R1150GSの充電
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R1150GS車載バッテリの充電についていろいろと考えます。
R1150GSに密閉式バッテリを搭載すると過充電になって不具合が起きる可能性はあるのか?etc

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車載蓄電池の充電はオルタネータとレギュレーターによって行われます。
この表は過充電や充電不足を避けるための適正なレギュレーター電圧の範囲を示してます。
(表は日本電池の資料を書き写し着色したものです。)
資料には自動車では通常レギュレーター電圧は14.5Vに設定されていると書かれていました。
(車載バッテリの充電の実体は電流を制限した定電圧充電と解釈できます)

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充電の基本

充電とは電池に電流を流し込むことで、水と同じよう流し込む側の圧力(充電電圧)が流し込まれる側の圧力(蓄電池の端子電圧)より必ず高くなければ流れ込んで行きません。

充電電圧と端子電圧の差が大きいほど充電電流は大きくなり、電流が大きいほど、満充電までの時間は短くて済みます。(原理的に)
しかし現実的にはいくら短時間で充電したいからといっても無闇に充電電流を大きくすることはできません。
最大電流は充電器&蓄電池の能力/特性により制限されてしまいます。

 充放電には「C」とゆう時間率を表す数値がよく使われます。
 この「C」は「充放電係数」と呼ばれてます。
 蓄電池を1時間で放電あるいは充電させる電流が1Cのアンペアです。
 容量19Ahの電池を例に出すと19アンペアで放電させた場合1Cで放電させたとゆうことになります。
 放電を充電に置き換えても意味は同じです。
 19Ahの電池に1.9A流して充電すればそれは0.1Cの充電となります。

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走行中どの程度の充電電流を送っているのか

BMW純正バッテリーの推奨充電電流はわからなかったのでユアサとパナソニックで調べてみました。

ユアサ/YUMICRONシリーズ(開放型バッテリ)の通常充電電流は0.1Cと記載されていました。
 他のバッテリもほとんど0.1Cのようです。
 なおMFバッテリ(GRT)の小容量モデルに0.1Cを若干上回るのもありました


パナソニックの密閉型バッテリLC-X1220PPDF直を見ると以下のようになってました。

LC-X1220P(20Ah) 充電電流 C Anakinの注釈
サイクル充電モード 8A以下 0.4C以下
空に近い状態からの充電時開始初期の短時間のみ
8Aの大電流を流すことを容認します
トリクル充電モード 最大3A 0.15C以下 通常充電はこちらで希望

ユアサのYUMICRONシリーズは二輪用としてごく一般的に用いられているバッテリです。
その多くが通常充電は0.1Cでとなっていることから一般の二輪の充電電流制御も0.1C程度でないかと考えるのが自然と思いました。

パナソニック製の小型シール蓄電池「LC-X1220P」は物理的にR1150GSに搭載可能なバッテリの一つで、もともと電動車椅子(サイクル充電)小型無停電装置=パソコンの停電対策用途(トリクル充電モード)として商品化されたもののようです。
松下よりの非公式コメントでは「二輪での使用で問題が出るとは(振動も含んで)考えられないが松下で実際にR1150GSに搭載してテストして確認したわけではないのでそういった使用条件での保証は勘弁してください、といっても もちろん初期不良なら受け付けますよ。」とのことでした。

一般の自動車/二輪用の相場(?)から想像するにR1150GSも0.1C程度でないかと思います。

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実際の充電ではどれだけの電流が流れてしまうものなのか

充電電圧はバッテリ端子電圧より高くないと充電できません。
定電圧充電の場合、充電が進むことで充電電圧とバッテリ端子電圧の差が小さくなり流れる電流は自然と小さくなってゆきます。
バッテリが満充電になった時の電圧(注意!.この電圧は温度により変化する)と充電器に設定されている電圧が同じの場合、計算上は無限の時間をかけても満充電にはならないことになります。
そのため一般的に定電圧系充電器では14.数ボルトに設定されてることが多いです。

参考:(CLUB"BMW"の過去記事では)BMW純正19Ahバッテリの満充電時の電圧は13.8ボルト前後とされているようです。
なお私の手元のバッテリ実測値でも上記の電圧とほぼ同じでした。
定電圧充電の場合、電圧に大きな差があると大電流が流れてしまいます。
バッテリが空に近い状態からの充電開始時に一番過電流の危険性があります。
といってもマトモな充電器なら最大電流を制限するごつい抵抗が入っているので心配無用です。

一般に鉛蓄電池の終止電圧は1セルあたり1.75Vとされ12Vバッテリでは1.75V*6セル=10.5Vとなります。
いわゆる完全カラ欠状態です。この状態でエンジンを始動することは確実に不可です。
またこの状態から充電するとなると抵抗等で電流制限をしないかぎり充電開始初期にかなりの大電流が流れることになります。

私の調べた範囲では充電開始後、容量が70%を越えた時点でたとえ抵抗がなくても0.1C以下しか流れなくなるようだとわかりました。(この件は継続調査中です)

 端子間電圧と充電量の関係(米ユアサのページより抜粋)
 充電量(%)
@ GRT(密閉型)
@ YuMicron(開放型)
100% 13.0v 12.7v
75% 12.8v 12.5v
50%

12.5v

12.2v
25% 12.2v 12.0v
0% 12.0v以下 11.9v以下
Anakin補足1 上記表内の端子間電圧はバッテリが落ち着いている時の電圧と思われます。
充電中の端子間電圧は落ち着いてる時と比べ高い目に出ますので、
充電途中に測定した電圧を表の電圧と重ねて充電状態を判断することはできないと思います。
Anakin補足2 残量0%時の電圧が高い目に見えるのは
鉛蓄電池は完全放電にして放置すると寿命に著しく影響するため
実際の使用条件下での実用終止電圧として上記数値を表示しているからだと思います。

R259のエンジンを正常(ABSエラー等を出さずに)に始動可能な状態のバッテリなら
それなりの電気を蓄えている事になるので端子間電圧もそれほど低くはなってないはずです。
電圧差が無いとバッテリに電流は入っていけないので
元気よくエンジンを始動できるバッテリ(=充分な電気を蓄えている)を痛めてしまう程の過大な電流が
その後の走行中に流れてしまうとゆうことは現実的に考えにくいです。

結局 補充電はマメにして深い放電状態でバッテリを放置しないのが長寿の秘訣!ってことになるのか。
(バッテリの理想は常に満充電状態なので)

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充電完了時の気泡(ガッシング)

バッテリ充電中、端子電圧は充電が進むにつれ 緩やかに上昇してゆきます。
充電末期に電圧は急上昇し(この急変を感知して充電制御する高級な充電器もあります)
一般的な鉛蓄電池では充電完了直後の電圧は1素子当たり2.4ボルトを超えます。
公称12Vバッテリでは2.4ボルト×6素子=14.4ボルトとなります。
BMW純正バッテリ(19Ah)では充電完了時の電圧は約13.8ボルトとされていますので
1素子あたり2.3ボルトとゆうことになります。

満充電直後のバッテリは触るとそれなりに暖かく 温度が下がるにつれゆっくりと電圧は下がって行きます。
BMW純正バッテリ(19Ah)でしたら 電圧は最終的に12.7〜9ボルト位に落ちつくとおもいます。

充電中バッテリ液からはわずかな気泡がでています。
泡のはじける音に耳をすますと最初は無音でやがて「ポコポコ」と音がしだし
最終的に「シャー/サァー」といったきめ細かな連続音となると思います。
満充電まぎわにはかなり細かな泡が景気よくでます。(ガッシング)
気泡の正体は水が電気分解され発生したガス(水素と酸素)で
泡が出ているときバッテリ液(の水分)はそれだけ減ってるといえます。
毎回しっかり満充電まで充電すると若干ですがそのぶん液が早く減ることになります。

充放電にともないバッテリ内の電解液の比重は変化します。
上部と下部とでは電解液比重の変化の仕方は異なります。
充電終期に発生する気泡(ガッシング)により電解液はかき混ぜられ比重は平均化されます。
充電の仕方によっては有効なガッシングが起きないため電解液比重分布に差がでたままになります。
電解液の比重の不均一が起きると電池寿命etcに悪影響が出るらしく、電力貯蔵用の巨大バッテリ(数百Kg級)では液内に空気を送ってぽこぽこさせる仕掛け(電解液撹拌装置)を使って性能向上を果たしているそうです。

なお自動車では走行中の加/減速で液は揺さぶられ攪拌されることになりますので気にすることはないです。

追記  新品の時の気泡の出具合はかなり少ない目です。
 使用時間が経過するにつれ気泡は出やすくないます。
 上記は使用開始後1〜2年程度のバッテリの状態をあらわしています。

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補水は蒸留水で (2001.1/22追加)

バッテリ液の中に「鉄」「ニッケル」などがわずかでも混ざると 電気分解(泡ぽこぽこ)の始まる電圧が下がります。
そのため充分な充電ができなくなり、結果水の減りも激しくなり、寿命にも影響します。

水道水には鉄分(ミネラル類)がそれなりに含まれていますので緊急時以外はやめといた方が吉と思います。
妄想:緊急時の選択、外国産高級ミネラルウオーター(たいてい硬水)よりはミネラル分の少ない水道水(日本では軟水である場合が多い)のほうがマシってことか。。。

 バッテリによって異なる減液特性

バッテリの極板に用いられる素材により各種特性は変化します。
以下の表は極板素材の違いによる減液特性を表したものです。

蓄電池の種類
格子合金
電解液
補水(減液特性)
(使用環境により異なる)


正極板


負極板

開放型
標準蓄電池
アンチモン
アンチモン

液式(流動性あり)

3〜6ヶ月に一回
ハイブリッド蓄電池
アンチモン
カルシウム
液式(流動性あり)
液の減りは標準蓄電池の1/2
(6〜12ヶ月に一回)
カルシウム蓄電池
カルシウム
カルシウム
液式(流動性あり)

液の減りは標準蓄電池の1/5
(15〜30ヶ月に一回 または不要)

密閉型
シール蓄電池
カルシウム
カルシウム
リテイナマット(保液体)に
電解液を含ませ保持させる
(流動性なし)
不要
日本電池の資料より作成

カルシウム蓄電池は標準蓄電池と比べると「高温度&深い充放電」に弱く、充電特性にもデリケートな部分があります。
メンテナンスフリー化の流れは大きいようで、カルシウム蓄電池&シール蓄電池が主流になってゆきそうな感じです。

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1999.5/6の日記より『R1100GS(98年型』

電源ソケット経由で電圧を測定しました。
ディーラでの定期点検直後なのでバッテリーの状態は液量、充電状態とも適正/良好のはずです。
(電圧はバッテリの状態により変化するので参考です)

バイクの状態

電圧(ボルト)

エンジンOFF、キーOFF

12.9

エンジンOFF、キーON(ライト点灯)

12.2

アイドリング(1000rpm少々)

13.70〜13.75(ややふらつく)

1500rpm

13.75(安定)

2000rpm

13.75(安定)

2500rpm

13.75(安定)

3000rpm(それ以上のrpmは省略)

13.75(安定)

その後エンジン停止すると

13.6 から13.0 までゆっくりと電圧降下

ハザードやグリップヒーターをONにするとアイドリング回転数が若干下がり合わせて電圧も少し下がった。
思ったより低い回転数(1500rpm)から電圧が安定するようだ。

1999.11/4のメンテメモより『R1150GS(99年型』

バイクの状態

電圧(ボルト)

エンジンOFF、キーOFF

12.8

エンジンOFF、キーON(ハロゲンライト点灯)

12.2

アイドリング(約1100rpm)

13.8〜13.9(ややふらつく)

1500rpm

14.0(安定)

2000rpm

14.0(安定)

2500rpm

14.0(安定)

3000rpm(それ以上のrpmは省略)

14.0(安定)

アイドル状態でグリップヒータやハザードをONにすると電圧は若干下がるが
1500rpmも回っていればその程度の電力消費は電圧に反映されなくなるようだ。

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日本仕様のR1150GS(99)には19Ahバッテリが標準装備されています。
他の多くの国では14Ahを標準装備とし19Ahはオプション選択となっているようです。

 
バッテリ容量
 発電出力
制御電圧
ドイツ/北米
14Ah
 600W(未確認)
不明
日本仕様
19Ah
 700W 
14V

R1150GS(99)では14ボルトに制御しているようです。これは日本仕様だけかもです。
一回当たりの連続走行距離の短い目の使用環境でもしっかり充電できるようにとの配慮かもです。
(妄想比率極めて大)
ドイツ/北米仕様のR1150GSの制御電圧を私は知りません。 どうなっているのか興味大です。

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