限定解除の話


【マスコミの報道することを信じるなら】

受験を控える子供達の心は穏やかならざる状態になっているのだそうです。
たとえば、同じ学校へ進学希望している級友が病気で倒れるたりすると
級友の体の心配よりも「ライバルが減ってラッキー」と考えるのだそうです。
確かに、入学人数が限られていて成績順で入学が決定されるのですから、
その心情も判らなくはありません。
自分が努力して勉強した結果が必ずしも報われるとは限りませんし...。

【限定解除の話】

数年前に自動二輪免許の中型限定を解除するべく運転免許試験場に通いました。
合格率は決して高くありませんが、合格者の枠があるわけでなく、
受験者の成績が全員合格の水準に達しているならば、全員合格となります。
実技試験は密室で行われるわけでなく誰もが試験走行を見ることができます。
合否基準は明確です。
どこでミスをして不合格になったかも試験走行を見ていればわかります。

受験者の中には試験当日はじめて顔を合わせた人も多くいます。
年齢、性別、職業、考え方等の異なった様々な人の集まりです。
皆互いに違っても、そこには同じ難関の突破を目指す仲間としての強い連帯感が感じられます。

コース攻略のための実戦的な情報交換は密におこなわれます。
私も当日はじめて出会った受験者数人とコースの下見にいきました。
コースを上で「ここで後方確認して...」とか「ここからの加速はアクセルを大きく開けて元気良く...」と
声をだして確認しながらイメージトレーニングを兼ねて歩きます。
試験中にも免許の書き換えで試験場を訪れたらしい人が、
受験者にコース攻略のポイントをひとつふたつ教えて去っていきます。
試験後不合格を言い渡された仲間は、不合格の理由を皆に伝えます。
合格者は皆に心からの祝福を受けます。
誰かが合格したとしても、自分の合格確率が下がるわけではありません。
合格するためには、自分自身が合格基準を満たした走行をすれば良いだけです。
私はこの場の雰囲気が大好きです。
互いに引き上げ合う形の試験のあり方に私はなにかホッとするものを感じます。
入学試験とは仕組みが違いますので、単純に比べられる問題ではないかもしれません...。

人との間にこの様な関係を構築できる具体的な例であり
このような世界〔可能性〕があることを知ることのできた体験でした。


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