コンテナについて
海上コンテナについて
海上コンテナとは世界中の港での効率的な荷役を実現させるためにISO(国際標準化機構)規格を満たす貨物用コンテナのことである。日本では独自の規格で広く流通しているJRコンテナと区別するため、「海上コンテナ」と呼ぶことが多い。海上コンテナは主として船舶による国際海上輸送用だが、国内の陸海上輸送にも多く用いられている。1950年代後半にアメリカで始まった海上コンテナ輸送は、徐々に世界に広がっていった。当初24ftから35ftまで企業ごとに長さがバラバラであったが、1960年代半ばにISO規格によって10ft、20ft、30ft、40ftが制定された。世界的には20ft、40ft、45ftが主流であるが、日本では45ftは大きすぎてトレーラに積載されないために使用されることが少ない。20ft、40ftコンテナが使い勝手が良く海上コンテナの主流となっている。従来は20ftコンテナ(高さ8'6")が中心を占めていたが、1990年頃からは40ftコンテナの割合が20ftを上回るようになり、さらに40ftでは9'6"(約2.9m)の背高コンテナも急速に増加してきた。
分類 | 12フィートコンテナ |
20フィートコンテナ |
40フィートコンテナ |
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サイズ | 長さ12ft(3.6m)×幅8ft(2.43m)×高さ8'6"(2.59m) |
長さ20ft(6.058m)×幅8ft(2.438m)×高さ8'6"(2.59m) |
長さ40ft(12.192m)×幅8ft(2.438m)×高さ8'6"(2.59m) |
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備 考 | 鉄道によるコンテナ輸送は昭和34年に開始されたが、当時はトラックの構造上、長さ10ftが限界であった。昭和46年には、12ftコンテナが登場し、比較的小ロット単位の国内物流に適合しており、積載量5tの規格サイズで統一されたJRコンテナとして現在も鉄道コンテナの中心となっている。 | 通常のコンテナより約30cm高い9'6"(約2.9m)の背高コンテナも存在する。 | 通常のコンテナより約30cm高い9'6"(約2.9m)の背高コンテナも存在する。 | |
積載量 | 20,320kg(規制緩和:24,000kg) | 30,480kg(規制緩和:32,480kg) |
幅は同じ8ftであっても、高さには8'6"とこれより約30cm高い9'6"の背高コンテナが存在する。背高コンテナが通常のコンテナと違う点はコンテナの上部にトラマーク(黄色と黒色の混在マーク)があるか、またはコンテナの周囲に「CAUTION
9'6" HI」、「HIGH CONTAINER TRAINER」などの表示がある。 |
コンテナ用のトレーラには、コンテナ固定用の装置があり、図のようにロックレバー(ノッチ)で90度回転することで、コンテナが振動などではずれないようになっている。 | ツイストロックピンがコンテナの4ヶ所に存在する。 |
昭和44年 | 連結車総重量(GCW)30t、連結全長15mが、道路公団の内規の形で枠組みされる。車両制限令にて、当時の一般車両の全高制限は3.5mとされていたが、コンテナ輸送車は特例により3.8mまで認められる。高さ8'6"の40ftのコンテナが規格化される。 |
昭和60年 | 全高規制を上回るとして輸送が認められなかった高さ9ft6inchの背高コンテナ(車両全高4.1m)の通行がルートを限定する形で認可される。 |
平成10年 |
コンテナフル積載輸送が認可され、専用シャーシーに積載できる最大積載量の内、20ftコンテナは20.32tから24tまで、40ftコンテナは24tから30.48tまで引き上げられる。これにより20/40ftの3軸シャーシと平成20年までの限定猶予期間が与えられた。 |
平成15年 | 40ftコンテナのフル積載輸送に関しては、保安基準の軸重規制により3軸トラクタヘッドの使用が前提となっていたが、後輪にエアサスペンションを装備する一定の基準を満たしたカプラー荷重11〜11.5tクラスの新型の車両に限り、2軸のトラクタヘッドのままで使用可能となる。 |
平成16年 | 車両制限令の改正により、あらかじめ定められた指定道路を通行する場合に限り、特別な手続きなしで全高制限が4.1mまで認められる。これにより、高さ9ft6inchの背高コンテナ輸送の他、旧規格の高さ8ft用高床シャーシーでの高さ8ft6inchの20ftコンテナの輸送(車両全高約3.9m)が事実上認められる。 |
牽引トラクタついて
海コントレーラーを牽引するトラクタの車輌は一般 的にカプラーにかかる第5輪荷重が9t程度で、車軸数が2軸の高速用牽引トラクタの車両が使用される。最近では規制緩和により、40ftコンテナフル積載対応の第5輪荷重が11〜11.5t程度のトラクタの車輌も使用される。車軸数が3軸タイプの重量用トラクタの車両が使用されない理由は、車軸数が2軸のトラクタの車両と比べてどうしても全長やホイールベースの寸法が長くなり、コンテナヤード内や狭い道での機動性に不利という他、タイヤの維持費、トラクタ単体での有料道路通行費用などの理由がある。
新規海上コンテナトレーラ
従来、40ftの海上コンテナは積載重量が30.48tあり、GVW28tを超えるためそのままでトレーラで運搬することはできなかった。つまり海外航路で運ばれてきた40ftコンテナは20ftに移し変えが必要であった。これが、平成10年の規制緩和により、GCW44tまで緩和され、基準を満たす3軸トレーラが40ftコンテナ輸送が可能となった。最大積載量30.48t、車両重量4t程度なのでGVWで35t程度が認められることになり、トラクター(7〜8t)と合計してGCW42〜43tとなる。この規制緩和に対しては、新規格車購入に対しては助成金も交付され、特需となるかと思われたが、実際にはあまり生産は伸びなかった。
全長 : 12,525mm 全幅 : 2,490mm 全高 : 1,600mm 最大積載量 : 30,480kg 車両重量 : 4,190kg 第5輪荷重 : 10,960kg |
全長 : 12,530mm 全幅 : 2,490mm 全高 : 1,460mm 最大積載量 : 21,500kg 車両重量 : 6,380kg 第5輪荷重 : 9,500kg |
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ISO規格40'コンテナフルロード(30.480kg)積載が可能な海上コンテナ用トレーラ | 12ftのJRコンテナを一度に3ケ運ぶことができる。この車両はメインフレームの一部を低床としており、31ftのコンテナを積載することもできる。 |
規制緩和の内容
平成10年4月1日から、ISO規格海上コンテナのフル積載輸送の経過措置としてISO規格海コン用トラクタ&トレーラの軸重超過(軸重の基準緩和=最大11.5t以下)が認められ、港湾荷揚げから積み換えせずに内陸部へのISO海上コンテナの一貫輸送(20ft=24t/40ft=30.48t)が実現した。従来、海上コンテナが輸入された場合、道路運送車両法および道路法の基準に適合させるため、船舶からトレーラに積み換える際にコンテナ内貨物の積み降ろし作業が必要であった。国際海上コンテナの場合、輸送経路が港湾と貨物ターミナル間を結ぶルート設定が一定しており、輸送量も限定されていることから、軸重緩和を前提にフル積載輸送を可能とされた。
40ftコンテナシャシは3軸車が前提であり基準適合の新規格海コントレーラでなければならない。このフル積載に対応する基準適合の条件は、20ftコンテナシャシの場合、現行の2軸車のままで対応できるが、軸重アップやフレームおよび足回りの補強改造が必要となる。具体的には、ISO規格海上コンテナ20/40ft輸送をするためには、車両総重量の基準緩和の認定を受けた3軸トレーラおよび基準内トラクタ(40ftを輸送するヘッドは3軸トラクタ)による輸送を認めもの。また3軸トラクタ、トレーラを切り替える運送事業者の負担増を考慮し、既存の20ftコンテナ用の2軸トレーラ(平成10年3月末までに登録したもの)および既存の2軸トラクタ(平成10年9月末までに登録したもの)に対する特例措置として、必要な構造変更(シャーシ強度の向上など)を行ったものについては平成20年3月31日まで使用の継続を認める。軸重緩和については既存トラクタ/トレーラの使う場合、軸重がオーバーするため、平成20年までの一時的な経過措置として11.5tまで認めたものであり、軸重10tまでという規制を緩和したというわけではない。
リーチスタッカー/トップピッカー/トップリフター Reach Stacker/Top Picker/Top Lifter |
スプレッダー/フォークリフト Spreader/Fork Lift |
ガントリークレーン/コンテナクレーン/キークレーン Gantry Crane/Container Crane/Quay Crane |
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伸縮するリーチがコンテナをつかみ上げて荷役を行う。ブームリーチの角度調整により、2列目、3列目のコンテナの荷役を行う。40ftクラスのコンテナの場合、最大5段積みまで対応可能。クレーンや特殊フォークリフトによる作業に比べ、コンテナ運搬の性能が高い。規制緩和により、国内での普及を阻んでいた移動式クレーン免許は不要となり、フォークローダ(ショベルローダ)の資格でよい。スプレッダーを最大に広げれば大型観光バス1台分は充分にある40ftコンテナを軽々と持ち上げる。 | スプレッダーとはコンテナ専用の吊り上げ装置。スプレッダーの端にはロックピンがあり、このピンがコンテナの鍵穴に入って90度回転することでスプレッダが固定される。空コンテナ専用のロックピン2本タイプと実入りのコンテナ用のロックピン4本タイプがある。 | コンテナの揚げ積みを行う門型クレーンのことを特にガントリークレーンという。俗に「港のキリン」とも呼ばれ、軌道上を船に沿って走行し、クレーン先端にはコンテナ規格に合わせてスプレッダーが備えられている。構内の岸壁を自由に移動できるタイヤ式のガントリークレーンもある。 | |||
トランスファークレーン/トランステナー/レールマウント式 Transfer Crane/Transtainer/Rail Mounted |
コンテナキャリヤ/ストラドルキャリア Container Carrier/Straddle Carrier |
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海上コンテナを港湾のコンテナヤードに積み上げ降ろしするための天井クレーンタイプのコンテナ荷役用移動式クレーン。構造上は橋形クレーンに分類される。トランスファクレーンには、鋼製車輪によりレール上を走行するタイプとタイヤにより無軌道路面上を走行するタイプがある。 | ストラドルキヤリアは比較的小回りがききコンテナを2〜3段まで積み上げることができ、ヤード内のコンテナを移動・整理するときに用いる。伸縮スプレッダを装備し、20ft及び40ftに伸縮する単一のスプレッダーで対応がでる。操作にはフォークリフトの資格が必要であるが、実際には大型特殊免許を取得しているという。条件付でナンバーを取得したキャリアが存在し、これらが公道を走行する時には大型特殊免許が必要となる。 | ||||
クレーン船が高圧線に接触事故
平成18年8月14日午前7時38分ごろ、東京都と千葉県の間を流れる旧江戸川で、クレーン船(幅約12m、全長約36m、総トン数380t、クレーン部長33m)が水面から約16mの高さに張られた東京電力の高圧送電線に接触し損傷させ、首都圏に大きな停電を生じた。当日このクレーン船ははタグボート2隻に曳航されて、旧江戸川の浚渫工事をする目的で移動していた。通常クレーンは寝かせた状態だと水面から高さ約3mだが、船は送電線の手前にある高さ約7.6m橋をくぐった後にクレーンを上げたという。
送電線は2系統あり、一方が損傷しても他方が予備となるのが、今回の事故ではクレーンが送電線の2系統とも損傷させたという。この送電線につながる各変電所では、損傷によって過電流保護装置が働いて送電が遮断され、停電が連鎖的に起きた。この結果、船橋市の新京葉変電所から東京都江東変電所に送られる27万5000ボルトの電流がストップした。