ハルマゲドン   

                            きもとけいし


 空が紅く染まっていた。
都市は崩壊し紅蓮の炎に包まれていた。
人々は既に炭と見わけがつかない。
都市は地獄と化していた。
最高水準の科学で建造された都市。
人は溢れ物は溢れていたこの都市。
人々はなに不自由ない生活を甘受していた。
それが一瞬で破壊された。
あっと言う間だった。
核兵器ではない。
それは国家間の戦争ではなかった。
炎の中に立ちはだかる巨大な影。
巨人。
翼の這えた巨人の影。
見回している。
破壊され瓦礫の山となった都市を。
巨人の顔は無表情だった。
双眸は遠くを見ていた。
天空を。
天蓋を。
巨人は拳を握った。
神よ、神よ。
万物の創造主よ。
降りてこい。
俺はここだ、ここにいるぞ。
この惑星のすべてを破壊し尽くした。
もうなにも形をとどめている物は無い。
神よ、降りてこい。
私と戦え、戦え。
おまえの従者ミカエルは既に破れた。
神よ、あとはあなただけだ。
過去に私はあなたに屈辱を受けさせられた。
今度は神よ、あなたの番だ。
私は負けない。
今度は負けない。
巨人の周りの空間がとてつもないエネルギーで揺らいでいた。
巨人は叫んだ。
叫んだ。
叫んだ。
叫んだ。
今度は負けない
今度は・負・け・な・い・


           終わり



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