画像補正の基本操作(その2)

作成:10.18.2003
改訂:06.08.2006
対応Photoshopバージョン:7.0以上




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ここではPhotoshopの画像補正の機能について、基本的な機能を実習しながら紹介します。


もくじ

画像をシャープにする

少しピンぼけの画像は、[フィルタ]→[シャープ]にある次のフィルタを使用します。

  • アンシャープマスク...
  • シャープ
  • シャープ(強)
  • シャープ(輪郭のみ)

このうち、写真のピンぼけ補正などでもっともよく使われるのは、「アンシャープマスク」です。
略称でUSMとも呼ばれるこのフィルタは、シャープにする境界の値(閾(しきい)値)と、その適用半径を細かく指定できることで、他のフィルタに比べて滑らかな感じで画像をシャープにできます。

  1. 適当な画像ファイルを開きます。
    象(でかく見えるがほんとうはこども(ロケ地:東山動物園(名古屋市)))ですが、若干ぼやけた感じになってしまっています。



  2. [フィルタ]→[シャープ]→[アンシャープマスク...]を選択します。
    次のようなダイアログボックスが表示されます。

    ・「量」=コントラストの増加量。プリントアウトする場合、マニュアルでは150 〜 200 %が推奨されています。
    * 「半径」=適用半径。マニュアルでは、 プリントアウトする場合、1 〜 2が推奨されています。
    * 「しきい値」=適用する境界のレベル差。レベルの差異が指定された値をこえたところだけにシャープがかかります(0だと全体にかかってしまう)。マニュアルでは2〜20の値が推奨されています。




  3. 試しに、量:150、半径:2、しきい値:0でみてみます。画像は全体的にシャープになっているのがわかります。



  4. こんどは意図的に、しきい値:50にしてみます。これによって、適用されるレベルが変化したため、先ほどとは状態が変わります(今回の場合、シャープになる範囲がほとんどなくなったように見える)。



  5. 最後は、量:150、半径:2、しきい値:2で適用してみました。若干、「量」が多い感じがしますが、まあこんなところでしょうか。



    ヒント:PhotoshopCS2以上では、アンシャープマスク(USM)よりもさらに詳細な設定ができる「スマートシャープ」フィルタがあります。
    これは[フィルタ]メニューの[シャープ]から[スマートシャープ]を選択します。

    スマートシャープのダイアログボックス。
    USMにはない「詳細」、「除去」といった項目があります。
    「詳細」をクリックすると、「シャドウ」「ハイライト」のパレットが出現します。

    「詳細」表示で「シャドウ」を開いたところ。
    画像の暗い部分を中心にしてシャープ量を調整することができます。
    「ハイライト」は同様に画像の明るい部分を中心にします。

    *「除去」では画像をシャープにするためのアルゴリズムを選択できます。ちなみにUSMでは「ぼかし(ガウス)」が使われています。



トーンカーブを操作する
[イメージ]→[色調補正]→[トーンカーブ...]は、一見、わけのわからないグラフのようですが、コントラストや明るさ、あるいは色みの補正ができる便利なものです。「自動レベル補正」に慣れてきたら、ぜひ使ってみてください。

  1. 適当な画像ファイルを(RGBモードで)開きます。
    写真は、「箱根彫刻の森美術館」(ロケ地:箱根)にある「弓をひくヘラクレス」です。



  2. [イメージ]→[色調補正]→[トーンカーブ...]を選択します。
    表示されるグラフのまんなかあたりを上方向にドラッグして、上側にゆるいカーブを描くようにしてみます。


    画像は全体的に明るくなります。


  3. 今度は逆に、グラフのまんなかあたりを下方向にドラッグしてみます。


    画像は暗くなります。


  4. このトーンカーブ、チャンネルごとにも適用できます。今回はRGBモードでの画像なので、レッド、グリーン、ブルーの3つのチャンネルそれぞれで操作できることになります。
    試しにレッドチャンネルのトーンカーブを、図のように、下げるよう操作してみます。


    レッド=赤色の成分を引っ込めた、という状態になるため、グリーンとブルーが相対的に多くなり、画像は青みがかります。

    つまり、逆にレッドのチャンネルでグラフを上げると、青みが抑制されることになります。

    いろいろと試してみてください。


    トーンカーブは、以上のように、明るさや色みについて細かな操作が可能です。
    ここではグラフ上にポイントをひとつだけ作って操作しましたが、実際には複数の点を追加(削除はDeleteキー)して、コントラストを調整することも可能です。


  5. 別の適当な練習用画像を開きます。
    写真は、鎌倉の長谷寺にある大黒様です。



  6. [イメージ]メニューの[色調補正]から[トーンカーブ...]を選択します。
    グラフの下部分で下方向へ、上で上方向にドラッグして、ゆるいS字を描きます。



  7. 暗いところはさらに暗く、明るいところはさらに明るくなるため、コントラストが強くなります。



出力解像度を変更する
Webデザインなど、画面上で画像を扱う場合はそれほど意識する必要はありませんが、いざ、紙に印刷するとなった場合、出力時の解像度をよく考えなければなりません。
  1. 適当な画像ファイルを開きます。
    ここでは素材集、「素材辞典フォトバイブル20000」から、ひとつ素材写真を開いてみました。



  2. [イメージ]→[画像解像度..]を選択します。
    現在、この画像で設定されている、解像度の情報が表示されます。
    この素材ではドキュメントのサイズが「72」(pxel/inch、dpiとほぼ同じ意味)となっていますが、この解像度のまま印刷すると、まず間違いなく、写真はぼやけた印象になります。



  3. ぼやけた印刷を防ぐには、解像度を高くする=解像度の数値を大きくして、印刷時の情報量を増やす、ということになります。
    ここでは、解像度を「150」に設定してみます(実際の商業用印刷物では350程度の値が用いられます)。このとき、「画像の再サンプル」のオプションはチェックを外します

    幅と高さのサイズは自動的に調整されます。解像度を高くした場合は、いわば情報をぎゅっと押し込める感じになるため、小さくなります。実際の印刷ではこれも考慮する必要があります。



  4. [OK]ボタンをクリックして完了です。
    画面上のピクセル数は変更されませんので、見た目ではなんら変化はありません。



  5. ヒント:市販されている素材集の中には商業用印刷での使用を前提として、あらかじめ350pixel/inchの高解像度でデータが作成されているものもあります。
    素材集をお買い求めになるときは、そのデータの使用目的(Web用か印刷用かなど)を考慮してください。


★今回のまとめ★
Photoshopは画像の補正において、非常に強力な機能を持っています。
今回は次のような基本操作を実習しました。





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