ブラピとブラビ

 なんでも最近は、俳優のブラッド・ピットのことをブラピというらしい。年末新聞の雑誌広告を見ていると、このブラピについての記事が書かれていた。
 別の日、今度はテレビ欄を眺めていると、「ブラビ云々」という記事に目が止まった。
  「ああこの間のブラピね」と思っていると、違った。
 こっちはウッチャン・ナンちゃんがやってる番組の中のグループのことらしい。結局後で、ブラックビスケットというグループを略して「ブラビ」ということが分かった。

 そういえば最近の雑誌やテレビでは、よく人の名前を略してるように思う。木村拓也を略して「キムタク」、豊川悦司を略して「トヨエツ」など。よく考えてみると、別に最近だけじゃなく、古くは阪東妻三郎を略して「阪妻」と呼称していたし、略す言い方は最近だけではないのだろう。
 でも最近の略し方にはどうもなじめない。自分があまりテレビや雑誌などを見ないため、そうした情報にうとくなっているからだろうか。

 違う気がする。昔と今とでは略し方に大きな違いがある。つまり省略の方法が違うのだ。
 人の呼称を省略する歴史を考えてみると、昔の(室町時代や江戸時代)の貴族や武士の日記をみても、同じような略称は見られるから、名前を省略すること自体は古くからある。もうこれは日本の伝統といってもいいかもしれない。(笑)
 今と違って、ニックネームなどない時代だから、名前を省略することがある種のニックネームのような働きをしたのかもしれない。
 しかしこの略称方法、昔の略称は漢字で表記した名前の中から、名字の部分から一文字、名前の部分から一文字を抜き出し略称とする場合がほとんどで、(例:豊臣秀吉なら豊秀、織田信長なら織信などである。)表記のための省略である。(じっさい省略して呼んだかどうかは分からない。あたりまえですが・・・)

 しかし現在の略し方は、表記よりもヒアリング・語感が重視されている。その結果、名前を語感で切るもんだから、漢字の割り当てができず、やむなく「キムタク」「トヨエツ」となってしまうのである。

 これからもこんなカタカナ表記の略称たくさん出てくるんだろうな。


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