化け猫マリちゃん

                  きもとけいし

あたいにの名前はマリちゃん。
きもと家に飼われてはや十四、五年。
人間たちは知らないけれども、あたいは化け猫なんだ。
猫仲間のあいだではあたいは「化け猫の姉御」なんて呼ばれている。
でも、あたいは「化け猫マリちゃん」って呼ばれたほうがいいにゃ。
 昔から飼い猫は十年以上生きると化け猫と言う妖怪に変化すると言う。 あたいの十四、五年生きている。
人間の年齢にすれば百二十才以上。
もともと人間の言葉は理解していたのよ。
人間たちよ、これは覚えておいた方がいいな。
猫と言う動物は人語を理解すると言うことを。
そして十年以上年を経た飼い猫は化け猫に妖怪変化すると言うことを。 化け猫と言うからには、それなりにあたいには魔力が備わっているのだなにゃ。
妖力、念動力。
妖力、空中浮揚。
妖力、変身能力。
妖力、テレパシー。
妖力、瞬間移動、etc、etc、・・・。
あたいにはこの他にも、もっと特殊な能力が備わっている。
人間たちはそんなあたいの正体を知らない。
きもと家の人間はいい気なもんだにゃ。
はっきり言って馬鹿ばっかりだ。
ちょっとばかし、あたいがかわいい仕種をすると、それはもうイチコロよ。
とくに息子のケイシは馬鹿の活け作りだにゃ。
甘えればなんぼでも缶詰をくれる。
かわいい仕種をすると相好を崩す。
ありゃあ、馬鹿だにゃ。
将来、ロクなものにならないにゃ。
あたいはこれからも生き続ける
百年、二百年、三百年、・・・・、。
妖怪変化だから永久に生きることが出来るのだにゃ。
そして人間のこれからの社会を見ていこう。
そして人間のこれからの盛衰を見ていこう。
ああ、腹が減った。
ケイシに甘えて、美味しい缶詰をもらおう。
でも、あたい、最近、太ってきたから、食べすぎに気をつけなきゃにゃ。 それでは、人間たち、またねっ!、アディユー。

         おわり


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