の保護者にあるという世論誘導が行われていくようですね。
これが、教育改革の内容なのでしょうか。
【参院選2007 滋賀ニュース】
<だから1票> (5)教育 教師不足、現場は悲鳴
中日新聞 2007年7月19日
学校行事や会議、出張の予定に加え、日々の出来事。県立高校の校長安倍礼治(57)=仮名=が差し出しながら、切り出した。
一週間分の日付が並ぶページ。青色の線が数日間にわたって縦に引かれている。二本、三本と。
その線の意味は、生徒の自宅謹慎や校長指導などの期間。「喫煙」「暴力」。理由も添えられている。
少子化に伴い、一部の学校では競争率が低下。さまざまな生徒が入学してくるようになった。
親からの苦情や要求も相次ぐ。教師に暴言をはいた生徒に自宅謹慎を命じると、父親からまくし立てられた。「うちの子は、やっていないと言っている」
落第点を付けると、「教え方が悪い」と言われ、ブランド品を身に付けながらも「経済的に苦しい」と授業料の支払いを拒否する。
生徒への指導や親への対応。そのたびに、スケジュール帳が埋まっていく。
教師たちも同じだ。親からの電話は学校だけでなく、深夜に自宅までかかる。
「心のケア」も求められる。不登校の生徒を保健室に通わせ、家族と相談しながら対策を練る。
部活動を抱えていると、土日でも休めない。テスト期間には、日曜の早朝から採点作業に追われる。
先の国会で学校教育法の改正案が可決された。学校運営を強化するために、「副校長」「主幹」という管理職ポストが新設されることになった。
「現場の事情を知らない新任の管理職が増えても、学校が良くなるとは思えない」
安倍の下で高校で生徒指導を担当した経験を持つ男性教諭(28)は、新制度に疑問を投げかけ、訴える。
「予算が厳しくても、とにかく教師を増やしてほしい」
県内で、高校教師の採用は抑えられてきた。二〇〇一年度に三十人だった県立高校の教員募集の人数は〇六年度が五人、〇七年度は「若干名」にまで減っている。
原因は、少子化に伴うクラス数の減少。年金の支給開始が六十歳から六十三歳に引き上げられ、再任用者が増えたことも影響している。
確かに生徒数は減った。だが、現場の教師たちは追い詰められている。県教委によると、二〇〇六年度中に休職した県内の公立学校教諭は六十七人。うち四十七人は精神疾患が理由だ。
「家庭や地域でやるべきことでも、面倒なことは学校に押し付ければいいという風潮がある」
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/saninsen07/shiga/CK2007071902033840.html
モンスター・ペアレント(怪物のような親)
『日本の論点PLUS』 2007.07.12
文部科学省は、6月1日の教育再生会議第二次報告の提言に基づいて、来年度から公教育現場での保護者のクレームに苦慮する学校へ支援体制を確立させる。これは、いわゆるモンスター・ペアレント、つまり無理難題というほかない苦情や抗議を執拗に繰り返す保護者が増えているのに対応するもので、地域ごとに外部の弁護士やカウンセラーらによる協力体制をつくり、学校にかかる負担を軽減するものだ。
給食費を払わず催促すると逆に抗議する、深夜に教員に呼び出しをかける、校長室で何時間も文句を言う、指導が悪いから子どもの成績が下がったと逆ギレする、足が速いのにもかかわらずリレー選手に選ばれないと文句をつける――などがそのクレームの例だ。実際、これらのクレームへの対応に追われ授業に支障が出るケースも増えており、昨年7〜12月の教員勤務実態調査によると、全国の公立小学校教員の75%、中学校教員の71%が「保護者や地域住民への対応が増えた」と感じ、「授業の準備が足りない」と支障を訴えた教員が小学校で78%、中学校で72%あった。
米国ではこうした教育現場を悩ませる、理不尽な要求をする親のことを「ヘリコプター・ペアレント」と呼ぶ。つまり、つねに子どもの周辺にいてヘリコプターのように上空を旋回し、子どもに何かあれば急降下して、周囲のことなど考えずに子どもを守ろうと無理を押しとおす親のことだ。
モンスター・ペアレントは、学校を一方的に批判するのが特徴で、ときには学校を飛び越えて教育委員会に苦情を申し立てたりする。さらにエスカレートすると訴訟に持ち込むこともある。いっぽう、苦情にさらされる側の教員を守る組織がなく、その結果、ストレスがこうじてうつ病など精神性疾患で休職するケースが目立ってきた。文部科学省の調査によると、05年度に全国で病気休職した教員のうち全体の59.5%にあたる4178人が精神性疾患で、10年連続で増加している。
教育再生会議の第二次報告では、ゆとり教育見直しの具体策として、「学力向上にあらゆる手立てで取り組む」ことを打ち出し、このなかで「学校が抱える課題に機動的に対処する」提言を盛り込んだ。そのなかのひとつが、「学校問題解決支援チーム(仮称)の創設」で、報告書には「さまざまな課題を抱える子どもへの対処や、保護者との意思疎通の問題等が生じている場合、関係機関の連携のもとに問題解決に当たる。チームには、指導主事、法務教官、大学教員、弁護士、臨床心理士、精神科医、福祉司、警察官(OB)など専門家の参加を求める」と提言されている。
クレームの底流には、保護者の学校教育に対する不信感があり、学校と保護者の間のコミュニケーション不足が大きな原因のひとつになっている。なかには、「問題教師」と「モンスター・ペアレント」の責任のなすり合いだと指摘する識者もいる。こうした状況を受けて現場では、モラルの低下した保護者を指導する内容を盛り込んだ冊子「『親』学習プログラム」をつくり配布する(山梨県教育委員会)例や、トラブルに対応するため専任の弁護士に頼み「学校法律相談制度」をつくる(東京都港区教育委員会)といった試みが始まっている
(コメント)
教師が精神性疾患で休職するのは、父兄に問題があるかのような論旨です。
教師に精神性疾患が多いという現実を文部科学省も認めざるをえないのでしょうが、無理を言う父兄にその原因を押しつけようとするとは、ひどい論法があったものです。
<退職勧奨>「子の障害」も例示した文書を通知 都教育庁
毎日新聞 2007,7,8
校長らの勧めに応じて教職員を早期退職すれば退職金を割り増す制度をめぐり、東京都教育庁が退職を勧めるケースとして、「子の障害」などを例示した文書を市区町村教委や都立高校などに通知していることが分かった。
厚生労働省は職業と家庭の両立を目的とする育児介護休業法の趣旨に照らし「好ましくない」と指摘し、学校現場や識者からは「介護を抱え全時間出勤できない教員は不要ということか」と疑問の声が上がっている。
制度は、50歳以上60歳未満の教職員が対象。校長や各教育委員会の所属長から退職するよう勧められ、本人が応じた場合に適用される。
都教育庁は制度の周知を図るため、3月27日付で趣旨などを記した通知を出し、管理者向けに具体的なケースを示したQ&Aを添付した。
通知では、対象の教職員に退職を勧める理由として「疾病」「介護・育児」を挙げている。Q&Aでは「育児」の具体例として、「3歳以上の子供の場合で、育児を手伝ってくれる家族等がおらず、本人が育児を行わなくてはならない場合」「子に先天的、後天的な障害がある等、育児に特段の事情がある場合」と明記した。
通知について、厚労省は「育児介護休業法は、家族の役割として育児や介護を円滑に果たすことを基本理念として示している。育児や介護を理由に退職を勧めるのは、法の趣旨に照らして好ましくない」と指摘する。
また、日本が95年に批准した国際労働機関(ILO)の「家族的責任を有する男女労働者の機会および待遇の均等に関する条約」は、「家族的責任自体は雇用の終了の妥当な理由とはならない」と規定。厚労省は、この規定に違反する疑いも指摘している。
都教育庁職員課は「例示した理由で退職を強制・強要することはありえない。学校現場に懸念や誤解を生んでいるとすれば、それを払拭(ふっしょく)したい」と話した。【高山純二】
ルポライター・鎌田慧さんの話 「子どもの障害」などを勧奨理由に挙げるのは、民間企業でも聞いたことがない。労働者の人権や権利意識がなく、障害者差別にもつながるのではないか。都教育庁は日の丸・君が代の問題でも力任せの行政をしており、あらゆる面で逸脱している。
個認める教育 負の烙印
東京新聞 2007,7,4
今国会で改正教育関連三法が成立した。十年ごとの教員免許更新制や、免許失効を可能にした指導力不足教員対策の厳格化が含まれている。その前夜、千葉県で指導力不足教員と認定された一人の若手教員が免職寸前、少数派組合の力で現場に復帰。
だが、その対象ではない東京都のベテラン教員は管理強化と事なかれ主義に失望し、職場を去った。学校現場で教職への志が揺れている。
(田原牧)
現場は外し 大人のいじめ
「考えさせる授業」教頭クレーム
「指導力不足」と排除、先生は・・・
「自分がなるまで『指導力不足教員」なんて人ごとだった」。千葉県八街市内の小学校に勤める小川和則教諭(三七)はそう振り返る。教員になって十一年目の二〇〇四年、同市内の小学校(分校)に転勤。その一年後、指導力不足教員と認定され、二年間の研修を経て今年四月、ようやく職場への復帰を果たした。
分校では、本校でなりたての女性教頭が校長役だった。同僚八人も全員女性。三年生のクラス(児童十三人)担任を受け持った。理由は日の丸でも君が代でもない。小さなきっかけが重なった。小川さんは十年来、コの字形に机を並べ授業をしてきた。これに教頭からクレームが付いた。
実践してきた「仮説実験授業」も問題とされた。この方式は一九六〇年代から全国に広がった授業技術。理科などで子どもたちに予想を立てさせ、討論、実験を経て理解させる。しかし、教頭は「教科書に沿わない」と批判した。
給食も無理に嫌いなものは食べさせなかった。これもやり玉に挙がった。それまで主役タイプだった女子児童を「厚遇」せず、その保護者から教頭に不満が届いた。当時、小川さんは別の父子家庭の保護者から伝えられた「いじめ」対策に頭を痛めていた。
教頭の「忠告」を受け流し続けた結果、本校の校長から市教委に「特別研修教員(指導力不足教員)」として申請された。申請内容をたずねる小川さんに対する市教委の回答は「そんなもの読みたくもない」。小川さんが教室に何も掲示しないとの"告発"もあった。小川さんは「習字や絵などを張っていた」と話しており言い分は食い違う。
だが、県教委の判定会はこの申請を認めた。所属していた日本教職員組合(日教組)系の組合幹部は「上司を怒らせたオマエが悪い」と相談に冷淡だった。同県の研修には職場で指導される「A」と職場から離される「B」がある。最初の一年は研修Bだった。県総合教育センター(千葉市)の研修室で社説を読み、リポートを量産する日々。指導に少しでも意見を挟もうとすると「現場復帰させないぞ」と言われたという。ストレスからか、髪が抜けた。
一年目の秋、学校現場での実践研修があった。行き先は船橋市の小学校の障害児学級。好評で、受け入れ先の校長からも励ましの手紙をもらった。しかし、その後の八街市二校での研修では、所定期間前に授業を打ち切られた。○六年二月、もう一年、研修Aで過ごすことが決まった。ただ、研修所での指導役からの罵倒は止まった。というのも、小川さんが同県の少数派教職員組合「千葉学校労働者合同組合」(柏市)に加盟したことを公然と表明したためだ。
この組合には「過激で名が通る」(管理職)という風評があった。が、小川さんにとっては「初めて真剣に話を聞いてもらえた」組合だった。「(組合員が)教育委員会の幹部相手に正々堂々と渡り合う姿を見て驚いた。正当な権利でも、主張してはいけないと諦めいたから。これが研修のの成果だったかも」
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指導力不足教員
47都道府県と15指定都市の教育委員会内の判定会で認定、一定期問の研修後、復帰や分限免職などを決める。2001年の地方教育行政法改正で施行された。05年度は全国で506人が認定され、109人が退職,無断欠勤など論外なケースはともあれ、管理職による異論者排除などが懸念されてきた。今回の教育公務員特例法改正で、自治体ごとの認定基準が統一されるほか、免職のみらず事実上、教員免許のはく奪が可能となった。
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とはいえ、研修二年目も厳しさは続いた。戻った学校で校長は保護者を集め、ルール違反にもかかわらず「小川は指導力不足教員」と言いふらしたという。年末、校長や市教委が作成した報告書には、子どもの個性を認めすぎで指導性に乏しいといった指摘に加え、「(先輩教員の)指導を心から受け入れる姿勢ではない」と記された。
結論は免職要求だった。小川さんの反論書提出や少数派組合、無所属県議の申し入れなどが続いた。県教委の判定会が最終的に下した判断は、翌年からの原職復帰。クビを免れた。
免職要求をけられた形の八街市教委の広瀬忠臣学校教育課長は取材に「おたくらに話すことはない」。最後まで「市教委の判断は正しかった」と強調した。小川さんは「子どもたちに再び会えた」と喜ぶ。
「虫けらのように扱われたのが悔しかった。結局は大人社会の『いじめ』。子どもたちはそれをじっと見ている。私が学校で生き残っている事実が、似た境遇の教員や子どもたちの励みになれば、何よりうれしい」
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デスクメモ
小学校の恩師が生きていたら「指導力不足教員」にされたろう。教科書よりも公害間題の書籍を読ませ意見発表を特訓。宿題は子ども自身につくらせた。同級生は議論好きに。これとは正反対の政府方針。「学力が高く、意見は持たない子」を大量生産し「為政者に逆らわぬ大人」に育てるのが狙いかも。(隆)
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個認める教育 負の烙印
裁量権奪われ 去るベテラン
「教科書一辺倒に」おしつける自分怖い
「仕事は最後までどんどん面白くなっていた」。東京西部の小学校勤務を最後に昨春、二十六年間の教職生活に終止符を打ったA子さん(五二)。現在は一転、そば職人を目指している。辞めた理由は端的に言うと、管理強化に希望を失ったからだ。その流れに身を委ねっぱなしの同僚たちにもしらけた。管理の実態は列えば、こんな貝合だ。
「教室ではいま、(児童の)道具箱のハサミを先生が預かり、必要なときだけ渡す。友だちに向けると危ないからって。私は従わなかった。保護者たちも『あんまりバカなことをすると子どもにバカにされる』とあきれていた。
だけど、周りを見回すと、拒んだ担任は全校で私だけだった」辞職の直接の契機は「週案」を出さず、校長とぶつかり、強制異動の対象になったためだ。週案は翌週の学習指導案。各コマごとに記し、校長が添削する。昔からあったが、出す教員は少なかった。
ところがここ数年、教育委員会の締め付けで、ほぼ強制になった。「授業は教員の勝負どころ。アドバイスはいいにせよ、教員一人一人の裁量に任されるべきだ」。これがA子さんの考えだ。
卒業した大学は文系。そのため、理科教育の研究会に通い先輩教員に学んだ。東京理科大の夜間部にも自費で通い、卒業した。頑張って考えた授業は子どもが評価してくれる。それが活力になった。いじめに気づき、緊急に保護者を集め、外部識者も呼んで対応したこともあった。
週案を書くのは簡単なことだ。だが、そうした妥協の積み重ねの先に大切なものを失うのではないか。お上の唱える道徳教育を子どもに押しつけてしまう自分の姿が浮かび怖かった。
「辞める」という話が保護者に伝わったときは「残念です」という手紙をもらった。でも、やり直しの力がまだ残っているうちに職場を離れたくなった。「教師を計る客観的な尺度なんてない。結局は管理職の言うことを聞く人が評価される」とA子さんは話す。教員も免許更新の時代に入る。「安定志向が強い世界。教科書一辺倒の授業ばかりになるでしょうね」
(コメント)
こういうのが教育現場の実情であれば、ストレスからこころの病になる先生が続出しても、何の不思議もないでしょう。
増えるモンスターペアレント (下) 説明伝わらず苦慮
中日新聞 2007年7月2日
保護者が突きつける無理難題に、教員たちは日々対応を迫られ疲れ切っている。だが、親も教員も本来「子どものため」を思う気持ちは同じはずだ。お互い協力して子どもの教育に取り組むための方策はないものか。
「担任はうちの子を問題児扱いした。内申点が足りずに中学受験に落ちたら担任のせいだ」
私立中学進学熱の高い東京都内の区立小学校の校長室に、わが子の通知表に不満を持った父親が乗り込んできた。
この児童は「宿題はやらないことが多く、提出物は忘れがちだった」と担任教員(30)は言う。何度も催促したが、これでは採点ができず通知表はその結果だった。校長が事情を説明しても父親は信じなかった。
「モンスターペアレント」の特徴は、一方的に学校を批判することだ。学校側が事情を説明し理解を得ようとするが、なかなか伝わらない。しかも学校を飛び越し教育委員会に苦情を申し立てたり、訴訟を起こされることもある。こうなると対立は決定的となり、学校と保護者が話し合いで問題を解決する方向にいきにくい。
その上、保護者の学校への不信感は子どもにも影響する。「教育委員会にチクる(密告する)ぞ」。ある教員(34)は「こんな言葉を吐く十二歳を見ると、背後に保護者の影を感じて空恐ろしくなる」という。
持ち込まれる苦情に教員のストレスは増すばかりだ。苦情を受ける部署のあることが多い一般企業と違い、学校では個々の教員が直接保護者と向き合わざるを得ない。
別の都内公立小教員(28)は「連絡帳に何か批判的なことが書かれていると、自分は悪くなくても面倒だからつい『すみません』と書いてしまう」と話す。神奈川県のある小学校教員(36)も「こちらがもっとき然とすれば親の態度も変わるかも」と自戒しながらも「疲れ切っているので謝って済むなら何度でも頭を下げてしまう」と告白する。
こうしたストレスも一因で精神疾患となる教員もいる。文部科学省によると、一昨年度に全国で病気休職した教員のうち四千百七十八人(59・5%)が精神性疾患で、十年連続で増加している。
学校にも課題はある。苦情にさらされる教員を守る組織力が不足している。ある教員(37)は「気をつけていてもけがをさせてしまうことはあるし、わが子の命に親がむきになるのは当たり前。問題は学校の体制や設備がその原因の場合でも、校長が担任の責任にして逃げるケースが増えたこと。これも教員個人の訴訟費用保険加入が増えた原因の一つ」と指摘する。
東京都港区教育委員会が、こうしたトラブルに対応するため専任弁護士を設ける「学校法律相談」制度を始めたが、試みは始まったばかりだ。
双方が対立してしまう背景には、コミュニケーション不足もある。以前は当たり前のようにできた家庭訪問も、今は共働きなどで保護者不在が多い。個人情報保護法が壁となり、以前のように詳しい家庭状況調査もできない。都内の中学校長(58)は「情報不足、コミュニケーション不足だから不安になる。お互いの顔や考えがわかれば、ささいなことで苦情は来ない」という。
「教員はつくづく“接客業”だと思う」と前出の教員(34)はため息をつくが、逆転の発想を求める声もある。千葉県の中学校教員(50)は「『困った親』は、実は『困っている親』『困っている子どもの親』。苦情をSOSだと思って耳を傾ければ、逆に強固な信頼関係を築くきっかけになる」と話す。 (井上圭子)
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007070202028940.html
(コメント)
私も何人かの、教育現場で働いていおられる患者さんを見てきましたが、父兄への対応が原因で、精神性疾患となった方はありませんでした。
すべての人が、過労を原因としていました。
それも、不必要な書類、会議、報告の増加が問題だと言うことでした。
色々な改革のたびに、書類が増え、休みが減り、へとへとな状態になるのだそうです。
それにしても、どうして親を責めるのでしょうかねえ。
増えるモンスターペアレント(上) 教員に無理難題
中日新聞 2007年7月2日
学校に無理難題を突きつける保護者は、教育現場では「モンスターペアレント」と呼ばれる。指導力不足や不祥事を起こす教員など公教育への不信感が背景にはあるが、一方でこうした保護者の存在も教育現場を委縮させている。 (井上圭子)
神奈川県相模原市のある中学の校長室。母親同士が激しい言い争いをしている。しかも子どもの前だ。せっかく子どもが自分たちでいじめのトラブルを解決しかけていたのに、納得しない親たちが相手の子どもに罵詈(ばり)雑言を浴びせつける。
同校の教員(36)は「親が中学生と同レベルで本気で怒って泥沼化させてしまう。中には『身内には弁護士もいる』と裁判をちらつかせて責める親もいる」と話す。
こうした保護者に共通なのは「一方的な主張」だ。「うちの子がいじめられた」と訴える父親が、“容疑児童”の調書を作って乗り込んできたことがあった。他の子どもたちに聞き取り調査まで行い「〇月〇日、A子はどこで誰に何をした」などと数十ページにわたって詳細に記し、「悪質なA子の転校を求める」と要求された。「自分の子だって他の子をいじめてるのに、わが子の『やられた』という言い分しか信じない」とこの教員は首をかしげる。
電話での問い合わせや苦情も「日常茶飯事」(ある教員)。東京都内のある公立小学校では毎日午前十時までと午後四時以降は、保護者からの電話応対の時間に充てている。教員は帰宅後も応対が終わらない。真夜中に生徒の母親から「離婚したいけど先生どう思う?」と、家庭内のことで自宅に相談の電話がかかってきたこともあった。この教員(32)は「こんなことまで私の仕事かと思いながらも、邪険にしたら後で何を言われるかと思うと切れなかった」と告白する。
学校の指導法にクレームをつける保護者もいる。教育上決めたルールに従って進めているのに「うちの子は足が速いのになぜリレーの選手になれないのか」「うちの子は二十五メートル泳げるはずなのになぜ検定に受からないのか」と苦情がくる。
前週に配ったプリントを子どもが親に渡し忘れていたのに「本当に配ったのか」と非難される。後にランドセルの奥からプリントが発見されると「先生の指導が悪い。おかげでうちの子の課題提出が遅れた」と逆ギレされた。東京都中央区の公立小学校教員(36)は「保護者に全く信用されていない」と嘆く。
「学校の監視」は徹底している。校庭を見下ろす高層マンションに住む保護者は、双眼鏡で体育などの授業の様子をチェックしては、翌日の連絡帳に「ここはこういう指導法に変えた方がいい」などと細かく“アドバイス”してくるという。こうした保護者は、いつでも急降下(要求)できる状態で子どもや学校現場の上空を旋回することから「ヘリコプターペアレント」とも呼ばれる。
こうした保護者が増えた背景には教育への不信感があるが、それだけではないようだ。都内のある公立小学校の校長(58)は「消費社会の中で、親の意識が『学校とともに子どもを育(はぐく)むパートナー』から『サービスの受益者』に変わり、顧客満足度が学校評価の物差しになった。その上、以前は地域で子育てする中でわが子の位置を自然に把握できたが、今は近所付き合いもなく自分の子しか眼中にない親が増えた」と分析する。
前出の相模原市の中学教員は保護者の現状を「一学級に生徒が三十五人いるとすると、親を含めて五十人以上の子どもの面倒を見ている感じだ」と例える。
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007070102028640.html
教員の精神疾患休職 最多/06年度151人
沖縄タイムス 2007年6月30日(土) 朝刊
精神疾患を理由に休職した県内の教職員が、二〇〇六年度は百五十一人に上り、過去十五年で最多となったことが二十九日、県教育庁のまとめで分かった。〇四年度は九十四人、〇五年度は百十九人と年々増え、〇六年度は〇四年度と比べ約一・六倍になっている。沖教組、高教組は「現場の多忙化が原因だ」と指摘。県教育庁は復職支援策の検討など、対策を強化していく方針だ。(嘉数よしの)
県議会六月定例会一般質問で、奥平一夫氏(社大・結連合)に仲村守和教育長が答弁した。
公立小中高校、特別支援学校の教職員のうち、〇六年度の精神疾患による休職者の内訳は、男性六十九人、女性八十二人。年代別では三十―四十代が全体の四分の三を占めた。三十代が六十二人、四十代は五十二人で、五十代は三十人、二十代は七人だった。
仲村教育長は「生活習慣病等との併発、職場環境への不適応、病気の繰り返しなど、さまざまな複合的要因が考えられる」と答弁した。
取り組みについては「本人との面談や、同僚の授業参観、模擬授業を行うことで学校にスムーズに戻れるような支援策を取っている」と説明。「過度な負担にならないよう努めていく」と語った。
一方、沖教組、高教組は多忙化が原因の一つと口をそろえる。
沖教組の大浜敏夫委員長は「会議や研修、上司や行政への書類作成などの業務が増えた半面、同僚間で相談し合う職場の雰囲気は薄らいできている」と懸念する。市町村教委ごとの労働安全衛生委員会の設置、会議や研修などを減らし、病休期間を現行の三カ月から四カ月に延長する措置などを求めていく方針だ。
高教組の松田寛委員長は「なぜ三、四十代が多いのかなどの分析を急ぎたい。単純な解決策はないが、さまざまな要因が絡んでいるのは確かだ。労使で協力して対策に取り組まなければならない」と話している。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706301300_03.html
<何が問われる>(4)教育 理想の改革、現場を圧迫
中日新聞 2007年6月23日
「ダメな教師には辞めていただく」。そう宣言した首相・安倍晋三の執念で教育改革の動きが加速する。教員免許の更新制を含む教育関連三法案が二十日、成立。首相の諮問機関である教育再生会議も教員の質を厳しく問う議論を続けている。“標的”は学校、そして教師だ。
「教師は素晴らしい職業って思ってます、今も。でもね、わが子が志望したら、少し考えさせますよ」。福井市内に住む小学校の男性教諭(49)は、不安を募らせる。
下校時の見守り強化、行政に提出する書類の増加、深夜でも自宅を訪れる保護者への対応など。教育現場は全国どこでも忙しい。その上、教員免許が更新制になれば…。「十年おきに受ける三十時間ばかりの研修で『あなたはダメ』なんてクビになったら、普通のサラリーマンならどう思いますか」と、この教諭は問いかける。
別の女性教諭(52)は「両手に資料が詰まった大きなかごを抱えて帰宅することが毎日」と話す。学校では増えた仕事をこなすのに手いっぱい、授業の準備や教材研究を自宅でやる教師は多い。さらに、多忙化の要因として「保護者の変化が大きい」ことを挙げる。学校に無理難題を突きつける親が徐々に増え、管理職や担任はその対応に追われるという。
平日は残業二時間、自宅での持ち帰り仕事が三十分、休日は三時間−。県教育委員会が昨年、実施した調査で分かった県内の教員勤務実態だ。文部科学省が全国の公立小中学校教員を対象に行った調査もほぼ同じ結果。小学校教員の勤務中の休憩時間は一日平均でたった七分しかなかった。
「子どもの安全確保」「地域に開かれた学校」「一人一人に目が行き届く教育」。文句の付けようがない名目で始まる新たな取り組みと多様化する保護者の存在は、次第に教師たちを追いつめる。二〇〇五年度に精神性疾患で休職した全国の公立学校教員は、四千百七十八人(文科省調べ)。十三年連続の増加で、この十年で三倍になった。
多忙化の問題を議会で度々取り上げてきた県議の山本正雄は「教師の本分は、子どもとじかに接すること。行事を整理し、その時間を確保するため、教委も学校現場も勇気を持ってほしい」と注文をつける。同じく教員経験がある松崎晃司も「授業数を再び増やそうという流れの中で、教員にしわ寄せがきている」と懸念を示す。
現場からは悲鳴が上がるが、教育改革の推進側は動じない。九日、来福した自民党幹事長の中川秀直は日教組を批判し「『親方日の丸』の組合から公共サービスを取り戻す」と力を込めた。
改革を進めた結果、果たして自由で楽しい教育現場が生まれるか。教師たちは既に悲観している。 =文中敬称略
理不尽な要求、専門チームで対応
京都市教委が設置、学校へ助言
京都新聞 (6月23日)
学校に理不尽な要求を突きつけて学校運営に支障をもたらす保護者が全国的に増える中、京都市教委は21日までに、医師や弁護士、警察OBらでつくる「学校問題解決支援チーム」を、今夏にも創設する方針を決めた。教育再生会議が1日に公表した第2次報告で同チームの各教委への設置を提言したが、具体化するのは全国で初めて。
■全国初、医師や弁護士らで構成
市教委によると、支援チームは医師、臨床心理士、弁護士、警察OBらに生徒指導、学校指導課、家庭地域教育支援室の主事を合わせた約10人で構成。理不尽な要求をする保護者や問題行動を起こす児童、生徒の対応を学校とともに担当する。
具体的には、学校への巡回訪問とともに、学校から要請があれば弁護士ら専門家が直接相談を受け、指導や助言を行う。児童相談所や警察など関係機関とも連携を深めて問題解決にあたる。
市教委によると、具体例では、暴力を受けた子の父親が授業中に教室に入って「加害者を殴らせろ」と大声を上げたり、子どもの頭髪指導にクレームをつけたのを発端に「あすから学校に行かせない」と抗議する例もあった。ひんぱんに電話やファクスをしたり、連日数時間も居座るなど、学校が深夜まで対応に追われるケースも見られた。
市教委によると、90日以上の病気休職者のうち、うつなどの精神性疾患の教員は2000年度が41・4%の12人だったのに対して、06年度は77・6%の37人に上っており、市教委学校指導課は「一概には言えないが、背景には理不尽な要求を迫る保護者の対応に追われ、学級運営が行き詰まったことも一因」と分析している。
市教育相談総合センターの桶谷守所長は「教師を守るだけではなく、教師が教育に専念してもらうことしてもらうことを目的にチームを設ける。問題のある保護者や児童、生徒の自立支援などを行う仕組みも考えたい」と話している。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007062200046&genre=F1&area=K10
(コメント)
京都の教育は全国的にも先進的と評価されているそうです。
学校教育の行き詰まりには、父兄が大きな原因になっていたのですね。
保護者の自立支援まで、射程に入れるとはスケールの大きい構想ですね。
これまでは日教組が攻撃対象でしたが、これからは教育に批判の目をむける父兄が攻撃されるのでしょうか。
いや失礼、指導、教育対象でしょうか。
教育3法改正 教える意欲がそがれる
信濃毎日新聞 6月23日(土)
教える立場にある人は「あこがれを強く持つ必要がある」。教育学者の斎藤孝さんが、著書「教育力」(岩波新書)に書いている。
何かを価値あるものと認め、目指し、心ひかれるからこそ努力する意欲がわく。教育の基本は学ぶ意欲をかき立てることである。教える者があこがれの気持ちを失っている場合には、人はついてこない、と斎藤さんは指摘する。
いまの学校で何かにあこがれ、学ぶ意欲を持ち続けていられる先生がどれくらいいるだろうか。
「教育改革といってさまざまなことが変わろうとしているけれど、じっくり考える時間も心のゆとりもない」。ある小学校教諭の言葉だ。
忙しさに加え、保護者との対応、職場での人間関係などに疲れ果てる教員も増えている。2005年度にうつ病などの精神性疾患で休職した公立校の教員は約4200人に上った。過去最多である。この10年で約3倍になった。
こんな状況下で、さらに学校や教員の負担を増す教育関連3法が改正された。学校に新たな管理職を置ける。教員免許を10年ごとの更新制にする。文部科学相が教育委員会に是正を求める権限を持つ。
いずれも内容が生煮えなまま決まった。運用面での検討を十分に重ねる必要がある。
免許更新制は09年度から始まる。講習の詳しい内容も評価基準もこれからだ。対象者は毎年10万人余に上り、手続きは大変になる。約30時間の講習で、本当に教員の質の向上になるのか、疑問符がつく。
学校教育法の改正では、学校に副校長や主幹などを置けるようになる。校長を補佐したり、他の教員への指導ができるポストだ。ただ、管理職が増えても教員の数が増えるわけではない。安易にポストを増やすと、教員が子どもに向き合う時間を奪う結果になりかねない。
最も大きな問題は、お金も人も増やさず、現場の頑張りだけを期待する“改革”になっていることだ。
3法の審議で教育予算の増額を求める声が与野党から相次いだ。しかし安倍政権初の「骨太の方針」では「効率化を徹底しながら、真に必要な予算は財源を確保する」とあいまいな表現にとどめた。
行政改革の名のもとに、政府は教員定数を減らし、評価に基づいて給与に差を付ける方針だ。授業時間の増加、小学校での英語必修化なども検討課題とされている。
教員の負担を増し国の管理を強めるだけでは、教員の意欲をそぐ結果になる心配が大きい。これでは、教育はよくならない。
http://www.shinmai.co.jp/news/20070623/KT070622ETI090002000022.htm
【中日新聞・社説】
教育3法成立 現場を委縮させるな
2007年6月21日
教育関連三法改正が今国会で成立したことで、現場の管理体制は一層強まる。公権力が過剰に介入する懸念もあるが、教師は委縮することなく、現場に向き合ってその職責を全うしてほしい。
参院での教育三法の審議をみても参考人や中央公聴会の公述人からは問題点や否定的意見が多く出た。
地方教育行政法の改正では、文部科学相による教育委員会への是正の指示・要求権ができた。地方分権一括法では文科相の是正要求権や教育長任命承認権が削除された経緯があり、国の権限が復活させられた。
いじめ自殺などに教委が適切に対応できなかったことが改正の理由とされているが、主な教委には国からキャリア官僚が出向しており、国の指導や通達にはこれまでも従ってきたはずだ。教委が国の意向に従うだけの組織になりはしないか。
国が教委に指示や要求をしたからといって、いじめ自殺が減るかどうかは疑問だし、地方分権の流れからは逆行する。一方、教委は私学の教育内容に対し、知事から求めがあれば助言できるようになった。私学の自主性は尊重されなければならず、この運用は慎重であってほしい。
教員免許法改正では十年に一度、三十時間以上の講習が教員に義務づけられ、免許が更新制となる。管理強化の手段にされる懸念があり、講習に出る教員の穴埋め問題というなおざりにできない課題もある。
教員に免許更新制が必要かという根本的な疑問はぬぐえない。専門性でいうなら医師や建築士はどうなのか。不適切な人を外すことは現行制度でも十分にできる。教員管理の手段と批判されないよう、手続きの公正さと透明性を確保すべきだ。
学校教育法改正では、副校長や主幹などが置かれ、学校の運営体制が強化される。東京都はすでに主幹制度を導入しているが、希望者が少なく、うまく機能していないという。任務が過重のためらしく、中間管理職を増やしてマネジメント効果を上げようという企業的な論理だけでは公立学校の運営は難しい。
教育の再生には、管理強化よりも現場への支援ではないのか。人や予算の手当てをしないままの改革で効果はあるのか。
指導力不足や問題を起こす教員は少なくないが、問題が起きた背景を分析し、総合的な対策を講じなくては根本解決はない。教師の一日の残業時間は平均二時間といい、過酷な労働状況から精神的疾患にかかる人もいる。管理強化で現場の士気が低下し、教職に就くことを敬遠する若者が増えはしないか、気になる。
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