労働安全衛生法
労働安全衛生法について(Labor Safety and Sanitation Law)
労働安全衛生法は特別教育、技能講習を受けることにより作業または操作できる資格を与えるものから、国家資格となる免許を発行する国家免許を発行することもできる法律である。
労働安全衛生法は、建設工事の労働災害の防止を一つの目的として(財)安全衛生技術試験協会・安全衛生センターにより1972年に制定された。労働安全衛生法に基づく各種免許試験は、現在、全国7箇所の安全衛生技術センターにて施行している。
労働安全衛生法(;昭和47年6月8日法律第57号)とは、労働災害防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進を目的とする法律である。そのため、各事業活動において必要な資格を有する業務を免許や技能講習、特別教育といった形で取得することを義務付けている。
平成18年4月1日の改訂では主に過重労働や」ンタルヘルス対策としての医師による面接指導制度の導入、事業者による自主的な安全衛生活動の促進のための危険性、有害性の調査の努力義務化など、が改正された。免許や技能講習に関しては次の点が改正された。
現 行 | → | 平成18年4月1日以降 |
クレーン運転士免許 デリック運転士免許 |
→ | クレーン・デリック運転士免許 (クレーン・デリックとも運転できる。デリックの実技教習は廃止となる。クレーンのみ運転できる限定免許を新設する。 |
地山の掘削作業主任者技能講習 土止め支保工作業主任者技能講習 |
「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」に統合 | |
ボイラー据付け工事作業主任者技能講習 | 技能講習を廃止。ボイラー据付工事を行う場合は、必要な能力を有すると認められるものの中から、作業の指揮者を定めなければならない。 | |
四アルキル鉛等作業主任者技能講習 特定科学物質等作業主任技能講習 |
「特定科学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」に統合。 石綿を取り扱う作業については「石綿作業主任者技能講習」を分離、新設。 |
技能講習修了証明書「まとまるくんカード」は、複数の教習機関で修了した全ての技能講習資格を1枚にまとめたもので、労働安全衛生法第61条3項に規定する「資格を証する書面」に該当(平成11年12月24日基発第737号)するもの。
なお、この証明書は全国の登録教習機関の技能講習修了者データベースと照合して発行するため、資格の証明は保証されている。
指定教習機関独自に発行された技能講習修了証、例は神戸製鋼の関連であるコベルコ建機教習所。 | これまでの技能講習修了証を統一して1枚の証明証として発行される。 通称「まとまるくん」カードと呼ばれる。 手続きは申請用紙(インターネットでダウンロード可能)にこれまでの修了した技能講習の内容を記載して、本人確認の免許証などのコピー、技能講習修了証のコピー、手数料2,000円(現金書留可)程度で発行してくれる。(中央労働災害防止協会安全衛生情報センターデータ管理課) |
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免許の種類 | 名 称 | 内 容 | 学科試験 | 合格率 (平成15年) |
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特級ボイラー技士 | 特ボイラー | ボイラーとは重油を燃料とする蒸気ボイラーで、ビルの温水供給に利用される。空調や工場での動力にも使用される。 伝熱面積(蒸気を送る能力)によって特級・一級・二級の3ランクに分かれている。一級試験は、二級取得後2年以上の実務経験、特級試験は、一級取得後さらに5年の実務経験を積むことが受験資格であったが、平成16年3月以降、緩和された。 |
伝熱面積の合計:500u以上 一級ボイラー技士免許を受けた者であれば受験可能 |
○ | 22.5 |
一級ボイラー技士 | 一ボイラー | 伝熱面積の合計:25u以上500u未満 二級ボイラー技士免許を受けた者であれば受験可能 |
○ | 43.4 | |
二級ボイラー技士 | 二ボイラー | 伝熱面積の合計:25u未満 | ○ | 53.8 | |
特別ボイラー溶接士 | 特ボイラー溶 | 溶接によって作られるボイラーまたは第一種圧力容器の製造.改造.修理などを行う際に必要な資格。 特別ボイラー溶接士は、すべてのボイラーについて溶接を行うことができる。 普通ボイラー溶接士は、溶接部の厚さが25mm以下に限られる。 |
○ | 82.9 | |
普通ボイラー溶接士 | 普ボイラー溶 | 68.5 | |||
ボイラー整備士 | ボイラ整備 | 一定規模以上のボイラーまたは第一種圧力容器について、ボイラー水などを排出し、本体・付属装置等を整備する業務に携わる方に必要な資格。 | 66.7 | ||
クレーン運転士 | クレーン | 5t以上の天井式クレーン等の運転(機上運転・無線操縦・遠隔操作を含む)をする場合に必要。 | ○ | 57.0 | |
クレーン運転士(床上運転式限定) | 限定免許としてクレーン運転士免許の中で取得するもの。 運転する者が荷の移動と共に移動する床上操作式クレーンは、吊り上げ荷重が5t以上であっても、技能講習を修了すれば操作できる。 |
○ | 47.4 | ||
移動式クレーン運転士 | 移クレーン | 吊り上げ荷重が5t以上の移動式クレーンを操作するための資格。 同じ運転席で走行とクレーン操作が行える「ホイールクレーン」と、運転室と操作室が別に存在する「トラッククレーン」に大別できる。 |
○ | 68.2 | |
デリック運転士 | デリック | デリックとは動力をもって荷を吊り上げることを目的とする機械装置で、マストまたはブームを有し原動機を別置してワイヤロープにより操作されるもの。 | ○ | 67.5 | |
揚貨装置運転士 | 揚貨装置 | 揚貨装置とは、船舶に取り付けられたデリックやクレーン設備で、荷役作業などに用いられる。 | ○ | 74.1 | |
発破技士 | 発破技師 | 土木工事や採石現場で火薬を使って山などを切り崩す作業を行う。せん孔、装てん、結線、点火、不発火薬の点検処理などの作業は、ダイナマイトなどの火薬類を使用するため危険をともなう。 | 82.9 | ||
ガス溶接作業主任者 | ガス溶接 | ガス溶接技能者が行えるのは、可燃性ガスと酸素を用いた金属の溶接、溶断、加熱などに限定されており、規模の大きなアセチレン溶接装置やガス集合溶接装置などを使うには「ガス溶接作業主任者」の免許が必要となる。 | 75.3 | ||
林業架線作業主任者 | 林業架線 | 山林で伐採された原木は、山の斜面に設置された機械集材装置や運材用空中ケーブル等を用いて搬出されますが、機械集材装置や運材索道を組立てたり、解体したりする作業及びこれらを用いて集材や運材の作業を行う場合は、林業架線作業主任者免許を受けた者の中から林業架線作業主任者を選任する。作業主任者は、これらの設備の組立や整備、解体及び実際の集材、運材作業に際し、作業方法の決定及び作業従事者を指揮する。
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74.0 | ||
第一種衛生管理者 | 一衛生管理 | 衛生管理者は労働安全衛生法により、従業員50人以上の事業所には最低1人の衛生管理者をおかなくてはならないが、実際は守られているケースは少ない。第1種は全業種対象、第2種は有害業務に係わらないサービス業等が対象。 |
47.2 | ||
第二種衛生管理者 | 二衛生管理 | 60.7 | |||
高圧室内作業主任者 | 高圧室内 | 高圧室内作業(潜函方法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室またはシャフトの内部において行う作業に限る。)を行う場合は、高気圧障害を防止する直接責任者として高圧室内作業主任者免許を受けた者のうちから、作業室ごとに高圧室内作業主任者を選任する必要がある。 | 66.1 | ||
エックス線作業主任者 | エックス線 | 工業分野においてエックス線により製品の非破壊検査や品質検査などを行う。この作業を行う場合は、作業員などに危害を与えないように、管理区域ごとにエックス線作業を監督し、遮*物を設置したりしなければならない。 | 41.7 | ||
ガンマ線透過写真撮影作業主任者 | ガンマ線 | ガンマ線により鋳物や溶接部分の内部の欠陥を探す透過写真の撮影作業などを行う。この作業を行う場合は、作業主任者免許を受けた者のうちから管理区域ごとに作業主任者を選任して監視させなければならない。 | 70.4 | ||
潜水士 | 潜水士 | 73.2 | |||
(玉掛) | 昭和53年10月以前にクレーンや移動式クレーンの免許を取得していた人が現在の労働安全衛生法による免許証に切り替えた際に、(玉掛)が併記される。今は、玉掛は同法の定める技能講習(吊上荷重1t以上の場合)の修了証が別途必要となる。 | ||||
特一圧作業 | |||||
導火線発破 | |||||
電気発破 | |||||
衛生工学 |
改正前の免許(旧) | 改正後の免許(新) |
クレーン運転士とデリック運転士 | クレーン・デリック運転士(※限定なし) |
クレーン運転士 | クレーン・デリック運転士[クレーン限定] |
クレーン運転士[床上運転式限定] | クレーン・デリック運転士[床上運転式クレーン限定] |
種類 | 試験科目 | クレーン・デリック運転士 | |||
範囲 | クレーン・デリック(※限定なし) | クレーン限定 | 床上運転式(クレーン限定) | ||
学科 | クレーン及びデリックに関する知識 | クレーン関係知識 | ○ | ○ | ○ |
デリック関係知識 | ○ | − | − | ||
原動機及び電気に関する知識 | ○ | ○ | ○ | ||
クレ−ンの運転のために必要な力学に関する知識 | ○ | ○ | ○ | ||
関係法令 | クレ―ン関係法令 | ○ | ○ | ○ | |
デリック関係法令 | ○ | − | − | ||
実技 | クレ−ンの運転 | クレ―ン | ○ | ○ | − |
床上運転式クレーン | − | − | ○ | ||
クレ−ンの運転のための合図 | ○ | ○ | ○ |
(注1) ○は科目・範囲が受験する科目・範囲。
(注2) 一定の資格等を有する方が受験する場合は、一定の科目が免除となる。
改正前のクレーン運転士免許、クレーン運転士免許[床上運転式限定]又はデリック運転士免許の所持者がクレーン・デリック運転士(※限定なし)を受験する場合は、クレーン関係知識・クレーン関係法令の範囲の免除、又は、デリック関係知識・デリック関係法令の範囲の免除の試験(限定免許解除試験)を受けることができる。
種類 | 試験科目 | クレーン・デリック運転士(※限定なし) | |||
範囲 | クレーン運転士 免許所持者 |
クレーン運転士免許 [床上運転式限定]所持者 |
デリック運転士 免許所持者 |
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学科 | クレーン及びデリックに関する知識 | クレーン関係知識 | 免除 | 免除 | ○ |
デリック関係知識 | ○ | ○ | 免除 | ||
原動機及び電気に関する知識 | 免除 | 免除 | ○ | ||
クレ−ンの運転のために必要な力学に関する知識 | 免除 | 免除 | 免除 | ||
関係法令 | クレ―ン関係法令 | 免除 | 免除 | ○ | |
デリック関係法令 | ○ | ○ | 免除 | ||
実技 | クレ−ンの運転 | クレ―ン | 免除 | ○ | ○ |
クレ−ンの運転のための合図 | 免除 | 免除 | 免除 |
(注)○を付した科目・範囲が受験する科目・範囲。
改正前のクレーン運転士(床上運転式限定を含む)又はデリック運転士の学科試験の合格者(その学科試験が行われた日から起算して1年以内のものに限る。)が、クレーン・デリック運転士(※限定なし)を受験する場合は、クレーン関係知識・クレーン関係法令の範囲の免除、または、デリック関係知識・デリック関係法令の範囲の免除の試験(旧学科試験合格経過措置試験)を受けることができる。
種類 | 試験科目 | クレーン・デリック運転士(※限定なし) | |||
範囲 | クレーン(床上運転式限定を含む)学科試験合格者 | デリック学科試験合格者 | |||
学科 | クレーン及びデリックに関する知識 | クレーン関係知識 | 免除 | ○ | |
デリック関係知識 | ○ | 免除 | |||
原動機及び電気に関する知識 | 免除 | ○ | |||
クレ−ンの運転のために必要な力学に関する知識 | 免除 | 免除 | |||
関係法令 | クレ―ン関係法令 | 免除 | ○ | ||
デリック関係法令 | ○ | 免除 | |||
実技 | クレ−ンの運転 | クレ―ン | ○ | ○ | |
クレ−ンの運転のための合図 | ○ | ○ |
(注1) ○を付した科目・範囲が受験する科目・範囲。
(注2) 一定の資格等を有する方が受験する場合は、一定の科目が免除となります。
平成18年4月1日以降に実施する試験について、旧名称の受験申請書が提出された場合は、新名称の受験申請があったものとして受付する。
安全技術センター | 所在地 |
北海道 | 北海道恵庭市 |
東北 | 宮城県岩沼市 |
関東 | 千葉県市原市 |
中部 | 愛知県東海市 |
近畿 | 兵庫県加古川市 |
中国・四国 | 広島県福山市 |
九州 | 福岡県久留米市 |