CISCO 1003 立ち上げ体験談


会社で電子メールによる社内連絡網の構築を目的に
京都の本社と大阪支店との間をLANで結ぶ事となりました。
ISDN回線の64Kbpsを使うことがもっとも経済的に運用できる
と考えられるとの結論に達し
公衆のISDN回線で結ぶこととなりました。

LANを結ぶためにには、ルータと呼ばれる装置が必要であり、
CISCの1003を2台購入する事としました。

  1. 箱を開けてみる

    しばらくしてCISCO1003が入荷しました。箱を開けてみると、CD−ROMとマニュアルが入っていました。

    CD−ROMとマニュアルは英語でした。英語が苦手な私としましては最悪です。但し、取り扱いマニュアルは日本語訳したのが入っていて助かりました。

    ルータ本体と、電源アダプター、RS-232CのコネクターをRJ−45のコネクターに変換する

    アダプター、8芯のケーブル、及び、メモリーカードが一組ずつ入っていました。



  2. 早速作業開始

    まず、本体の裏面の蓋を開けPCMCIAスロットルにメモリーカードを差し込みます。

    マニュアルによるとターミナルソフトでルータにデータ設定をおこないます。

    パソコンのシリアルポートにモデムで使うケーブルと同じRS−232Cケーブルをつないでそこに添付品のRS-232CのコネクターをRJ−45のコネクターに変換するアダプターをつなぎます。さらにそのコネクターのRJ−45の口に添付の8芯のケーブルをつなぎ、それをルータ本体のコンソールの口につなぎます。


  3. ターミナル端末の設定

    パソコンのPC9821BeでWINDOWS 3.1をターミナルとして使うこととした。

    「アクセサリ」内の「ターミナル」を立ち上げ、「設定」の「通信条件」を開いて設定します。

    通信速度9600、データ長 8、パリティ なし、フロー制御 なし、 シリアルポート COM1、に設定して[ok]をクリックする。

    次に、「設定」「端末の設定」を開いて、端末を設定する。

    「端末モード」のローカルエコーをなし(×マークがついていない)、および、「CRをCR+LFへ変換」が選ばれていない事を確認して、次に「端末エミレーション」で「ダム端末」を選んで設定を終了する。

    ちなみに、この設定内容を「ファイル」の「名前をつけて保存」で保存しておくと後で便利せす。

  4. そうだ!ISDN回線が1本しかなかった!

    ルータ用の回線で、ISDN回線を、本社・大阪で、各一本しか引いていない

    と言うことに気がつきました。ルータの試験を行うのに、2本ISDN回線がないと、わざわざ本社と大阪で人の手配を行って対向で試験するしかないぞ。と思っていたら、 なんと、ISDN回線は、一本で同時に2通話行うことができ、ISDN回線のS点でブランチ(並列)接続して回線をとりだせば、同時に2台のルータが使える事がわかりました。

    ふー、これで一安心。

  5. おっと、マニュアルが役にたたない

    マニュアルは日本語訳のものが入っていますが、海外での設定を前提に書かれたものをそのまま訳しただけなので、日本のNTTではどのように設定するのかが不明でほとんど役に立ちませんでした。しかも、ルータのソフトウェアのバージョンが変わったらしく、実際の実行内容とマニュアルの記載内容が違い本当に役に立たなかった。

    よく箱の中の書類を確認するとマニュアルの変更差分が、薄ぺらい紙で入っていましたがそれは、英語のままでした。

    こんな事では、ルータの立ち上げが出来ないので困ったと思い思案しているとインターネットのシスコのホームページで何か参考になる記事がないか探して見ようと思い立ち、すぐにインターネットにアクセスして見てみると、幸いな事にルータ1003の設定記事が載っていました。

    http://www.cisco.co.jp/SEARCH_GENERAL/doc/1003primer/readmefirst.htmlCisco1003手引書

    すぐに、1003に関する記事を全て印刷する事にします。全部で数十ページになり、時間にして10分前後掛かりました。ちなみに、プリンターは、ネットワークプリンターなので、印刷内容は全てサーバに蓄えられるので、紙の形で印刷出来たのは、それから30分はど掛かりました。

    記事は、なかなかよく出来ていてマニュアルで不明だったコマンドパラメータの意味も説明されていて親切です。 Hhttp://www.cisco.co.jp/SEARCH_GENERAL/doc/1003primer/1003-e.html

    しかも、ISDN回線のLAN間接続のデータ設定例も記載されておりこれを参考にデータを設定する事としました。 http://www.cisco.co.jp/SEARCH_GENERAL/doc/1003primer/1003-3.html#SEC33

    まず、当社では、IPアドレスは、プライベートアドレスの192.168.0.0のクラスCを使う事とします。

  6. まずネットワーク構成をきめるぞ、と

    まず、ネットワークアドレスの構成を決めます。最低でも、3つのネットワークアドレスに分ける必要があります。

    (A)ローカル側のネットワークアドレス         (例 / 192.168.0.192)

    (B)リモート側のネットワークアドレス(対向側)    (例 / 192.168.0.64)

    (C)ルーター間のネットワークアドレス         (例 / 192.168.0.128)

    (D)ローカル側のルータ名とルータのIPアドレス  (例 / 192.168.0.193)

    (E)ローカル側ルータのWAN接続口のIPアドレス (例 / 192.168.0.190)

    (F)リモート側のルータ名とルータのIPアドレス    (例 / 192.168.0.126)

    (G)リモート側ルータのWAN接続口のIPアドレス (例 / 192.168.0.189)

  7. いよいよ電源を入れてデータ入力

    ルータ本体には電源スイッチはなく、電源プラグを差すと直ぐに動き始めます。ルータ全面のグリンのランプが点滅してハード試験が始まります。このとき、パソコンのターミナルソフトが動いていなかったので急いでターミナルソフトを動かしました。 

    「アクセサリ」内の「ターミナル」をクリック、ターミナル画面が出ると、「ファイル」の「開く」

    を選んでクリック、前もってセーブしておいた、ターミナル設定ファイルを選んでクリック。

    しばらくするとターミナル画面に、ルータからのメッセージが出力され始めました。

    しばらく画面上にルータの診断結果が表示され終わると、インストールの開始の実行を聞いてきます。

    インストールは、問い合わせ方式で設定データを入力する方法と、コマンドによる入力の方法があり、インターネット上では、コマンドによる入力方法が紹介されている(3.3 Cisco1003を使ってISDNによるLAN間接続を行う 参照)ので、同じ方法でインストールを行うことにしました。

    最初の問い合わせで  no  と入力しコマンド入力モードでデータを入力します。

    Would you like to tenter the initial configuration dialog? [yes]: のコメントで

    no  と入力してコマンド入力モードを選びます。

    ルータのコマンドモードには、「ユーザEXEC」モードと「特権EXEC」モードがあります。

    特権EXECモードには、パスワードが必要です。

    ここでは、「ユーザEXEC」モードにはいります。

    Router> と表示されたら

    enable と入力して「特権EXEC」モードにはいります。

    購入して直ぐの場合、このパスワードは、まだ登録されていないので、いきなり特権EXECモードに入る事となります。

    「特権EXEC」モードに入ると

    Router# が表示されます。ここで、

    configure  と入力します。

    後は、インターネット上のサンプルを元にデータを設定していきます。

    しばらくすると

    Configuring from terminal,memory,or network[terminal]? と入力について聞いてきます。

    ここでは、RETURN(または、ENTER)を入力します。

    この後、ルータの機能データを設定して行きます。

    実際のルータ#1の設定例はことら

    実際のルータ#2の設定例はことら

    ここで特に注意する事は、

    1. ルータのEthernet側とISDN側でネットワークアドレスを分ける。
    2. 対向のルータのISDN側のネットワークアドレスは、同じネットワークアドレスのグループとする。
    3. CHAPで使用するパスワード(コマンド:username)を両方のルータで同じパスワードを設定する。

      username 相手のrouter passwordパスワード

    4. 相手側ネットワークへのルーティング設定では、相手ISDN側のIPアドレスを指定する。

      ip route 相手ネットワークアドレス サブネットマスク 相手ISDN ip アドレス

    以上の4点です。

    データの設定が終わったら、

    exitで「特権EXEC」モードを終了します。

    必ず、フラシュメモリに入力した内容をセーブさせます。

    EXECコマンドで

    write mem と入力します。

    入力内容の確認は、

    write term

    と入力すると設定データ内容の一覧が表示されます。

    コマンドの入力ミスについては、修正出来るものもあります。同じコマンドを入力しても上書きされないので、入力内容をいったん削除してから入れ直す事となります。

    なを、入力内容をすべて削除するには、EXECコマンドで

    write erase

    とします。


  8. 動作確認を行おう

    データの入力作業が終わったら、いよいよ動作確認です。片側のルータには、サーバが収容されているHUBから、10BASE-Tケーブルを延ばして、Ethernetの口に接続しました。もう片側のルータには、新たにHUBを用意してルータとクライアントパソコンを接続します。

    この状態で、クライアント側パソコン(リモート側パソコン)から、tcp/ipのアプリケーションの

    pingコマンドを使って信号の折り返し試験を行います。

    ping サーバのipアドレス

    これで、ルータから自動的にダイヤルをかけて相手のルータにつながります。ダイヤルの発信元のルータは、ISDNのランプが、橙色に発行します。受信側のルータは、緑色に発行します。

    この間、約3秒でした。この間の ping信号は、time outになってしまいますが、再度、ping を発行すると、きちんと応答が返ってくればOKです。



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    Router1の設定例



    % Unknown command or computer name, or unable to find computer address

    Router>enable [R]

    Router#configure R]

    Configuring from terminal, memory, or network [terminal]? [R]

    Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.

    Router(config)#hostname router1 [R]

    router1(config)#enable password XXXXX [R]

    router1(config)#interface ethernet 0 [R]

    router1(config-if)#ip address 192.168.0.193 255.255.255.192 [R]

    router1(config-if)#no shutdown [R]

    router1(config-if)#exit [R]

    %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface Ethernet0, changed state to up

    %LINK-3-UPDOWN: Interface Ethernet0, changed state to up

    router1(config)#isdn switch-type ntt [R]

    router1(config)#interface bri 0 [R]

    router1(config-if)#ip address 192.168.0.190 255.255.255.192 [R]

    router1(config-if)#no shutdown [R]

    router1(config-if)#encapsulation ppp [R]

    %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0: B-Channel 1, changed state to down

    %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0: B-Channel 2, changed state to down

    %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0, changed state to up

    router1(config-if)#ppp authentication chap [R]

    router1(config-if)#dialer map ip 192.168.0.189 name router2 0756721000 [R]

    router1(config-if)#dialer-group 1 [R]

    router1(config-if)#exit [R]

    router1(config)#dialer-list 1 protocol ip permit [R]

    router1(config)#username router2 password PPPPP [R]

    router1(config)#router rip [R]

    router1(config-router)#network 192.168.0.0 [R]

    router1(config-router)#redistribute static [R]

    router1(config-router)#exit [R]

    router1(config)#ip route 192.168.0.64 255.255.255.192 192.168.0.189 [R]

    router1(config)#^Z

    router1#

    %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console write term [R]

    Building configuration...

    Current configuration:

    !

    version 11.0

    no service pad

    service udp-small-servers

    service tcp-small-servers

    !

    hostname router1

    !

    enable password XXXXX

    !

    username router2 password 7 025F5D0252

    isdn switch-type ntt

    !

    interface Ethernet0

    ip address 192.168.0.193 255.255.255.192

    !

    interface BRI0

    ip address 192.168.0.190 255.255.255.192

    encapsulation ppp

    dialer map ip 192.168.0.189 name router2 0756721000

    dialer-group 1

    ppp authentication chap

    !

    router rip

    redistribute static

    network 192.168.0.0

    !

    ip route 192.168.0.64 255.255.255.192 192.168.0.189

    dialer-list 1 protocol ip permit

    !

    line con 0

    line vty 0 4

    login

    !

    end

    router1#

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    Router2の設定例

    Router>enable [R]

    Router#configure [R]

    Configuring from terminal, memory, or network [terminal]? [R]

    Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.

    Router(config)#hostname router2 [R]

    router2(config)#enable password XXXXX [R]

    router2(config)#interface ethernet 0 [R]

    router2(config-if)#ip address 192.168.0.126 255.255.255.192 [R]

    router2(config-if)#no shutdown [R]

    router2(config-if)#exit [R]

    %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface Ethernet0, changed state to up

    %LINK-3-UPDOWN: Interface Ethernet0, changed state to up

    router2(config)#isdn switch-type ntt [R]

    router2(config)#interface bri 0 [R]

    router2(config-if)#ip address 192.168.0.189 255.255.255.192 [R]

    router2(config-if)#no shutdown [R]

    router2(config-if)#encapsulation ppp [R]

    %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0: B-Channel 1, changed state to down

    %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0: B-Channel 2, changed state to down

    %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0, changed state to up

    router2(config-if)#ppp authentication chap [R]

    router2(config-if)#dialer map ip 192.168.0.190 name router1 0756720000 [R]

    router2(config-if)#dialer-group 1 [R]

    router2(config-if)#exit [R]

    router2(config)#dialer-list 1 protocol ip permit [R]

    router2(config)#username router1 password PPPPP [R]

    router2(config)#router rip [R]

    router2(config-router)#network 192.168.0.0 [R]

    router2(config-router)#redistribute static [R]

    router2(config-router)#exit [R]

    router2(config)#ip route 192.168.0.192 255.255.255.192 192.168.0.190 [R]

    router2(config)#^Z

    router2#

    %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console write term [R]

    Building configuration...

    Current configuration:

    !

    version 11.0

    no service pad

    service udp-small-servers

    service tcp-small-servers

    !

    hostname router2

    !

    enable password XXXXX

    !

    username router1 password 7 154B52555D

    isdn switch-type ntt

    !

    interface Ethernet0

    ip address 192.168.0.126 255.255.255.192

    !

    interface BRI0

    ip address 192.168.0.189 255.255.255.192

    encapsulation ppp

    dialer map ip 192.168.0.190 name router1 0756720000

    dialer-group 1

    ppp authentication chap

    !

    router rip

    redistribute static

    network 192.168.0.0

    !

    ip route 192.168.0.192 255.255.255.192 192.168.0.190

    dialer-list 1 protocol ip permit

    !

    line con 0

    line vty 0 4

    login

    !

    end

    router2#

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