トラック豆知識A(反射板と駆動軸)


反射板について
平成4年6月以降、すべての大型トラックに取り付けが義務付けられている追突防止のための反射板。長方形で黄色の反射板に赤の縁取りがされている。反射板の面積の合計が反射部800cm2、蛍光部400cm2以上と定められているので、複数の反射板を取り付けている車両(最大4枚まで)もある。現在は、車両総重量7tまでの普通トラックにも反射板がつけられることになったので、4tクラスのダンプや3t平にもついている。
さらに、トレーラでは、正立の三角形の赤い反射板が付いている。この
は1辺15cm(〜20cm)の正三角形で、被けん引車(トレーラー)であることを示している。よって、黄色に赤枠の長方形の反射板と赤い三角の反射板が両方ついていたら、大型トレーラーなので、右左折時に大きく頭を振る可能性があるので、追い越しはしないこと。

大型トラック トラクター トレーラー 面積の合計が基準を満たせば分割してもOK

駆動軸について
トラックの車軸の構造はは全輪数×駆動輪数で表現する。(軸数でないことに注意!)例えば、6×4(前1軸、後2軸)は、合計3軸を有しており、そのうちリアが2軸で、これらが駆動輪となっている。
乗用車や小型トラックには2軸車(4×2、4×4)が多いが、大型トラックの主流は3軸車(6×2、6×4)、4軸車(8×4)。10t以上のクラスでは6×2の後2軸車が一番多く、8×4に代表される小径タイヤの多軸車は低床のメリットを生かしたカサ物輸送に、また6×6、6×4のような複数駆動軸車は牽引力・走破性に優れており、重量物運搬やダンプカーに使われる。
さて、欧米の25tトラックは前1軸・後2軸のうち後2軸が駆動する6×4方式が主流である。これに対して、既存の日本の大型トラックは後2軸のうち前軸のみが駆動する6×2方式が中心である。6×2方式の利点として駆動軸が少ない分、軽量化でき、結果積載量の増トンが可能となるからである。燃料の消費量も少ないこともある。25tトラックでは、6×2方式は6×4に比べ積載量は0.4〜0.5t増加でき、燃費は3〜5%低減されるという。
しかし、その実現には大きな障害があった。6×2方式のトラックの場合、駆動軸へ十分に荷重することで積み荷ゼロの空車時でもスリップを起こさないように設計されている。ところが、1本の駆動軸への荷重は安全性確保、路面保護のため10tまでとの規制に加え、隣接軸重の規制も新設。1.3m以上1.8m未満の距離で隣接する車軸の場合、荷重の合計は19tまでとされた。そのため駆動軸と後後軸に同じ荷重を配分することになり、空車時には駆動軸に十分な荷重がかからないという問題が生じた。欧州の一部では、空車時には後輪をハネ上げて6×2方式を可能にする例もあるが、日本での採用は難しいと思われた。しかし低価格・積載量増加を望むマーケットを考えると6×2の採用は不可欠であった。この難問を解決したのが空車発進駆動補助装置「キックドライブ」である。空車時には自動的に空気圧でエアチャンバーを駆動軸に押しつけ、駆動軸重を増加させる。この結果、十分な荷重により駆動力を確保してスリップを防止するというものだ。

トラックなどの車軸数
表 現 軸数 前軸 後軸 トラックの例 特 徴
トラック
4×2 2 1 1 4×2後1軸
一般的な後輪駆動、普通トラックなどが多い。
GVW16t・積載量8tクラスで小回りが利き、小型・中型トラックの標準的な駆動方式。
4×4 2 1 1 4×4(2軸駆動)
全輪が駆動する4輪駆動。降雪地帯などで使用する小型・中型トラックや大型除雪車に使用される。

6×2 3 1 2 6×2後2軸
一般的な大型車、後輪の1軸(2輪)のみが駆動輪となっているので、通称ワンデフ車という。6×4より軽量で積載性と燃費にすぐれ、GVW20〜25トン・積載量11〜15トン、450〜600PSクラスの大型トラックに多い標準的な駆動方式。
3 2 1 6×2前2軸
タンクローリーやカーゴ系など。優れた直進安定性を発揮することから長距離・高速輸送に適している。

GVW20〜23t・積載量11〜13tクラス。300〜400PS。走行安定性が良く、一般雑貨の長距離輸送によく使われる。
最小回転半径は、6×2後2軸車(8.5m程度)に比較して、11.5m程度で大きい。
6×4 3 1 2 6×4後2軸
通称ツーデフ。カーゴ系、ダンプ、ミキサーなど走破性を要求されるものが多い。GVW20〜25t・積載量11〜15tクラス。300〜400PS。強いグリップを必要とする不整地や雪道での走行に適している。カーゴの他、ダンプ、ミキサーなど建設用に多く使われる。
6×6 3 2 2 6×6(6輪駆動)
6輪全輪が駆動。過酷な走行条件でもタフで力強い走りを発揮し、主に除雪車として使用されている。
8×4 4 2 2 8×4(低床車)前2軸後2軸
GVW20〜25t・積載量11〜15tクラス。340〜400PS。12本の扁平タイヤで荷台の床面を低くし、荷台容積を確保。カーゴ、バン、ウイングの他、建機運搬用など用途が広い。
セミトレーラ (トラクター)
4×2 2 1 1 4×2後1軸
355〜520PS。第5輪荷重8.0〜10.0t(ただし、海上コンテナ用として緩和申請により11.5tまで)
6×4 3 1 2 6×4後2軸
450〜360PS、第5輪荷重11.5〜23.5t(まだまだ上が有りそう。)

フルトレーラ (トラクター)
6×2 3 2 1 (準備中)
6×4 3 1 2 (準備中)
リフトアクスルトレーラ

リフトアクスルタンクセミトレーラについて
普段は、トレーラ部分は2軸であるが、空荷時にトレーラのうち1軸がエアサスのエアでリフトアップするもの。つまり、全体として本来4軸であるトレーラは、1軸が宙に浮くために合計3軸となるものである。軸重感知のセンサーがあり、後ろ二軸の荷重が一定値以下になれば、自動的に前側車軸がリフトアップされる。
実際に運転される方からの情報によると、1軸になった場合の運転はちょっとしたコツが要るらしい。なにせもともと2軸車だったのが1軸になるため、ホイルベースの長い1軸車を運転することになり、奇妙な感覚があるそうだ。2軸車のつもりでハンドルを切ると切り過ぎになるので注意が必要とのこと。
リフトアクスルによって高速料金は特大車から大型車に区分され、通行料金が約40%安くなる。もちろん、タイヤの磨耗を防ぎ、軸数が少なくなることで燃費も向上して環境にもやさしいという利点はある。