エセ日本一周旅行
 藤本ら3名は、96年8月18〜25日にかけて、主に青春18切符を利用し、かつ1日を除けばホテル・旅館等には泊まらないという貧乏な「エセ」日本一周旅行を敢行しました。「エセ」な理由は8日間を見てもらえれば分かるでしょう。とにかく電車内が多くて退屈した時期もありましたが、総括するととても面白かったです。これはその8日分の旅行記です。
 メンバーの1人が、もっと面白く書いてくれています。こちらも是非見て下さい。


青春18切符
 JRが春・夏・冬の学生が休みになる期間にあわせて発売している切符。別に18歳でなくても、60歳でも10歳でも利用可(ただし子供料金は存在しない)。
 この切符では、1日中JR全線の普通列車(快速も含む・快速等の「指定席」は、別途指定料金(500円)を払うことで利用可能・特急、急行は利用不可)と、広島の宮島航路を利用することが出来る。1枚(11300円)で5回又は5人が利用可能なので、実質的には1日2260円だけでどこまでも行けるのである。
 以前は、大学生協等で5回分をばら売りしていたが、96年2月14日付で切符の様式が変わり(内容は変わっていない)、ばら売りは不可能になった。このことには反発が多い。


<8/18・1日目>出発の日

 3人で行くと言ったが、初日は他の2人は京都からで、俺だけ広島からの合流。2人は京都を6時頃にでる列車で来るのだから大変だろう。でも俺も前日に高校時代の友人と広島市民球場に広島vs中日を見に行っていて、あんまり寝ていないのだ。だから大変さは一緒!(じゃない)。
 今日の目的は「九州上陸」本当にそれだけである。だって九州に行くといっても、小倉まで。まさに、「エセ」日本一周なのだ。行っただけでは面白くないから、せめて夕飯くらい食べようということになったのだが、これがハズレ。520円のチキンカツ定食だから仕方ないか。いくら時間がなかったとはいえ、もう少しお店探しをしっかりするべきだった。いいおばちゃんだったのだが・・・。
 さて、益田に着くと早速駅で寝ようかと思ったが、事前の調査の結果のごとく、駅は閉鎖するとのこと。仕方なく、近くの「辻の宮公園」とやらを探すが、これが意外と見つからない。1時間くらいぶらぶらする。ぶらぶらして気づいたが、益田の人は早寝である。駅前の一部の店舗以外は商店・民家に関係なく11時で既に電気がついていないのだ。
 ようやく公園を見つけたのだが、公園とは名ばかりのただの無人の神社。しかしちょっとした小屋みたいなところがあり、下が板になっていることだし、ここで寝ることを決意する。時計の針は既に翌日を示していた。

1日目利用列車
京都 発 6:07
姫路 着 8:22
   発 8:41
糸崎 着 11:35
   発 11:36
広島 着 12:44
   発 12:56
下関 着 16:50
   発 16:58
門司 着 17:04
   発 17:13
小倉 着 17:19
   発 18:01
門司 着 18:07
   発 18:41
長門市着 20:59
   発 21:02
益田 着 22:59 (通過地域 京都,大阪,兵庫,岡山,広島,山口,福岡,島根 ここまで8府県)


<8/19・2日目>初風呂の日

 朝4時15分。始発に乗るために早起きをせねばならない。寝るときは暑かったので寝袋なんて無用だと思っていたが、起きるときは寝袋の中でちょうど良い程度であった。
 始発列車の車中にはほとんど誰もいない。同業者と地元の人が一両に5人ずつ位だろうか。列車が走り始めると朝日がさし始める。するとどうだろう。美しい山陰の漁村が北面に浮かび上がる。他の2人はカメラをかまえてシャッターをきる(俺は持ってきていない)。最高の日の出だ。
 こういう貧乏旅行ではお風呂の確保は大切。本日は城崎温泉につかる。俺はまずまずだと思ったが、連れの1人のお風呂通によるとちょっと物足りなかった模様。
 ご飯もいつも弁当とか外食にするとお金がかかる。ので、今日は東舞鶴駅前のスーパーで買って食べる。滋賀県にはびこる平和堂のマークをつけていたが平和堂ではなかったことは覚えている。俺は野菜中心に採ったが、3人の代表であるS(実は時刻表が読めないのだが・・)はから揚げ中心の「濃い」食事。こいつは翌日も秋田県の酒田駅前のジャスコでビールと揚げ物中心の濃い食事を採ることになるのだが・・・。
 しかしまあ、城崎以外はとりたてて観光するわけでもなく、電車が退屈になってくる。しかし終点が近づくとあわただしくなる。翌日との関係から福井〜芦原温泉間で寝なければならないのだが、福井では駅で寝かせてもらえるかどうか、議論になる。列車は福井で15分停車。この間に駅を降りて待合室を探すと、駅西側に俺達にとっては理想的な待合室を発見。ここを寝床と定める。
 がしかし、もはや福井以東の普通列車がなくなった夜11時に、その待合室が閉められてしまう。閉鎖の際、Sが「日本海」に乗って「青森」に行くために駅にいさせて欲しい、と駅員に頼んだみたい(他の2人が不在)で、他の2人は知っていたのだが、もうその時間(11時10分頃)には大阪行きの「日本海」しか残っていないのにそんなことを言ったので駅員にいろいろと詰問された。が、なんとか(夜間の寝台列車の)写真を撮りたいと頼み込むと、駅のホームの中であればOKということになり一安心。福井駅2・3番線に寝袋3つが並んだ。

2日目利用列車
益田 発 5:06
米子 着 9:14
   発 9:25
鳥取 着 10:50
   発 11:12
浜崎 着 11:56
   発 12:00
城崎 着 13:15
   発 14:57
福知山着 16:28
   発 17:00
園部 着 17:12
   発 17:14
東舞鶴着 17:51
   発 18:29
敦賀 着 20:37
   発 21:43
福井 着 22:35 (通過地域 鳥取,島根,兵庫,京都,福井 ここまで計10府県)


<8/20・3日目>最もつらい1日

 朝起きた。寒い。寒すぎる。蚊に刺されている。まずはふるえながらの出発。
 しかし今日は北に向かうための「移動日」の色彩が濃いいので、本当に退屈。みんな好き勝手に眠って、不快をあらわにする。
 ただ、この3日目に入ってつくづく感じ始めたことは、東京をはじめとした、都会と先進国としての日本はまだまだ一部分に過ぎないということだ。こんなに単調に、広々と田んぼが広がっているではないか。日本の本来の姿が田んぼにある、そう感じ始めたのである。
 単調な旅には出会いのみが新たな刺激を与えてくれる。村上で同席した25,6の男の人は翌日からの「山伏修行」に出かけるとのこと。
 そうそう、村上のちょっと先で見た、海に沈んでいく夕日、とても美しかった。水平線の彼方に日没する瞬間までずっとみておれたのは、俺は生まれて初めてだったのでなおさら感動した。
 このころになると大きな駅では駅寝出来ないことを悟り、大久保という夜間の無人駅で駅寝。ここの2番線待合室は内部から完全に鍵をかけれて良かった。

3日目利用列車
福井 発 6:20
高岡 着 8:26
   発 8:58
直江津着 11:27
   発 12:18
長岡 着 13:49
   発 15:23
村上 着 18:15
   発 18:19
酒田 着 20:28
   発 21:00
大久保着 23:22 (通過地域 石川,富山,新潟,山形,秋田 ここまで計15府県)


<8/21・4日目>函館の夜景

 いよいよ本格的な観光に入る。今日は函館。函館駅に着くと各々別行動で函館市内を巡り歩く。
 五稜郭やトラビスチヌ修道院などに行ったり、温泉に行ったりした。いろいろ言いたいことはあるが1つ。トラピスチヌ修道院は観光地にすべきではない。何もない。ただの修道院。そこにあんなに団体で行ったら、修行者がかわいそうだ。
 夜は再び3人でまず食事して、函館山へ(意外と函館の夜は食べるところがないから注意)。函館山に登るとき、山頂には霧が立ちこめていて「下界」の景色はあまり見えず。あきらめて帰ろうとしたそのとき、だんだんと霧が晴れ始める。歓声が上がる。なるほど、「新日本百景」とやらでNo,1になっただけはある。海の船の光から街中の光まで、様々な光が、函館独特の海を基調とした地形と合わさって、最高の夜景が演出される。派手さだけなら神戸が上かも知れないが、その総合美においては、確かにNo,1だ。
 大満足で函館山を下りる3人だが、当然今夜も寝るところがない。福井、秋田ですら寒かったのに、函館では・・・。そう考えたとき、「船」というひとつのアイデアが浮かんだ。早速港へ。しかし、港は昔の青函連絡船のあった函館駅そばでなく、五稜郭のずっと西北西にあるらしい。18切符を使って五稜郭の駅までは行ってそこから徒歩で向かうが、JRの線路を渡る踏切や陸橋の類がなかなか見つからず、あちこちと歩き続ける。やっと場所が分かったと思ったら、雨が降り始めてやむなくタクシーで港へ。
 4時間もの航海をする船には3人ともはじめてのりこむ。船の名は「べら」。なんか笑える。ベムはないのだろうか。このころ、代表Sが地道に「駅スタンプ」を集めているのを発見。なんと「べら」のスタンプも押していた。
 2等客室は雑魚寝。しかし学割1120円はなかなかお得。タクシー代を考えても、限られた期間で旅行しなければならない、しかも寝るところのない3人にとっては十分満足のいく船旅となった。

4日目利用列車
大久保発 6:08
青森 着 9:34
   発 9:39
函館 着 12:29 (通過地域 秋田,青森,北海道 ここまで計17道府県)


<8/22・5日目>向山のユースホテル

 本当ならこの日は「恐山」に行くはずだったか、雨の心配が大きかったので予定を変更し、五能線を走る「ノスタルジック・ビュー・トレイン」(しかも指定席・・・といっても500円)に乗り込み、ちょっとリッチな気分を味わう。幸い、雨は降らず、まずまずの景色を楽しむことが出来た。
 夜は今回唯一のベットでの睡眠となる、向山の「カワヨグリーンYH」での宿泊。3人のうちの1人、Iが昨年宿泊した際にとても気に入ったそうで、泊まることになった。残念ながらこの日は夕食時に6人しか一般客がおらず、楽しみにしていたいろいろな人とのお話は実現できなかったが、夜9時にはお茶の時間として、特製のハーブ・ティーがでたり、また、素晴らしい露天風呂があったり、早朝は絞りたての牛乳が飲めたりと、本当に楽しく時を過ごすことが出来た。

5日目利用列車
東日本フェリー「べら」乗船
函館 発 1:00
青森 着 5:00
JR線
青森 発 7:20
大館 着 8:43
   発 9:17
東能代着 10:02
   発 10:20(臨時列車 ノスタルジック・ビュー・トレインに乗車)
川部 着 14:36
   発 14:52
青森 着 15:47
向山 着 17:02 (通過地域 北海道,青森 ここまで計17道府県)


<8/23・6日目>18切符で東北新幹線乗車可能!?

 前日からの雨がいよいよ本格化した。朝、はじめて傘をさす。この日も3日目に負けず劣らずの強行日程で、1日のうちに青森から新宿発の夜行に乗り込むまでをこなすのである。さぞかし退屈だろうと思っていたが、夜、ついに雨が本降りとなり、退屈どころではない騒ぎとなった。
 なんと列車がストップしたのである。
 3人は新白河駅で1時間は足止めされた。このままいつまで足止めされるのだろうか、旅行日程はどうなるのか、いろいろ相談しているときに車内放送。
 「18切符を含めて、動いている新幹線にて先にに進めます」とのこと。
 遂に我々は18切符で新幹線に、合法的に乗り込むという快挙を成し遂げたのである。ただ、残念ながら18切符での乗車可能区間は新白河〜宇都宮のみ。先を急ぐ3人は、各々3010円というお金をはたいて、宇都宮〜大宮間は特急券と乗車券を買って新幹線に乗車したのである。
 さて、いままで田舎をまわってきて突然東京に来ると、やっぱり人の多さにギャップを感じる。益田では11時を過ぎるとほとんど誰にも会わなかったが、新宿駅には人がわんさかいた。そして、3人が乗ろうとしていた臨時快速にも長蛇の列。これは朝まで座れないかも、と思ったが、俺以外は始発から座ることが出来たし、俺も八王子では座席に着くことが出来たのである。いよいよ信州だ。

6日目利用列車
向山 発 9:02
八戸 着 9:20
   発 9:42
盛岡 着 11:26
   発 12:00
一ノ関着 13:40
   発 14:44
仙台 着 16:31
   発 16:39
福島 着 17:59
   発 18:45
黒磯 着 20:40(予定)→実際は 新白河 20:30頃着
   発 20:44(予定)         21:57 発(あおば210)
赤羽根着 23:24(予定)     大宮  22:58 着
   発 23:35(予定)         23:00 発(埼京線)
新宿 着 23:49(予定)     新宿  23:39 着
新宿 発 23:59(入線23:50)
 (通過地域 青森,盛岡,宮城,福島,栃木,茨城,埼玉,東京 ここまで計24都道府県)


<8/24・7日目>美ヶ原と野辺山

 3人はまだ4時にもならない時間に上諏訪駅で下車。その意図は、ずばり、駅にある露天風呂(無料・6時〜)に入ること。ちょっと待合室で眠って早速入浴。ちょっと小さくて、風呂としては快適とは言い難いが、すぐ15mそばに特急列車が走っている音がすると、なんか妙な趣があって面白い。
 無事松本に着くと即レンタカーを借りる。当初は上高地に行く予定だったが、一番上までは車では上がれない、と言うので、美ヶ原に変更。朝10時には頂上、標高2000mの地点にたどり着いた。
 残念ながら昨日からの雨の影響か、霧があたり一面を覆っている。しかし、霧と雲とが作り出す独特の景色のハーモニーは、きっと晴れた日の美ヶ原とはひと味違った「味」を出してくれたことと思う。
 で、折角頂上に来たし、郵便局があるし、ということで絵はがきを買って友人にいろいろと手紙を出すことにする。でも絵はがきの景色を見て愕然。晴れの時の景色の雄大さ。これを生で見られないのは悔しかった。
 その後、松本市内をちょっと観光して、Iが昨年の夏、バイトしていたという野辺山に向かう。JR野辺山駅近辺は標高1875mのJR全線で最も標高の高い地点である。しかし、着いたのが夜8時半だったのでいろいろ見るのは明日に。もし晴れていたら夜空がこの上なくきれいだそうだ。なんと言っても世界最大級の天文台もここにあるのだから。

7日目利用列車
新宿 発 23:59(8/23・前述)
上諏訪着 3:51
   発 7:41
松本 着 8:17
以後、レンタカーにて移動
 (通過地域 東京,神奈川,山梨,長野 ここまで計27都道府県)


<8/25・8日目>メルヘン街道

 朝。寒い。寒すぎる。この日のうちに暑い暑い京都に帰るのだが、昨日から美ヶ原といい、野辺山といい、滅茶苦茶寒い。おそらく、朝は10度を切っていたのではないだろうか。雨は降らないものの、あいにくの曇り空で、野辺山は十分には楽しめずに松本に戻ることとなった。
 松本と野辺山の間は結構遠い。そこで帰路を工夫しようと思い、国道299号線に「メルヘン街道」との名前が付いているので、ここを通ってみることにした。
 メルヘン街道は最頂部の麦草峠のあたりで標高2200mを越えるところで、これまた景色のいいところである。しかし峠にさしかかるまでは、霧は晴れないは、カープは多い(カーブに番号が着いていて、東から峠までで60以上あったと思う)はで、最悪だったが、峠にさしかかるあたりから晴れてきた。そして、峠よりやや西側の標高2000mのあたりに小さな展望台があるのを発見。早速上ってみると、これが絶景。遠く日本アルプスまでが見渡すことが出来、また、最初が霧と雲によって出来た湖のような風景、しばらくすると霧の晴れた絶景と、2段階の景色を楽しむことが出来て本当に良かった。
 こうして、3人は、京都・・・そこはまだまだ暑いところ・・・へ戻っていったのである。特に信州には、もう一度、今度は晴れたときに行くことを誓って。

8日目利用列車
午前中はレンタカーにて移動
松本 発 14:05
中津川着 16:33
   発 16:37
名古屋着 17:55
   発 19:15
米原 着 21:27
   発 20:17
京都 着 21:25 (通過地域 長野,愛知,岐阜,滋賀,京都 ここまで計30都道府県)


※尚、既にJR各社のダイアは変更されています。
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