運転免許証免許の保有者数など


昭和44年から「運転者管理システム」による集計が始まった。
警察庁によると、平成15年度末での運転免許保有者は、前年より933,870人増加して、77,467,729人となった。実に、免許適齢人口(16歳以上)でいうと1.4人に1人の割合で免許証を所有することになる。年代別には、高齢者(65歳以上)の運転免許保有者は年々増加傾向にある。一方では24歳以下の若者の運転免許保有者は年々減少傾向にある。
平成15年末には高齢者の数が初めて若者の数を上回った。若者の免許保有者数は7,985,592人、高齢者の免許保有者数は8,791,045人であった。
高齢者が原因をつくった人身事故は平成5年に3万2,365件だったのが、昨年は8万9,117件に増加した。この10年間で約2.8倍に膨らんでおり、高齢化社会を意識した事故防止対策が求められる。警察庁は平成10年、75歳以上の高齢者に対しては免許更新時に反応速度の検査などを行う高齢者運転講習を義務付け、平成14年からは受講対象年齢を70歳以上に引き下げた。
新規の運転免許証交付件数は1,523,697件で、前年よりも3,4021件減少した。少子化の影響か、新規に免許を交付する数は、平成5年以降は毎年減少している。

運転免許保有者数の年次推移

運転免許証の取得者は、2008年以降の人口減少、少子化、高齢者の免許返納、若者のクルマ離れなどの影響で、2017年以降はやや減少に転じる傾向にあり、警察庁の最近の発表ではと思われたが、以外に横這いで、警察庁交通局運転免許課の発表では令和2年で81,989,887名(男性44,596,553、女性37,393,334)、令和4年で81,840,549名(男性44,330,965、女性37,509,584)となっている。
男性の保有者の減少は、若年層の人口減少に加えて、返納したり更新しない高齢者ドライバーの数が新たな取得者数を上回っているためであろう。また、女性保有者の増加は女性の社会進出や、公共交通機関が少ない地方でニーズ、人手不足が深刻なバスやトラックなどの運転における女性ドライバーの進出を反映しているものと思われる。

上位運転免許とは
取得の難易度とは別に、免許証には便宜上次のような順位をつけて、上位免許、下位免許と定義している。つまり(1)大二(2)普二(3)大特二(4)け引二(5)大型(6)普通(7)大特(8)大自二(9)普自二(10)小特(11)原付の順に順列がつけられている。
ここで注意すべきは、「けん引一種」である。この免許は普通、大型、大特を所有していることが条件となり、単独では取得できない。つまり「けん引一種」のみを取得することができないために、免許保有者数を集計する際には順位列からは除外されている。
ただし、一般には便宜上、免許の順列をつける場合には、けん引は、「大特」と「大型自動二輪」の間に位置づけられ、(1)大二(2)普二(3)大特二(4)け引二(5)大型(6)普通(7)大特(8)け引(9)大自二(10)普自二(11)小特(12)原付とされている。
「けん引」を順列に加えることと、二輪と四輪を同じ順列で並べることに少々
無理を感じるが、統計上は止むを得ないことなのであろう。


全国の免許保有者数
まず、最初に「免許保有者数」という言葉の定義を確認しておこう。免許保有者とは、文字通り免許証を持っている人の数である。つまり1人につき1枚の免許証としてカウントする。例えば「原付」と「普通」免許を所持している人(これを併記という)が、それぞれの車種の免許保有者数にカウントすると、保有者数の合計が実際に免許保有者数を大幅に上回る。よって、保有者数を集計する場合は、複数の車種の免許を持っていても、保有している車種のうち上位免許証をもってカウントする
例えば、「原付」と「普通」免許を持っている人は「普通」免許に、「普通」と「大型自動二輪」と「原付」を持っていても「普通」免許にカウントされる。要は
1人1免許証として集計するわけだ。免許保有者数は、平成15年12月末の集計では、年々増加しているものの、新規の交付件数は少子化の影響で年々減少している。

種類別運転免許保有者数の推移
(各年12月末集計)
平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
大型   3,588,082 3,683,848 3,780,998 3,875,827 3,976,495 4,068,879 4,139,088 4,193,262 4,249,848 4,313,009 4,365,560
普通   55,071,563 56,624,332 57,976,936 59,306,352 60,697,101 62,099,409 63,257,889 64,326,199 65,343,581 66,415,617 67,440,827
原付 3,694,047 3,501,839 3,407,160 3,354,161 3,279,530 3,238,954 3,228,821 3,127,995 3,002,981 2,867,712 2,760,240 2,660,109
小特               235,579 215,779 197,048 187,597 174,262
大特               5,756 5,323 4,948 4,783 4,605
大特+小特   315,042 303,208 290,206 276,764 267,073 258,270 241,335 221,102 201,996 189,380 178,867
大自二                     95,439 90,732 84,749 79,451 75,803 72,222
普自二                   476,620 443,944 414,296 388,705 368,144 344,711
自動二輪計             572,059 534,676 499,045 468,156 443,947 416,933
一種免許計   63,174,945 64,696,721 66,066,294 67,375,562 68,778,198 70,227,438 71,300,983 72,242,589 73,131,293 74,122,193 75,062,296
大二   1,257,619 1,245,703 1,239,657 1,240,020 1,232,531 1,236,019 1,227,738 1,202,167 1,191,554 1,185,062 1,174,799
普二   1,261,595 1,261,706 1,256,323 1,257,683 1,258,810 1,268,226 1,262,279 1,240,252 1,226,129 1,224,824 1,228,777
大特二                1,324 1,317 1,304 1,338 1,403
け引二                 432 427 431 442 454
大特二+け引二   1,518 1,537 1,556 1,631 1,683 1,728 1,756 1,744 1,735 1,780 1,857
二種免許計   2,520,732 2,508,946 2,497,536 2,499,334 2,493,024 2,505,973 2,491,773 2,444,163 2,419,418 2,411,666 2,405,433
総計 64,172,276 65,695,677 67,205,667 68,563,830 69,874,878 71,271,222 72,733,411 73,792,756 74,686,752 75,550,711 76,533,859 77,467,729

免許現在数とは
免許保有者数に対して、各車種の免許証の表示の合計を「免許現在数」という。例えば、「普通自動二輪」と「普通一種」を所持している人は、それぞれの車両の表示がされているため、「普自二」と「普通」それぞれにカウントする。これに対して、例えば「原付」と「普通」を所持している人の場合は、その取得順序によって、「普通」のみの表示と「普通」と「原付」の両方が表示されている場合の2通りある。もちろん、両者は運転できる車両については全く同じである。しかし免許現在数として集計する場合は前者では「普通」、後者は「普通」と「原付」両方として集計されるのである。つまり免許現在数は実際に運転できる人数の合計ではなくて、免許証の表示の集計であることに注意しなければならない。
ちなみに、最上位免許といわれる「大二」は、他の免許では絶対に運転できないので、「大二」を運転できる人の免許証には必ず「大二」の表示がある。よって「大二」は免許現在数=免許保有者数となる(下表参照)。
同様に、「大特二」も他の免許証では運転できないので、大特二種の免許を持っている人は、必ず「大特二」の表示があるはずである。「大特二」を実際に運転できる人は、「大特二」免許現在数である48,402人以上は存在するはずであるが、例えば、これより上位の免許である「普通二」と、「大二」を併記している人は、たとえ「大特二」を持っていても、免許保有者数上は「普二」や「大二」としてカウントされるのである。

運転免許現在数の推移
(各年12月末集計)
平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
大型               5,037,795 5,092,385 5,151,926 5,224,216 5,290,065
普通               68,600,196 69,726,336 70,809,903 71,963,931  73,067,707
原付               17,060,573 17,142,199 17,196,786 17,298,956  17,398,347
小特               910,136 871,037 834,633 808,759  785,006
大特                      2,171,635 2,195,019 2,222,912 2,256,073  2,289,435
け引                      952,758 971,833 992,250 1,014,929  1,036,792
大自二               13,672,965 13,440,984 13,262,686 13,146,637  13,015,933
普自二               6,835,346 7,016,421 7,214,405 7,425,223  7,622,360
大二               1,227,738 1,202,167 1,191,554 1,185,062   1,174,799
普二               1,515,602 1,484,428 1,465,223 1,460,221  1,459,463
大特二               48,734 48,042 48,072 48,402  48,243
け引二               54,846 54,287 54,422 54,847  54,659

併記運転免許交付件数
併記交付件数とは、ある車種の免許を持っている人が、新たに上位免許を取得して「併記」されることによって交付された免許証の件数。原付を併記する場合は小型特殊のみを取得している人が原付を追加で取得した場合、また小型特殊を併記した人とは、この逆のパターンで原付のみを取得している人が小型特殊を追加で取得したものである。上記のことははっきりしているが、これ以外は、例えば普通自動二輪の併記が、原付のみからの併記か小特からの併記か、その両者取得後の併記かなど内訳は判らない。

運転免許併記交付件数の推移
(各年12月末集計)
平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
大型               118,663 112,343 111,221 114,047 109,428
普通               423,185 402,351 381,467 363,032 339,915
原付               74 81 63 50 82
小特               222 264 233 237 243
大特                      46,863 45,267 48,536 49,779 50,872
け引                      29,014 28,268 28,982 30,135 29,484
大自二               84,803 78,457 84,323 87,336 82,854
普自二               174,292 185,736 202,126 207,582 203,352
大二               17,402 16,769 17,192 16,302 18,002
普二               25,651 21,905 21,987 27,446 35,205
大特二               1,210 1,084 1,050 1,152 1,024
け引二               1,443 1,223 1,170 1,269 1,015

珍しい免許証について
取得者が少ないのは、「け引二」と「大特二」である。平成14年度末の集計ではそれぞれ免許現在数は54,847名(保有者数442名)、48,402名(保有者数1,338名)である。繰り返して述べるが、「け引二」の保有者数とは、この免許が最上位免許となる人で、これより上位の免許、例えば大特二、普通二、大二などの免許を取得している人はたとえ「け引二」免許を所有していたとしても、カウントされていない。

全車種を取得した人(フルビッター)
全国に何人ぐらい存在するのだろう?非常に興味深いテーマではあるが、警察庁によると、この集計は行っていないので分からないとのことであった。ただ全免許取得者は、保有者数としては最上位免許の「大二」にカウントされるので「大二」の保有者1,185,062を越えることはない。また、仮にフルビットであったとすれば、免許現在数では各車両にカウントされているので、最も少ない「大特二」の48,402を越えることはないはず。全免許が表示されている狭義のフルビッターと、実質上全車種の運転ができる広義のフルビッターは、資格としては全く対等である。ただ、保有者数としては両者は「大ニ」にカウントされるが、現在数としては取得順序などによって様々なケースが考えられる。
 狭義のフルビッター(全車両表示がある人)・・・・・47,064名以下(根拠:一番少ない「大特二」の免許現在数から「大特二」を持ちながら「大二」を持っていない「大特二」の保有者数を減じたもの。)
 広義のフルビッター(全車両の表示はないが、全車種運転可能な人・・・・・47,064名以下(結局は「大二」、「大特二」、「け引二」、「大自二」は孤立した資格なので、これらは必ず表記されているはずである。よって上記と同じ理由で)
もう少し、方程式を立てれば、各々の人数が絞れるかも。さらなるアイディアがありましたらご連絡下さい。(募集中!)下記の表で整理しながら検討中。

運転できる人の推測 平成14年 その根拠
2002
大型の運転ができる人は 5,224,216〜6,409,278 大型の現在数以上、大型現在数+大二現在数の合計以下大型一種は、「大型」か「大二」があれば運転できる。
この中には「大型」の人、いきなり「大二」の人、「大型」と「大二」を両方持っている人が含まれるはず。
普通の運転ができる人は 7,3038,512〜7,3040,292 「普通」+「大型」+「普二」+「大二」のそれぞれの保有者数の和以上、それらに「大特二」+「け引二」のそれぞれの保有者数の和以下。
普通車両は「普通」、「大型」、「普二」、「大二」のいずれかを所有していれば運転できる。よって、それらの保有数を合計する。しかし、一部には、「大特二」、「け引二」にカウントされる免許の中に、「普通」か「大型」を持っている人が含まれている。
原付の運転ができる人は 76,346,262 免許保有者数76,533,859−「小特」しか運転できない人(小特の保有者数)を減じたもの。小型特以外の全免許で運転できる。
小特の運転ができる人は 73,773,619 免許保有者数76,533,859−「原付」しか運転できない(原付の保有者数)2,760,240を減じたもの原付以外の全免許で運転できる。
大特の運転ができる人は 2,256,073〜2,304,475 「大特」現在数以上、「大特」現在数+「大特二」現在数以下。
「大特」か「大特二」があれば運転できる。この中には「大特」の人、いきなり「大特二」の人、「大特」と「大特二」を両方持っている人がいる。
け引の運転ができる人は 1,014,929〜1,069,776 「け引」現在数以上、「け引」現在数+「け引二」現在数以下。「け引」か「け引」二があれば運転できる。この中には「け引」の人、いきなり「け引二」の人、「け引」と「け引二」を両方持っている人が含まれる。
大自二の運転ができる人は 13,146,697 「大自二」の現在数。「大自二」以外の免許では運転できない。
普自二の運転ができる人は 13,146,697〜20,571,860 「大自二」の現在数以上、「大自二」+「普自二」の現在数の和以下。
大二の運転ができる人は 1,185,062 免許現在数(=免許保有者数)
普二の運転ができる人は 13,146,697〜20,571,860 「大自二」の現在数以上、「大自二」+「普自二」の現在数の和以下。
「大自二」か「普自二」があれば運転できる。この中には「普自二」の人、いきなり「大自二」の人、「普自二」と「大自二」を両方持っている人も含まれる。
大特二の運転ができる人は 48,402 「大特二」の現在数
け引二の運転ができる人は 54,847 「け引二」の現在数
狭義のフルビッター(全車両表示がある人) 47,064名以下 一番少ない「大特二」の免許現在数から「大特二」を持ちながら「大二」を持っていない「大特二」の保有者数を減じたもの。
広義のフルビッター(全車両の表示はないが、全車種運転可能な人 47,064名以下 一番少ない「大特二」の免許現在数から「大特二」を持ちながら「大二」を持っていない「大特二」の保有者数を減じたもの。
横川様、ご協力ありがとうございました。