●精神疾患の休職教員に復帰訓練=東京
2010年07月01日 時事通信出版局
東京都教育委員会は、うつ病など精神疾患で休職している教員の職場復帰を支援する機関「リワークプラザ東京」を設置した。
都教委によると、休職教員向け支援機関は全国初という。8月から復帰訓練を始める予定で、精神疾患で休職中の教員の6割に当たる、300人程度の参加を見込んでいる。
都の全休職教員のうち、精神疾患は約7割を占め、2002年度から増加を続けている。
精神疾患の大半がうつ病という。
リワークプラザの職場復帰訓練に参加するには、主治医の診断書のほかに、本人が精神科医と面接して了承を得る必要がある。
プラザに在籍する臨床心理士や校長OBらで構成する「復職アドバイザー」が、それぞれの参加者の特性に応じた訓練プログラムを策定する。
復帰訓練は3カ月間とし、休職前の勤務校で、(1)出勤訓練(2)校務分掌や授業参観(3)給食指導や管理職が見守る中での授業―の順番でそれぞれ1カ月取り組む。訓練終了後、都教委と精神科医、復職アドバイザーらが合議して復職してよいかどうか判断する。
また、精神疾患に対する教員の自覚を促すため、今年度の定期健康診断でメンタルヘルスのチェックシートを一部教員に導入し、来年度からは全教員に行う。
都立高校などでは、各校の産業医と連携し、診断結果について教員に助言をしてもらう考えだ。
さらに、全教員を対象にメンタルヘルス研修を実施するほか、勤務環境が大きく変わる新人教員や新任の副校長には臨床心理士が個別に面談する。不調を感じた教員が人目を気にせず土日に相談できる窓口も、都内2カ所に設ける。(了)
(コメント)
しばらく更新をさぼっていました。
気がついたら、更新するように努力します。
2010年1月19日 福井新聞
心を病む先生が福井県内で増えている。2008年度に、うつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は07年度から7人増の35人となり、過去最多となった。年代別では中核的な役割を担う30〜40代が突出。現場からは授業、部活動以外のさまざまな校務や調査・報告書の作成といった業務の軽減のほか、メンタルヘルス対策や復職支援の一層の充実を求める声が上がっている。
文部科学省の全国調査に合わせ、県教委が県内の公立小中高校と特別支援学校の教員を対象に状況を毎年まとめている。
調査結果によると、08年度は7373人のうち52人が病気で休職。うつ病などの精神疾患によるケースは初めて30人を超えた。全体の67・3%を占め、全国平均の63・0%を上回った。
県教委教育政策課によると、精神疾患で休職した教員は4年連続で増加。10人だった1999年度と比較すると3・5倍になった。30代(14人)と40代(13人)で全体の8割弱を占め、50代は6人、20代は2人。性別では女性が23人だった。
心を病む教員が増加する傾向について同課は「業務のストレスに加え、保護者や地域の要望の多様化が背景にあるのでは」と分析。全国平均はやや上回っているが、特に突出しているわけではないとしている。
一方で「データに表れない潜在的な予備軍は多い」と指摘するのは、県教職員組合の渡辺大輔執行委員長。30〜40代の傾向を特に問題視し、「この年代は経験が未熟なわけではなく、現場をまとめるリーダー的な存在。人手不足のまま一人で何役もこなさなければならず、慢性的な忙しさに拍車が掛かっている。自分のことを後回しにせざるを得ない状況にまで追い詰められている」とみている。
この言葉を裏付けるように、30代後半の福井市の中学校教諭は「午後10時を過ぎても家に帰れないのは珍しいことではない」と打ち明ける。残業でこなすのは、教育委員会などから要請のあった各種の調査・報告書の作成、地域や保護者との連絡調整…。子どもと向き合う授業や部活動以外にも仕事は山ほどあるという。
毎日夜遅くまで残業しても時間が足りないため、睡眠時間を削って午前4時には起床。夜明け前から仕事に取り掛かることもある。「心の病で休職した教員の中には『まさかあの先生が…』という人もいる。30〜40代だけでなく、どの年代もオーバーワーク。いつだれがパンクしてもおかしくない状況だ」と語る。
心の病を未然に防ぎ、再発を防止する手だてとして県教委は、専門医療機関に設けている相談窓口での早期受診を呼び掛けているほか、管理職には会議や打ち合わせの集約のほか、面談などで変化の予兆を早く察知するよう求めている。
これに対し県教組は、メンタルヘルス対策と復職支援のさらなる充実を県教委に要望。具体的には、授業以外の校務負担の軽減や人員配置の見直しに加え、休職した教員が職場に復帰した後も細やかにフォローアップするシステムの構築が欠かせない―としている。
掲載日は不明ですが、東京都教育委員会が公表した、「平成19年度の精神疾患による病気休職者の実態などとともに平成22年度のメンタルヘルス対策について取りまとめて掲載しました。」というものです。
HPはここです。
詳細な分析がなされており、参考になります。
東京都教育委員会もなかなかやっているじゃないかと思いました。
こころある人が、ちゃんと仕事をしているのだと、勇気づけられます。
2010年1月15日 読売新聞
うつ病などの精神性疾患で、2008年度に休職した神奈川県内公立学校の教員は381人に上ったことが、文部科学省のまとめでわかった。県教育委員会は「増加傾向が続いており、心の健康対策に一層力を入れたい」としている。
文科省の発表によると、県内の精神性疾患による休職者数は07年度比で2人の微増にとどまったが、病気休職者全体に占める割合は3・1ポイント増の64・7%に達した。病気休職者のおよそ3人に2人が精神疾患を理由にしている状況だ。
ここ数年をみても、03年度の226人(割合は48・5%)から、04年度は270人(同56・5%)、05年度は291人(同59・4%)、06年度は334人(同61・2%)、07年度は379人(61・6%)と増え続けている。
県教委は「教員向けの相談窓口を設置し、親身になって悩みを聞くなど、精神面を支える対策に取り組んできた。さらに強化していきたい」としている。職場復帰に関しても、3か月ほどかけて徐々に出勤日数や勤務時間を増やす再発防止策を取っているという。
文科省によると、全国では08年度、前年度比405人増の5400人が精神性疾患で休職した。08年10月に同省がまとめた調査結果によると、うつ病の症状を訴える教員の割合は、一般企業の2・5倍に上っているという。
「モンスターペアレント」や「モンスターペイシェント」がクローズアップされて久しい。学校や病院で、親や患者が理不尽な要求を突きつけたり、暴れたりの行動を取る。
特に学校では、けんかした相手の子どもを転校させろ、うちの子には掃除をさせるな…などの「モンスター化」した親たちの存在が社会問題化した。学校には、期待の裏返しとして多様な要求がある。気の毒なのは、こんな緊急事態に教師たちが不慣れなことだ。
県内の県立高校に勤務する友人の話である。そういう親が一人でもいると、クラスだけでなく学校中が振り回される。ましてや担任や生徒指導の先生の心労は尋常ではない…。家庭や地域の教育力が細る中で、苦悩を沈ませる現場教師。
むろんこれだけが理由ではない。ただうつ病罹患(りかん)の教師が増加している背景に、これらの重圧が加わっていることは間違いない。2008年度に精神性疾患で休職した公立小中高校の教職員は5400人に上り、過去最多を更新した。前年度より405人増えた。
県内では休職者95人のうち、53%の51人が精神性疾患が原因だ。県教委は「特に増えているわけではないが、教師の気苦労は高まっている」と話す。全国では休職者のうち50代以上と40代のベテランで7割以上。事態の深刻さが分かる。
多忙な学校業務のほか、教員評価制度や免許更新制などの心理的負担も拍車をかける。教師が疲弊する現実で良いことは何もない。むしろ孤立化が教師を精神的に追いつめていく。学校内外で、教師を支える仕組みづくりが急務になった。
精神疾患で休職する先生が増えている。文部科学省の集計では、全国の公立小中高校、特別支援学校などの教員約92万人のうち、08年度で5400人に上り、16年連続の増加で初めて5000人台になった。
文科省は、精神疾患と診断される抵抗感が比較的弱まってきた時代背景もあるとみるが、それにしても、このとどまらぬ増加は深刻だ。
精神的に追い込まれるのは、経験不足で未熟な教員と思われがちだが、そうではない。休職者の世代別割合は全体の年齢構成比率とほぼ一致し、どの世代も増えている。
では、どんな原因や背景があるか。文科省は「教育の内容の変化に対応できない」「教員同士のコミュニケーションが足らず、孤立する」「保護者らの要求が多様になって、応じきれない」ことなどを挙げる。
この20年の間、学校教育は、知育偏重の見直しと学校5日制導入による「ゆとり教育」、かと思えば学力低下論議と「ゆとり」転換と揺れ動き、指導内容も変転した。さらに日本の教員は授業以外にも事務的な作業を多く抱え、同僚と意思疎通を十分にし、相談やアドバイスを受けたりする余裕にも乏しい。
「学級王国」という言葉があるように、小学校は担任教員が子供たちのすべてを指導し、他の教員はあまり口出ししない、あるいはしにくい風土もあった。90年代「学級崩壊」で教員のサポート体制が重視され、一部で複数担任制や少人数指導、教員が連携するチームティーチングなどの試みも行われ始めた。これは学力充実・向上にも効果が期待されるが、教員の雑多な校務負担を軽減しなければ、なかなか難しい。
各種の報告書類づくり、学級便り、記録整理、経費精算などから見回りまで、子供たちを直接教え、指導する以外の校務は重荷で、文科省によると、教員は日に平均2時間程度の残業をしている。報告類などには無駄なものも少なくないという。
中央教育審議会もこの負担減を提起しているが、歩みは遅い。全国の市区町村教育委員会で、校務の大きな負担になっていた学校への調査・照会を見直した所は40%。また、教員のメンタルヘルスのため相談窓口を設けて面接相談している教委も、わずかに36%しかない。
こうした「きつい」イメージもあってか、公立学校教員採用試験の全体倍率は下がり続け、09年度は6.1倍で00年度の半分以下になった。
民主党政権は教員養成改革を掲げている。「養成6年制」化案が焦点になっているが、教育に専念できる職場環境整備が後手に回っては、学生の「教員志望離れ」にも歯止めがきかなくなるおそれがある。
2010年01月08日 朝日新聞大分版
うつ病など精神疾患で休職する教職員が増えている問題に対応しようと、県教委は「学校職員のメンタルヘルス対策検討委員会」を昨年12月に立ち上げた。来年度から新たな対策に取り組む方針で、今月中にも結論を出したい考えだ。
委員は全17人。精神科医のほか、PTA関係者や現場で精神疾患の休職者と向き合った経験のある教頭や教諭も加わった。
県教委は06年度から医師やカウンセラーによるメンタルヘルス相談に取り組むが、新たな対策を打ち出そうと今回、委員会を立ち上げた。精神疾患の要因は、児童生徒や保護者への対応の難しさや、仕事量の増加、職場の人間関係、更年期障害や家庭問題と様々だ。県教委はあらゆる立場の人々に、対応策を多方面から協議してもらう考えだ。
県教委福利課によると、2008年度に休職した小中高校などの教職員のうち、精神疾患による休職者は88人で、全休職者の79%。03年度は50人(全休職者の63%)だったため、5年間で1・76倍に増加している。
1回目の委員会は昨年12月24日に開かれた。県教委側は個人が特定されない程度に過去の事例や、県全体のいじめ件数、不登校の児童生徒数などの情報を提示。問題点などを話し合ってもらった。約2時間の協議で「教員数を増やした方がいい」「教員一人ひとりの力を伸ばすべきだ」などの意見が出たという。
2回目は今月中旬に予定されている。予算措置が必要な対策案が出た場合にも対応するため、今月末までに結論を出すことを目指している。
4日にあった県教委の仕事始め式で、小矢文則教育長は「教職員が健康で、どんどん新しい取り組みができるように、公私にわたって目配りをし、サポートしていくのが管理職の大きな役割」と話し、教職員の精神疾患の早期発見と早期治療、早期対応を求めた。(黒川真里会)
2009年12月26日3時0分 朝日新聞
2008年度に病気のため休職した全国の公立学校の教職員は8578人と前年度より509人増え、過去最多を更新したことが25日、文部科学省の調査でわかった。このうち、うつ病や適応障害といった精神疾患は5400人で、前年度比405人増とこちらも過去最多を更新。病気休職全体の63%を占めた。
精神疾患による休職は、10年前に比べると3.15倍に増えている。各教育委員会の聞き取り調査では「生徒指導の問題や教育内容の変化についていけない」「教員同士のコミュニケーションが少なく相談相手がいない」といった訴えが目立ったという。
文科省は教職員の処分(懲戒、訓告、諭旨免職)の状況も調査。「個人情報の不適切な取り扱い」による処分は277人と前年度から59人増え、調査項目を設定した05年度以降で最多になった。子どもの個人情報が入ったパソコンやUSBメモリーを持ち出して紛失したり、ファイル交換ソフトによって流出したりする事案が多かったという。
セクハラを含めた「わいせつ行為」による処分は176人(前年度比12人増)。被害者は、「自校の児童生徒」が49%、「自校の卒業生」が3%。「自校以外の18歳未満」も15%いた。
処分理由で最も多かったのは交通事故の2502人(前年度比28人増)。体罰は376人(同5人増)だった。
調査対象は全国の教職員91万5945人。(中村真理子)
(コメント)
詳細は、文部科学省の平成20年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況についてをご覧下さい。
12月25日17時50分配信 産経新聞
12月25日19時53分配信 読売新聞
12月25日20時6分配信 毎日新聞
東京教組が“病休指南” 手当減額一覧
産経新聞 2009年12月20日
東京都公立学校教職員組合(東京教組)が発行する機関紙に「かしこく病休をとる方法」と題した病休取得の“指南書”とも取れる内容の特集記事が掲載されていたことが19日、分かった。教員の待遇などで組合側と交渉を行う東京都教育委員会はこれを問題視。「教員の不必要な病休を増長しかねない」として訂正記事の掲載を求めたうえで、同教組との労使協議にしばらく応じない方針を決めた。
東京教組には都の公立小中学校の教員ら約1300人が加盟。問題の特集記事は、同教組が隔週火曜日に発行する機関紙「WEEKLY 東京教組」の12日8日付の紙面に掲載された。
勤勉手当や期末手当などが休日数に応じて何割減額されるかについての一覧表のほか、昇級には「(休日が)48日未満なら影響なし」などと記載。「長期勤続旅行助成」の受給などで組合員が不利にならない病休の“かしこい”取り方についても指南していた。
関係者によると、都教委が同教組に問い合わせたところ、同教組側は「見出しはスポーツ新聞と同じで過激なものになった」などと釈明したという。
都教委幹部は「教員の病休が深刻な問題となっている中、ふざけている。記事は労使間の信頼を揺るがすもので断じて許されない」として厳正に対処する姿勢を示している。
都教委は同教組に対し、年明けの紙面で訂正記事の掲載を求めたうえで、その間、都側との労使協議や共同行事などへ参加を認めない方針。
都教委によると、都の公立学校教員のうち平成20年度の休職者は788人。休職率は19年度で0・72%と全国平均を上回っており、団塊世代の退職とともに都内の教員不足の一因となっている。
休職理由の約7割を占める精神系疾患のため病休中の教員へ支払う給与だけで年間約50億円に上り、全体では70億円を超えるとみられている。
また、文科省が10月に公表した調査では、教員採用試験に合格しながら、1年間の試用期間後に正式採用にならなかった教員は平成20年度は315人。約3割の88人が精神疾患による依頼退職だったことも判明したばかりで、都教委では今後、メンタルヘルスチェックを健康診断に組み込むなど、早期発見・治療が可能なシステム構築に乗り出したばかりだった。
東京教組幹部は産経新聞の取材に対し、「組合員の関心を引くため記事の真意と離れたインパクトのある見出しを付け配慮が足らず反省している。真意は組合員に病休制度を十分に理解させることにあり、病休を勧めるものではない」と話している。
(コメント)
何だか、病休を取るのは怠け者であるかのような論調ですね。
こういう考えだから、うつ状態になっても自覚せず、無理をして働いて、結局、休職、退職につながるケースも出てくるのだと思いますね。
そもそも先生になろうという人は、人の模範にならないといけないと考える人が多く、弱音を吐いたり、休んだりするのが不得意な人が多いです。
「休職理由の約7割を占める精神系疾患のため病休中の教員へ支払う給与だけで年間約50億円に上り」とのことですが、
管理強化をすれば、70億に、100億になっていくこと請け合いです。
鬱病休職の教職員に年間60億円の給与を支給 都教委が対策に本腰
2009.11.6 00:44 産経新聞
東京都の公立学校教職員のうち、精神系疾患で病気休暇を取得したり休職している教職員に支給されている給与が年間で総額約60億円に上ることが5日、都教育委員会の調査で分かった。精神系疾患による休職者は全体の約7割に上り、全国平均を上回るペースで急増している。休職者の約70%が病欠を取得するまで受診していない実態も判明。事態を重視した都教委は今後、全国の教委で初めて、メンタルヘルスチェックを健康診断に組み込むなど、早期発見・治療が可能なシステム構築に乗り出す。
都教委によると、平成20年度の教職員の休職者は788人。うち、精神系疾患で休職した人は68・5%にあたる540人に上った。15年度は60%の259人で、人数も割合も急増している。休職者率も全国平均の0・55%(19年度)を上回る0・94%(20年度)。東京都は小中高に特別支援を含めた全校種で全国平均を大きく上回っている。
文部科学省が4日に公表した調査結果では、教員採用試験に合格しながら、1年間の試用期間後に正式採用とならなかった教員は平成20年度は315人。うち約3割の88人が精神疾患による依頼退職だったことが判明している。
こうした実情を踏まえ、都教委では精神系疾患の休職者の置かれた環境を独自に分析。19年度は特別支援学校における発生率が1・01%と最も高く、男女比では高校の女性教員、小学校の男性教員の休職率が高いことが分かった。年齢別では高校の20代(1・43%)、特別支援学校の40代(1・17%)の休職率が際立った。
休職者の在籍年数では、小中学校で採用3年目までの、特に小学校教員の休職率が高く、在職21年目以降のベテラン教員の休職率も極めて高い傾向にあった。
休職理由としては、自己申告では「不明」が最多。次いで、「児童・生徒」、「保護者」の順だった。「異動」を理由に挙げた事例の多くは「環境不適応」とみられる。
一方、精神系疾患で休職した教職員の約70%は病欠するまで医師の診断を受けていなかった。
都教委では、手遅れ受診の背景に、(1)本人に「鬱病(うつびょう)」の知識(病識)が少ない(2)生活に支障がないと周りも気がつかない(3)内科を受診時に心療内科や精神科を勧められて発見される−ことなどがあるとみている。
教員:試用期間の退職、過去最多の315人 3割は精神疾患−−08年度
毎日新聞 2009年11月5日 東京朝刊
1年の「試用期間」のうちに、教壇を去った公立学校の新人教員が08年度は過去最多の315人(前年度比14人増)に上ったことが、文部科学省の調査で分かった。
うち約3割の88人は精神疾患を理由に退職していた。
文科省は「イメージと現実とのギャップで自信を喪失し、うつ病などになるケースがある」とし、相談相手となるべき先輩教員らの支えや目配りを求めている。
教員は、一般の地方公務員(半年)より長い1年の「条件付き採用期間」を経て正式採用が決まる。
08年度は小中高校、特別支援学校などで2万3920人が採用され、このうち1年後に正式採用に至らなかった315人は1・32%(前年度比0・06ポイント減)を占めた。
10年前(98年度)は0・27%の37人で、8・5倍に達している。
315人のうち依願退職者は304人(前年度比11人増)。
病気が理由だったのは93人で前年度より10人減ったが、5年前の10人、10年前の5人と比べると急増ぶりが際立つ。
文科省が今回初めて精神疾患の人数を調べたところ、「病気」の95%を占めた。
このほか、わいせつ行為や飲酒運転を理由に懲戒免職となったのが5人。
不採用決定を受けたのは4人。
死亡退職は2人だった。
また、自ら望んで降任した教員も過去最多の179人(同73人増)に上った。
主幹教諭からの降任が89人、副校長・教頭からの降任が84人。
望んだ理由は、精神疾患を含む「健康上の問題」が95人と半数を超えた。
教育委員会から「指導力不足」と認定された教員は4年連続で減少し、08年度は306人(同65人減)。
指導力不足と認定され、研修後に復帰し、再度認定された教員8人も含まれる。【加藤隆寛】
先生のストレス限界? 精神疾患で新人88人退職
2009年11月5日 朝刊 中日新聞
試用期間後に正式採用されず辞めた公立学校の新人教員315人のうち、88人はうつなど「精神疾患」による依願退職だったことが4日、2008年度の文部科学省の教員調査で分かった。これまで「病気」に含めていたが、今回初めて調査項目に加え、実数を把握した。文科省の担当者は「先輩教員が新人の相談に応じたり、ケアをしたりする環境づくりを促したい」と話している。
新採用の教員は1年の試用期間後、正式採用となる。08年度に正式採用されなかった新人教員は全採用者2万3920人の1・3%。1999年度は0・5%だった。
正式採用されなかった新人のうち依願退職者は304人で、理由が「病気」だったのは93人。このうち、88人が精神疾患による退職だった。
精神疾患の退職を都道府県別で見ると、東京都が最多の24人で、次いで大阪府と横浜市が各8人、名古屋市の6人で、大都市圏で目立った。中部地方ではほかに愛知(名古屋市以外)が2人、岐阜、三重が各1人。
「病気」は04年度から増加傾向で、同省はストレスによる精神疾患の可能性があるとみて項目に加えた。
調査では、望んで校長や副校長、主幹教諭から一般教員などに降格となる「希望降任制度」を08年度に利用したのは、過去最多の179人(前年度比73人増)に上ることも分かった。
校長らを補佐する主幹教諭が89人と最も多く、副校長・教頭が84人、校長が4人。東京都59人、神奈川県37人の順で多かった。中部地方では、愛知、三重、滋賀で各1人。理由は精神疾患を含む「健康の問題」が95人(53%)で最多だった。
子供とうまく関係が築けないなどとして、教育委員会が「指導力不足」と認定した教員は4年連続で減少し、306人。40〜50代のベテランが245人と80%。全体で78人が現場復帰したが、依願退職などで50人が現場を去った。
採用されない新人教員、過去最多 3割は精神疾患
11月4日21時45分配信 産経新聞
公立校の教員採用試験に合格しながら、1年間の試用期間後に正式採用とならなかった教員は平成20年度は315人で過去最多となり、そのうち約3割の88人は精神疾患による依願退職だったことが4日、文部科学省の調査で分かった。
「自分の指導力に自信を失い、鬱(うつ)につながるケースがある」と文科省。
また、校長や副校長、主幹教諭から一般教員などに自ら希望して降任したのは179人で、これも過去最多となった。
正式採用されなかった人数は昨年度より14人増加。病気による依願退職は全体で93人で、文科省が今回初めて病気の内訳を調べたところ、精神疾患が約95%を占めた。
同省は対応策について、「新人に過重な負担がかからず、指導教員や校長が相談に乗れる環境を各教育委員会が作る必要がある」としている。
希望降任制度の利用者は前年度より73人増。
179人の内訳は、管理職を補佐する主幹教諭89人▽副校長・教頭84人▽校長4人−などで、東京都教委が20年度から主幹教諭にも同制度を適用したことが増加の一因だ。
降任理由は健康問題が53%だったほか、「主幹より教諭として職責を全うしたい」などがあった。
教委から指導力不足と認定された教員は4年連続で減り、306人(前年度比65人減)だった。このうち78人は研修後に現場復帰し、40人は依願退職。
年代別では、40〜50代のベテラン教員が8割を占めた。
指導力不足の具体例では「個々に応じた学習指導ができない。自分本位で行動し、同僚とのトラブルが絶えない」(中学校、40代女性)、「授業を指導書に従って進めるだけで、生徒の学力向上に関心がない。授業以外で生徒に指導することを避ける」(高校、40代男性)などがあった。
湯本雅典さんの「じゃがいもじゅく」。さまざまなジャンルの本のほか、組み立て玩具や科学玩具などを置き、子どもが楽しく学ぶ工夫をこらす=品川区 |
◆塾運営、元小学校教員が出版
品川区戸越5丁目で、勉強が苦手な子どものための塾を運営する湯本雅典さん(54)は3年前まで26年間、小学校の教員をしていた。「もっと子どもと向き合うゆとりがほしい」。学校現場の中と外を経験して感じたことを「学校を辞めます 51歳・ある教員の選択」(合同出版)につづった。
(水野雅恵)
湯本さんは06年3月、公立小学校教員をやめた。99年ごろから、過労と精神的なストレスで不整脈を患ってはいたが、退職を決意するまで体調が悪化したのは04年に起きた出来事がきっかけだった。
赴任先の荒川区が全校で導入した小学校英語についての投書が新聞に掲載された。翌日に校長に呼び出され、「投書で多くの人が迷惑している」と言われた。5日後には異動させる予定だと言い渡された。職場の仲間や保護者の支援もあり、2カ月後に撤回されて1年間は勤めたが、心身ともに限界だった。
学校をやめ、母親が経営していた賃貸マンションを引き継いだが、子どもたちと離れるのはいやだった。退職金をつぎ込んで経営するマンション地下室を改装。「べんきょうがきらいな子、あつまれ! たのしくゆっくりまなべる学習塾」と銘打ち、「じゃがいもじゅく」を始めた。
原則として1対1の個別指導。1回1千円の授業料は光熱費や教材代に消える。現在、小1から高1まで、地元の品川区のほか大田区、荒川区などから計16人が通う。半数はダウン症や自閉症といった障害があり、放課後を過ごす場所がない。
漢字や九九。分度器やコンパスの使い方……。じゅくの子どもたちが「教えてほしい」と言うのはほとんど基礎的な事柄だ。「学校で漢字を習う時間がない」と話す小学生や、本来、中1で習う「正負の数」を6年生に前倒しするなど独自のカリキュラムにつまずき、自信をなくした中学生もいる。
ゆっくり学ぶじゅくで、ゆっくり確実に力をつけた子どもたちは、小学校を卒業してからも通ってくる。湯本さんは「地道な基礎練習や反復学習に割く時間の余裕が、学校からなくなっているのではないか」と心配する。
学校選択制や小学校英語など新しい方針が打ち出されるたびに外部向けの会議や資料づくりに追われ、子どもを指導する時間が減るジレンマ。著書では、湯本さんの経験と、じゅくの子どもたちや保護者を通して感じた「教育改革の影」を指摘する。
湯本さんは「言いたいことも言えずにいる現場の先生、改革の流れについていけない子どもたちや保護者の声を発信したい」と話している。
「学校を辞めます」は税込み1260円。湯本さん制作の同名の映像ドキュメンタリー作品(16分)は、07年の東京ビデオフェスティバルで優秀作品賞を受賞した。本の問い合わせは合同出版(03・3294・3506)か、湯本さんへメール(yumo@estate.ocn.ne.jp)で。
(コメント)
湯本さんのことは、以前にご紹介したと思います。
ビデオ「学校を辞めます」は、ネットでも見ることが出来ます。
一部。
二部。
2008年12月26日
( 2008年12月26日 毎日新聞 埼玉県地方版 )
教職員の精神疾患 過去最高文部科学省の調査で精神疾患で休職した公立学校の教職員が過去最高の4,995人に上ることが判明。埼玉県内でも休職する教員数が07年度で過去最高の219人に達し、5年連続で増加しています。
島村和男県教育長は「教員の多忙が原因の一つ」との見解を示し、県教育局に多忙解消にむけ検討委員会を設置。県教職員組合も「一刻も早く抜本的な解決策を」と危機感を募らせています。
県教育局福利課によると、うつ病などの精神疾患で休職した教員数は02年度から増え続け、07年度は02年度の約1.36倍に上ります。また、同課などが県内7カ所の病院で実施している無料の教職員メンタルヘルス相談件数も増加し、07年度は164件。今年度は10月末で124件の相談が寄せられ、07年度を上回る見込みです。
県教育局が07年に県内の小中高校教員に実施した調査を、文科省の06年度の全国調査と比較すると、▽以前より忙しくなった69%▽休憩を取りづらい49.7%▽生徒や保護者とのやりとりで気疲れすることが多い31.8%・・・と、勤務に負担を感じる教員の割合がいずれの項目も全国平均を10ポイント以上上回わりました。県教育局県立学校人事課は「対応の難しい生徒や保護者が増えたうえ、会議などに時間を取られ、ストレスになっているのでは」と分析しています。
(コメント)
本来教育という事業は、効率が悪く、手間のかかるものだと思います。
学校(school)の語源であるラテン語のschola(スコラ)やギリシャ語のσχολη(スコレー)は余暇の意として用いられたのも頷けます。
学校というものの本質は、まあレジャーセンターみたいなものなんでしょうね。
その暇なはずの学校がどんどん忙しくなるようでは、先生が病気になるのも当然でしょう。
このごろは大学までが忙しくなっているようですが、長期的に見ると、知的能力の低下を促すのではないでしょうか。