7桁化のなぞ

 今年も年賀状を出すのが遅れてしまった。毎年「今年こそは・・・」と思うのだが、年末が近づくにつれいつものペースに。そして今年は、ついに年賀状作成にソフトを使ってしまった。

 何かを書くときには、ほとんどコンピュータを使い、いまや私にとって手書きというと、年賀状くらいしかなかったのだが・・・
 ところがその年賀状ソフトを使ってみて、これまで使いもせずバカにしてたのだが、その便利さには驚かされた。郵便番号を入力すれば、住所の大半が変換されて出てくる。その逆もできる。その上、この2月からは郵便番号が7桁化されるが、今の5桁から7桁の変換も一発でオッケー。「ほう、さすがにソフトも進歩したもんだ」などとえらそぶったものの、実際はもっと早くに知っていればと、少々悔しくも思った次第である。
 便利なことが分かると、どっかケチをつけたくなるのが人情ってもので、色んな使い方をしてみて、難癖つけるとこを探してしまったり・・・もはや本来の仕事である年賀状作成はどこへやら(笑)
 結局大したアラもみつからず、そうこうして遊んでいるうちに時間は経ち、はっと気がつき、ようやく本業の年賀状作成に戻り、京都の住所を入力し始めたのだが・・・
 なにげなく京都市内の住所を郵便番号から入力していると、とんでもないことに気がついた。

 そのソフトでは、郵便番号を入力すると、京都市からはじまり、区・町までが自動で入力され、あとは番地と相手の名前さえ入力すればよいものだった。最初は気づかずに入力していたのだが、よく見てみると大事なものが抜けているのだ。そう、京都の人に一度でも手紙を出したことがある人なら知っている筈の、「○○通り○○上がる」といった通り名による住居表示がないのだ。郵便番号を入力すると、行政区に続きいきなり町名が入力されるのである。「上京区○○町」、「下京区○○町」といった具合にである。

 これはえらいことである。京都の人は通り名による住居表示を日常的に使っている。また通称と言うだけでなく、住民票なんかにもちゃんと書いてある。まあそんな形式ばったことは置いとくとしても、まず第一に郵便配達の人はどうするんだ、それとも郵便局の人は町名を全て知ってるのか?
 「こりゃソフト会社の大ミステイクだ!」と思っていたのだが、調べてみるとどうやらそうではなさそうである。

 よく見てみると、このソフト会社は、郵政省が提示した「新郵便番号」制度に基づいていただけなのである。しかしこの新郵便番号、本当にこれで大丈夫なのだろうか。
 なんでも郵便番号7桁化は「郵便物をできるだけ早くお届けするため」のものらしい。
年末には新しい郵便番号帳『ぽすたるガイド』が届いたが、京都に関する限り、あれでは郵便が出せない。特に京都に住み、現在の京都の住居表示に慣れている人は苦労するだろう。なんせいきなり町名なのである。

 京都では、南北の通りと東西の通りの交差点を基準に、そこから東西南北どちらへ進むかを表記するのである。しかも「鍵屋町」とか「菊屋町」とか同じ名前の町名がいくつもあるのだ。その数も半端じゃない。なんってったって『ぽすたるガイド』の巻末には「京都市の同一町域名」がついているくらいである。制度の概要を先に決め、それから全国を当てはめていったからこうなったんだろうな。まあ郵政省の官僚方にとって京都の住居表示の特殊性など、どうでもよいことなのかもしれないが・・・

 私の予想では、京都に関する限り、新制度では誤配が続出すると思う。ある意味でこの制度が京都ではどうなるのか、すごく楽しみではある。
 先日、新聞を見ていると、東京の武蔵野市がこの郵便番号制度に協力しないことを決めたとあった。ちょうど気にしていたことだったので、英断だと思うと同時に、京都以外からそうした声があがったことに驚いた。
 2月2日が楽しみである。



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