To dear 太一

-後編-

 

 愛さんはゆっくりと息をしていた。

 引き締まった腹筋がゆっくりと動くので、それが分かる。

「太一。アレの出番だよ〜v出して」

 あ…アレ…。

 言われて俺は手の中に握り込んでいたものの存在を思い出し、春也さんの方へ差し出した。

 愛さんが、何事か、とこちらを向く。

 その目がチューブを捉えた途端、顔が引き攣った。

「よ…よせ…」

「だーめ。はい、太一。指の先にコレ付けて」

 春也さんがチューブを絞り、少し出てきたゲル状のものを俺に向けた。

 触っても大丈夫なんだろうか…?

 俺の躊躇を読み取った春也さんがニッコリと笑う。

「大丈夫。あそこは敏感だから、すっごくよく効くけど、手だったら少しジーンとくるくらいだよv 俺、自分で実験済み。安心して?…そう、それを愛の先っぽに塗ってあげてね」

 愛さんは眉根を寄せ、手首の戒めを解こうともがくが、とれそうな気配はなかった。

 俺が手を近づけると、腰を捩ってそれから逃れようとする。

「愛。腰を振るのはヒワイすぎv その行為、色っぽいの気付いてる?」

 笑いを含んだ声で、春也さんが愛さんの耳元で囁く。

 愛さんは益々眉間の皺を深くし、それでも暴れるのを止めた。

 怒りながらも春也さんの言葉に煽られたようで、愛さんのモノは再び頭を擡げ始めていた。

「ふふふー。男の体は正直だよねv」

 春也さんが愛さんのモノの頭を、かわいがるように撫でる。

 その春也さんのあけすけな態度に、愛さんは諦めたように深い溜息をついた。

 春也さんに目で促され、俺は愛さんの亀頭にクスリを塗りつけた。

 熱い、ビロードのような感触…。

「うーん。それだけじゃ、刺激が足りないかも…」

“もっと塗っちゃおーっと“と口の中で小さく呟いて、春也さんは自分の手に俺がつけたよりも大分たくさんのクスリを出し、それを愛さんの茎に塗り込む。

「春――!やめろっ!!」

 切羽詰った愛さんの声。

 必死で逃れようと腰を捩り、その結果、勃起したモノでピタピタと春也さんの手を叩いてしまう。

「もう、愛ってば。ナニで叩いてるの?」

 笑いながら言う春也さんを睨みつけていた愛さんだったが、突然表情を変えた。

「あ、キた?」

 春也さんが面白そうに愛さんの顔を覗き込む。

 応えず、愛さんはきつく目を閉じている。

 …そういえば…。

 俺は自分の右手の人差し指、さっきクスリに触った指がジンジンするのに気付いた。

 むず痒いというか…熱を持っているというか…。

 指の先だけでもそういう感じなのだから、ビンカンな部分に塗られている愛さんの現状は…想像に耐えない。

 愛さんのモノはムクムクと育っていた。

 血管を浮き上がらせ、反り返っている。

「ん…んぅ…」

 愛さんが堪えきれずに、喉から声をもらす。

 刺激を求めて、腰を捩ったり、浮かせたりしている。

「愛、すっごいイイ顔。俺もサイコーにカンジる…」

 俺からは見えないけれど、春也さんも俺と同様、興奮しているようだった。

 もう隠しようもなく興奮している自分を持て余していた俺は、少しホッとする。

 だって、こんな愛さんを見て興奮するなって方が無理な話だ。

「春っ…俺のを…触れ…」

 途切れ途切れに愛さんが要求を口にする。

「えー?どうしよっかな〜」

「春っ!!…あ…う…頼…む、から」

「太一、触ってあげる?」

 ドキドキしながら、俺は肯いて愛さんの力強く存在を主張するモノに触れた。

 ビクリ、と愛さんの体が跳ねる。

 俺が愛さんのモノを握ると、愛さんは俺が手を動かすのを待たずに自分で腰を動かし始めた。

 あ…待って…そんな…。

 あまりの刺激の強さに、俺はクラクラした。

 それを読み取ったらしく、愛さんが俺の後ろにまわって来る。

「太一には、俺がサービスするねv」

 後ろから手を回され、俺の固くなってしまったモノを春也さんが掴んだ。

 愛さんの腰の動きに合わせて、擦り上げられる。

 あ…きっ…もち、良すぎ…。

「んー!あ…あああっ」

 もう、すでに限界近くだった俺は簡単に達してしまった。

 達した瞬間に、愛さんのモノを強く握り締めてしまったらしく次の瞬間、愛さんはうめきながら絶頂を迎えた。

 快感の余韻に浸りながら、俺は愛さんの精液が三度にわたってビュクビュクと吐き出されるのを見た。

 射精を終えても、すぐに勢いを取り戻す愛さん。

 その自分の姿を見て、愛さんはフルフル震えた。

 …感じて震えてる?

 そう思った瞬間だ。

 愛さんが低い声を発した。

「お前ら…いーかげんにしやがれ!!」

 最後は叫ぶように言うと、愛さんがガバッと起き上がった。

 …え?包帯は!?

 見ると、伸びきった包帯がベッドの隅に引っ掛かっている。

 愛さんのあまりの抵抗に、包帯の方が、ねをあげたらしかった。

「ガーン」

 予想外の事態に春也さんが、呟くように言った。

「何がガーンだ。よくも、俺様の優秀で貴重な精液を無駄に絞ってくれたな…それも、あんなに屈辱的な格好をさせて…」

「ふふふ。しょっちゃって。優秀だってさ、太一」

 おどけて言う春也さんの口調が、心なしか固い。

「春?これだけのコトをしたからには…分かってるんだろうな?」

「あは。何にも考えてませんでしたv だって、どうしたら太一が喜ぶかしか考えてなかったもん」

「…そうか。では、教えてやろう」

 言うが早いか、愛さんは春也さんの手首を伸びきった包帯を使って縛り上げた。

 ついでに俺も一緒に捉えられ、春也さんと同じように縛られてしまう。

「使われるのはキライだが、この手のものを使うのは大好きなんだ」

 ニヤリと笑い、愛さんはチューブを手にとった。

「誕生日とはいえ、お前も同罪!」

 言い切って、愛さんは俺と春也さんのローブの前を寛げると、現れたモノにクスリを塗りつけた。

 じわじわとヤバイ感覚が湧き上がってくる。

「さーてと、俺はこいつを始末してくるか」

 愛さんはまだ落ち着かない自分のモノを指さして、立ち上がる。

「シャワー浴びてくるから、お前らは手を使わずに頑張れよ?二人で擦るのもいいんじゃねぇ?」

 愛さんは言い捨てて去ってしまい、残された俺と春也さんは、愛さんがシャワーから帰ってくるまでそれはそれは、もどかしい思いをした。

 恥ずかしいことに、ちょっと言えないような体勢でお互いのものを擦り合わせたりもしたんだけれど、クスリにやられたモノが求める刺激は強くて、とてもとても、それでは足りなかった…。

 帰ってきた愛さんを俺と春也さんはよっぽど縋るような目で見たらしく、愛さんは満足そうに笑い、僕たちのモノを慰めてくれた。

 こうして、俺はいつになく、人に祝われる誕生日というものを経験した。

 来年のこの日も、春也さんと、愛さんと、一緒に過ごせればいいな…と、思った。

 

アホすぎ…終わる

2000.08.05 脱稿


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