特殊車両


道路法に基づく車両の制限(一般的制限)

◆道路法による一般的制限
道路は一定の構造基準により作られている。そのため「道路法」によって道路を通行する車両の大きさや重さを制限している。この制限を「一般的制限」という。
これらの制限値を超える車両は「特種車両」といい、このような車両が通行するには、許可を受ける必要がある。
(道路法第47条1項、車両制限令第3条/車両制限令第2条)

一般的制限値(最高限度)
車両の緒言 一般的制限 備考
2.5m  
長 さ 12.0m  
高 さ 3.8m  
重 さ 総重量 20t  
軸 重 10t  
隣接軸重
(隣り合う軸重の合計)
18t 隣り合う車軸の軸距が1.8m未満
19t 隣り合う車軸の軸距が1.3m未満、かつ隣り合う車軸の軸重が9.5以下
20t 隣り合う車軸の軸距が1.8m以上
輪荷重 5t ひとつの車軸にかかる荷重
最小回転半径 12.0m  

例えば、このようなトレーラーが県道を走る場合、全幅3.2mは一般的制限の上限(車幅2.5m)を超えている。
制限外積載許可を受ける必要がある。

指定道路について

○重さ指定道路
 高速自動車国道または道路管理者が道路の構造の保全および交通の危険防止支障がないと認めて指定した道路であり、総重量の一般的制限値を車両の長さおよび軸重に応じて最大25トンとする道路のことです。(幅、長さ、高さの最高限度は一般的制限値と同じ)

車両制限令の総重量の最高限度

総重量20t  (最遠軸距が5.5m未満)
22t  (最遠軸距が5.5m以上7m未満で、貨物が積載されていない状態で長さが9m以上の場合。9m未満は20t)
25t  (最遠軸距が7m以上で、貨物が積載されていない状態で長さが11m以上の場合。9m未満20t、9〜11mは22t)

○高さ指定道路
 道路管理者が道路の構造の保全および交通の危険防止上支障がないと認めて指定した道路であり、高さの一般的制限値を4.1mする道路のことです。

車両制限(一般的制限)の緩和・特例
これまで、車高が3.8m,を越える自動車が通行する場合は警察署長の制限外積載許可を受ける必要があったが、平成16年3月22日から、交通の状況により支障がないと認めた指定道路を通行する自動車にあっては、車高制限を4.1mまで緩和されるようになった。車高制限が4.1mに緩和される車両は、自動二輪車、小型特殊、普通三輪、軽四以外の自動車が対象となる。もちろん、これらの車両が指定道路以外を通行する場合は、従来通りの車高制限(3.8m)の規制対象となる。

総重量
■道路による特例
高速自動車国道および道路管理者が指定した指定道路においては、最遠軸重により総重量20tを越えて走行することが許可されている。
平成10年4月より新規格車が通行できる道路が大幅に追加された。高速自動車国道や一般国道を中心として、重要港湾、物流拠点を結ぶ物流上重要な路線について、橋梁の補強等を実施し、車両の大型化に対応した道路整備が進められた。
現在、国道は殆どが指定道路となっている。指定道路を通行する場合には、特殊な車両として取り扱われるため、従来通りの「許可申請」が必要となる。幅、高さ、長さ、最小回転半径などについては一般制限に従う。

最遠軸距 総重量
5.5m未満 20t
5.5m以上7.0m未満 22t(車長9m未満なら20t)
7m以上 25t(車長9m未満なら20t、車長9〜11mは22t)

■車種による特例

トレーラは、単車に比べてはるかに重たいため、特例が設けられている。トレーラのうちバン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車運搬用の5車種については、最遠軸距により通行する道路種別ごとに次のように一般制限値に特例が設けられている。あおり型、スタンション型、船底型セミトレーラ(タイプT・U)の3種は特例は適用されないため、一般の新規格車の制限を受ける。また、隣接軸重(10t以下)や輪荷重(5t以下)などは一般制限に従う。
トラックのGVWは25tであるが、車両重量が10t程度あるので、実際には15tほどしか積載できない。一方セミトレーラは車両重量が5t程なので23t程度積むことができる。トレーラはトラックに比較すると実際には8tほど余分に運ぶことができる。トレーラーのみの車両総重量(GVW)は28tまで認められているが、トレーラーとトラクターを連結した連結車両重量(GCW)は最大36tまで可能となる。それでも、道路の損傷防止や橋梁の設計強度の関係で、軸重は10t未満という基準は満たさなければならない。よって必然的にトラクターの車軸が増える結果となる。
道路種別 最遠軸距(最前軸と最後軸の軸距) 総重量の制限値
高速自動車国道
(都市高速、阪神高速、他の都市高速や本四連絡橋は含まれない)
8m以上9m未満 25t
9m以上10m未満 26t
10m以上11m未満 27t
11m以上12m未満 29t
12m以上13m未満 30t
13m以上14m未満 32t
14m以上15m未満 33t
15m以上15.5m未満 35t
15.5m以上 36t
指定道路 8m以上9m未満 25t
9m以上10m未満 26t
10m以上 27t
その他の道路 8m以上9m未満 24t
9m以上10m未満 25.5t
10m以上 27t

バラ積み緩和について
特例8車種については保安基準の範囲内でバラ積みが可能となった。(GCW44t)
平成15年10月より道路運送車両の保安基準緩和の認定を受けたトレーラーが分割可能な貨物を輸送することが認めるた。対象は車両総重量などの重量規制に限られるトレーラーで基準緩和認定を受けた車両は保安基準の範囲内でバラ積み輸送が可能となった。現在、道路運送車両の保安基準によって、道路を通行できる車両は幅・高さ・総重量などの最大値が定められているが、長大物品を輸送するトレーラーは最大値を守ることが困難であるため、分割不可能なケースに限って保安基準項目の適用緩和を認定し輸送が認められていた。全日本トラック協会や経団連が物流の効率化や環境対策の観点から、基準緩和の認定を受けたトレーラーが、分割可能な貨物も保安基準の範囲内であるなら輸送を認めるように要望していた。

長さ

道路種別 連結車 長 さ
高速自動車国道 セミトレーラ連結車 16.5m
フルトレーラ連結車 18.0m
指定道路その他の道路 セミトレーラ連結車 12.0m
フルトレーラ連結車
トレーラ連結車のうち、特例の対象となる5車種(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車の運搬用) セミトレーラ連結車 すべての道路において17.0m
フルトレーラ連結車

【トレーラの長さ】
トラックよりも全長の規制が緩いトレーラにも全長の規制はある。一般にトラックの最大全長は12mで車両総重量は25tまでである。セミトレーラの単体(トラクター部分を除く)は12mに制限されているが、連結全長は16.5m、フルトレーラでは18mまでは車両制限令で認可されている。全長12mでトラックとトレーラを比較してみる。トラックの場合は最前部から最後部までであり、セミトレーラはキングピンから最後部、フルトレーラでは連結装置の先端から最後部までが対象になる。よって、トラックの場合はキャブの長さがあるので実際の荷台長は9.6m程度(最近登場したショートキャブでも10m程度)しかない。これに対してセミトレーラはキングピンより後方には12mある上、キングピンより前方のオーバーハングが0.5〜1.2m程あるので、実際には13mほどの荷台が確保できる。それでも、連結全長は16.5mを越えてはならない。フルトレーラは、連結全長18mの制限令があるので、実際にはトレーラは6m前後になってしまう。それでもフルトレーラの場合はトラクター側にも荷台があるので、合計すると15m程度の荷台が確保できることになる。

【制限オーバーの場合】
既述のように、トレーラーの車両総重量は保安基準で最大28t、連結全長はセミトレーラーで16.5m、フルトレーラーで18mと定められているが、不可分な重量物や長尺物を公道で運搬する場合はどうするのか?この場合は陸運(支)局の申請が必要である。保安基準では最大セミトレーラーで車両総重量50t、連結全長17mが認められている。重量用トレーラはシャーシも丈夫にするため10t程度が必要である。よって実際に積載は40t程度が上限となる。それでも軸重1軸あたり10t以下、最小回転半径12m以下という基準はすべてのトレーラ、トラクタに適応される。

トレーラの生産台数
近年のトレーラの需要推移を見ると、平成11年度はISO規格海上コンテナフル積載の実現により、約1,000台の特需が発生した影響で、平成12年度は5,680台(対前年比18%)と増加した。またダンプトレーラも倍増し、これら二つの規制緩和が市場の伸びの原因となった。それでも平成7年頃と比較すれば、半分以下という水準である。平成6年から7年にかけての生産台数の増加は、平成7年秋のABS全面装着化前の駆け込み需要と、過積載取締強化に伴う一般トラックからトレーラによる大量輸送への移行は集中した結果であると考えられる。

特種車両
【特例8車種】
平成15年10月より特殊車両通行許可の上限重量が見直され、特例8車種のトレーラは、GCW(連結総重量)が通行条件付きで最大44tまで許可されるようになった。特例8車種とは、(1)バン型(オープンストップ型を含む)、(2)タンク型(ミキサー車、粉粒体運搬車等を含む)、(3)幌枠型、(4)コンテナ用、(5)自動車の運搬用、(6)あおり型(貨物の落下防止に十分な強度のあおり及び固縛装置が有るもの)、(7)スタンション型(貨物の落下防止に十分な強度のスタンション及び固縛装置が有るもの)、(8)船底型(貨物の落下防止に十分な深さ、強度を有する支え台及び固縛装置が有るもの)


車両の構造が特殊であったり、輸送する貨物が特殊であるため、上記の一般的制限に示す幅、長さ、高さおよび総重量のいずれかの制限値を超える車両を「特殊車両」といい、道路を通行するには特殊車両通行許可が必要となる。特殊車両には
車両の構造上によるものと、積載する貨物によるものに大別される。
車両の構造が特殊なもの

トラッククレーン等自走式建設機械など、

積載する貨物が特殊なもの 電車の車体、電柱、建設機械、大型発電機など貨物が特殊で分割不可能のため、一般的制限値のいずれかを超える場合。

20t超の新規格車が通行できる指定道路を表示する案内標識
指定道路であることを示す案内標識。(正式には総重量限度緩和指定道路)
平成5年に道路構造令及び車両制限令を改正し、車両の大型化に対応した新構造基準に基づき道路整備を進め、高速自動車国道及び道路管理者の指定した道路(指定道路)においては、総重量20tを超える車両(車両の長さ及び軸距に応じ最大25t、連結車では27t)が自由に走行できるようになった。高速自動車国道や一般国道を中心として、重要港湾、物流拠点を結ぶ物流上重要な路線について、橋梁の補強等を実施し、車両の大型化に対応した道路整備を進めている。指定道路の標識は高速道路から一般国道に出る場所でよくみられる。許可標章にある20t超は、あくまでも車両総重量が20tを超えるもので、最大積載量は、10数トンのものが多い。

特殊車両通行許可とはトレーラーなどの特殊な車両重量が大きく走行距離も長いため道路にかかる負担も大きくなる。一般的に道路は一定の基準で作られており基準を超える重量の車両が通行すると損傷する危険性がある。従って規格を超える特殊車両が道路を通行する場合には当該道路の管理者の通行許可を取ることが必要となる。次の基準を一つでも超えると特殊車両となり、通行許可が必要になる。(道路法第47条 1項 車両制限令第3条)

項 目 制 限
車幅 2.5m
総重量 20t
輪荷重 5t
軸重 10t
長さ 12m
高さ 3.8m
最小回転半径 12m

標章について
通行を許可された特殊な車両であることを明示するための許可標章(ワッペン)は、車体の指定された位置(車体前面)に貼ることとされている。1枚300円。中央の数字は許可期限の年を示し、周囲の数字は許可期限の月を示す。中央の数字の下段には、許可年月日と道路管理者名が記入されている。例えば下図では緑色ワッペンが平成7年10月まで、赤色ワッペンは平成7年4月までの期限であることを示す。
特殊車両通行許可ワッペン廃止
特殊車両通行許可証とともに表示、携帯が必要とされていたワッペンが、平成16年3月29日より廃止され表示・携帯の必要がなくなった。
赤色ワッペン 緑色ワッペン 新規格車 新規格車
夜間のみ通行可能 昼夜とも通行可能 車両総重量が20tを超える場合は、このような「20t超」のワッペンが必要であった。 20t超、3.8m超の道標


118の4-A

118の4-B

118の4-B
この先の交差点の両側(右折しても左折しても)高さ限度規制緩和道路ですという看板。さすが「にこの先に規制緩和道路はありません」という袋小路のような看板はないが、高速道路の場合は、その先の道路の方向性を示す補助看板を直近のインターなどに表示することになっている。 この先の交差点を左折しても高さ限度規制緩和道路ですという看板 この先の交差点を右折しても高さ限度規制緩和道路ですという看板。たまに、この左折OK、と右折OKの看板が併設されている場合があるが、左の両方向OKの看板と意味合いは同じであると思う。

特殊車両の表示
重量、長さ、幅、高さなど「一般的規制」からはみ出るにもかかわらず、許可を得て製作、あるいは輸入登録された車両を「特殊車両」(保安基準緩和車両)といい、このような車両については車両後面の見やすい位置に、一辺が15cmの逆三角形の表示をすることが車両法で規定されている(道路運送車両法施行規則第54条)。
。大型トラック類の反射板のように反射器ではなくてもよく、単純にペンキや、ステッカーでも可。しかし車両法の関係で、これが無いと車検には受からない。
路線バス(メガライナー) オールテレーンクレーン

メガライナーについて
余談だが、道路運送車両法に定められている全長12m以上のバスも実際に運行されている。東京駅〜つくばセンター間に1日3往復運行しているメガライナーは、全長15メートルの2階建てバスで、座席は84席(現在は42席)の高速バス。1台で2台分の輸送が可能となることから、経済効果、排出ガスの抑制と混雑緩和に貢献できるという。
特に東京駅周辺の混雑状況を緩和するために、長大バスの導入もやむを得ないとの当局の理解により、平成15年12月より、道路運送車両法などの通行許可が降り運行されている。運行経路限定で特例を受けているため、高速道において渋滞・通行止め等が発生しても迂回運行ができないというデメリットも持ち合わせている。車両長の関係で運行路線が限られている。

メガライナーが東京駅に右折侵入してくる動画はこちら
車 輌 諸 元
全 長 14,990mm
全 高 3,790mm
全 幅 2,490mm
最小回転半径 10,300mm
総車重 24,330kg(20t超)
製造元 ネオプラン社(ドイツ)
エンジン メルセデスベンツ
排気量 14,618cc
馬 力 530PS
定 員 84名(1F18/2F66)

メガドリーム
道路運送車両法により、12mを超えるバスが運行できないことから特例措置を取得し、平成14年〜平成18年まで東京駅〜つくばセンター間の高速バス「つくば号」として運行を行なったが、つくばエクスプレスの開通の影響などを受けて、平成18月よりJR西日本バスに移籍し、東京駅〜大阪駅間の「青春メガドリーム号」として運行を開始した。

規格オーバーな車両たち
平成14年9月10日に、茨城県日立地区に「350t トレーラおよびトラクタ」を導入した。これは、一般道を走るセミトレーラ型式のトレーラとしては、国内最大という。
このトレーラは、日立製作所の日立地区における工場から発送されるタービン発電機や変圧器などの重量品を輸送するためのものである。
トレーラーの最大積載量は350t、全長18.7m、全幅4.0m、連結時の全長は実に27.68mとなる。
写真は、野田クレーン(タダノ製AR5500)トラックシャシーベースにクレーンを架装したトラッククレーン(オールテレーンクレーン)。全長15.98m、全幅3m、全高2.82m、車両総重量50,790kgと車検証には記載されているが、これはキャリヤ(下部走行体)の値であって、実際に上部旋回体を取り付けた構内走行姿勢では、全長17.46m、全高4.25mある。550t吊りは国内最大級である。作業時には195tのカウンタウエイトを積むので、総重量は300tを越える。全長はキャリア部で16m近くあるにもかかわらず、最小回転半径は11.9mである。 消防法の改定により、タンクローリーの最大30kLまでの積載が認められている。保安基準により車両総重量は28tまでと定められているため、タンク部の材質は軽量アルミを用いてる。全長15.86m(トレーラ長12.8m)、全幅2.49m、全高3.02m、車両総重量27,940kg。
500t積、国内最大の被けん引車両。7軸28本、計56本のタイヤを有し、車両総重量は569,08t。数百トンの発電機を運ぶことができるが、保安基準をクリアできないためこのフルトレーラは構内専用の車両となる。 名神高速を走っていてたまたま見かけたのだが、積載されているダンプトラックは日立建機(VOLVO社製)のアーティキュレートダンプトラックで、自重でも30tはあるであろう。こういう巨大な建機もすごいが、これを運ぶトレーラーも、そしてこれらを牽引するトラクターもすごい。もっといえば、それをつないでいるキングピンのことを考えると、ご苦労様なことです。