軽車両と道交法(雑学)
軽車両の定義
軽車両といえば、一般には「自転車」と考えられがちだが、厳密には「自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む)であって、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの」(道路交通法第2条第1項第11号)と定義される。
車両等 | 車両 | 自動車 | |
原動機付自転車 | |||
トローリバス | |||
軽車両 | 自転車 | ||
自転車以外の軽車両(馬車,牛車等) | |||
路面電車 |
軽車両の分類
具体的には次のようなもののことをいう。
(いずれの場合も、人が乗って運転している場合のみ軽車両という扱いになる。自転車・馬などから下りて引いている場合などは歩行者の扱いとなる。)
軽車両と道路交通法
自転車の定義は道路交通法第2条に「ペダル又はハンドル・クランクを用い、かつ、人の力により運転する2輪以上の車であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、総理府令で定める基準に該当するものを含む)と定義されている。
軽車両は、自動車、原動機付自転車、トロリーバスとともに、道路交通法では「車両」に含まれる。軽車両は路側帯を通行することができ、道路の左側端に寄って通行しなければならない。車両であるので、自動車と同様飲酒運転は禁止されている。
道路交通法第117条の2で、自転車の飲酒運転は禁止されている。違反すると、3年以下の懲役、又は50万円以下の罰金となる。現実には警察は大目に見ている。次の行為も違反として扱われ罰則が規定されている。ただ、道路交通法で、自転車または軽車両とある事項は自転車に適用されるが、実際には車輌とある事項の全てが自転車に適用される訳ではない。
下記に、軽車両に適応される罰則を記述するが、実際には運転免許証を必要としない自転車の運転では行政処分もなく、おとがめなしということが殆どのようだ。
【軽車両に適応される罰則】
自転車と青切符
自転車の場合、反則金制度がないため、「青切符」が交付されることはなかったが、2026年までに「青切符の交付」が実施される予定である。対象は16歳以上だが、16際未満であっても14歳以上であれば、赤切符の対象となり自転車運転講習の受講が科せられる可能性がある。
自転車と赤切符
酒酔い運転や酒気帯び運転などの飲酒運転、携帯電話を使用しながら事故につながるような危険な運転をした場合は、これまでどおり、「赤切符」が交付され、刑事罰の対象となる。「酒酔い運転」や「無免許運転」など重大な違反に対しては、免許停止や取消、刑事処罰になることもある。ただ、全国で「赤切符」などで検挙されても、その多くは起訴されず、罰則が適用されるケースは少ないようだ。3年以内に2回以上赤切符を交付された場合は、3時間の違反講習(6,000円)を受講する必要があり、受講命令に違反した場合は5万円以下の罰金が科せられる。
つまり、自転車の場合は1回赤切符を切られても、死亡事故や泥酔による飲酒運転などの重大なケースでなければ、裁判所に出向く必要はなく罰金も科せられない。
.電動自転車(電動アシスト自転車)とは
.坂道などで人間のペダリングを助けるモーターがついた自転車のこと。平成5年に登場し、「電動ハイブリッド自転車」、「電動アシストサイクル」、「電動自転車」とも呼ばれる。モーターはあくまでも補助なので、人間とモーターの力の比率は、1:1までと道路交通法で規定されている。つまり駆動力全体に対するアシスト力の比率は最大でも50%と制限されている。人力でこがない限り、自走しないことを意味する。実際には大きな力で踏み込めば大きなアシスト力がかかり、実感としてはかなり坂道が楽に登れるようになる。アシストモードをOFFにして違いを実感すれば、アシストの偉大さが体感できる。実際には、左(後輪ブレーキ)を軽く握れば、充電モードとなり、ダイナモがエンジンブレーキとなる。こぐ時にはアシストモードに切り替実際には、左(後輪ブレーキ)を軽く握れば、充電モードとなり、ダイナモがエンジンブレーキとなる。バッテリーが充分充電されない場合は、家庭用のコンセントで外したバッテリーを充電することもできる。
スピードの出過ぎを防ぐために、時速15km/h以上になると、電動モーターによるアシスト率が徐々に下がり、時速24km以上ではアシスト率は0%になるように道路交通法で規定されている。つまり時速24km以上では人力のみでで走ることになる。この点が原付と決定的に異なっており、要は時速24km/h以上ではモーターの補助がなくなるように設計されているのである。原付のエンジンのように動力を与え続るものでないので運転免許は不要である。
電動アシスト自転車と道路交通法
以前は、電動アシスト自転車の中にペダルをこがなくても自動的に走る機能が付いているものがあった。フル電動自転車という名称で販売されており、アシスト走行とフル電動走行の切り替えがスイッチ1つで可能なものである。アシスト走行時は自転車として、フル電動走行時は原付として走るというものである。取扱説明書には、「フルオートドライブを使用しての公道走行はおやめください」、「公道走行はペダルモード・アシストモードでご利用ください」、「公道を走行する場合は、電源を切ってお乗りください」など公道でも使用可能であることを示す記載がされていることが多い。つまりフル電動走行は私有地使用に限り、公道に出る時はアシスト走行として自転車として乗って下さいと謳っている。道交法や道路運送車両法では、自走機能があって、人がこぐよりも強い動力を持つ場合は原付(または自動二輪)に該当するのである。法律上は方向指示器やナンバープレートがないため原付としても公道では使用できないという。
◆電動バイク(スクーター)
電動バイクは、買い物や近距離通勤の顧客を対象に、排気量50ccの原付きバイクに対抗して販売された。原付に比較して手軽で、免許なしで公道を走れると謳っている場合もあるが、実際には原動機が内燃機関(エンジン)ではなく電動機であっても、
定格出力が0.6kW以下は原付とされるのである (道路交通法第2条第1項第10号)。市町村にナンバー登録すれば公道走行することができる。したがって、道路交通法ならびに道路運送車両法上の原付に該当する基準を満たしていなければ公道を走ることはできない。
◆電動カート・電動車椅子(電動三輪車・四輪車)
電動三輪車は道路交通法上、身体障害者用「車椅子」であり、歩行者として扱われる歩道のある場所では歩道を、歩道のない場所では道路の右端を走行する。シニアカーは6km/hの歩行補助具で9km/hを越えないような構造になっている。シニアカーは道路交通法上は歩行者として扱われ、歩道を走ってもよい。病院やスーパーマーケットなどにそのまま入ることができる。現在年間3万台程度が販売されているが(届出義務がもないため、実際にはこれ以上普及しているものと思われる)利用する高齢者はクルマや原付バイクの感覚で利用しており、本来は車道走行が許されていないにも関わらず、クルマと車線を並走していることも珍しくない。
◆電動キックボード・電動スクーター(スケーター)による事故
最近、キックボードにモーターを組み込んだ「電動モーター付きスケーター」が若者に人気になっている。自転車感覚で免許不要、ヘルメット不要といったフレーズが人気を集めているが、自転車より速度が出て事故を起こすケースが生じている。兵庫県警では、平成14年9月、電動モーター付きスケーターを公道で運転し乗用車と衝突する事故を起こした運転手を道路交通法違反(無免許運転)の疑いで書類送検した。補助動力付きのスケーターを原付バイクとみなし、無免許運転を適用するのは全国で2例目。当局は事故を起こした電動モーター付きスケーターを任意提供してもらい分析した結果、モーター出力が定格出力0.6kWをわずかに超え、速度も運転免許不要のシニアカー(電動車いす)の上限値である9km/hを超えていることが判明した。このため原付バイクと同様に運転免許が必要であると判断。今回の書類送検を決めたという。なお道路運送車両法と道路交通法を厳密に適用すると、今回事故を起した車両は軽自動車となり運転には普通免許が必要だが、そこまで杓子定規なことは述べず、当面は原付とみなすようだ。
電動式のモーターにより走行する「電動スクーター」や「電動式キックボード」は、 道路交通法並びに道路運送車両法上の原動機付自転車に該当する。原動機が定格出力が0.6kw以下が原動機付自転車とされている。(道路交通法第2条第1項第10号)よって原付免許が必要であるばかりでなく、次の義務が生じる。