空き地と駐車場

 バブル景気の波は、いやおうなしに京都にも押し寄せた。市中の町屋が壊され、しゃれたビルやマンションに。美しい家並みが所々ビルになったり、空き地になったりしている。 そしてバブルが去った今、そうした空き地は、多くが駐車場になっているのだが・・・

 先日、中京あたりを歩いていた。櫛の歯が欠けたように、空き地が目立つ家並みをみながら、多少落ち込みながら。
 そんな折り、ふと空き地の一つに目をやると、そうした空き地が「タ○ム24」という、自動式の駐車場になっているのを見た。車を止めしばらくすると、停止板が上がり、駐車料金を支払わないとその板が下がらないというやつである。
 本来なら周辺の土地と併せてマンションかなにかが建設される予定だったのだろうが、バブルが去った今、そうした計画は進行しないだろう。かといって土地を遊ばせておくわけにもいかない。多分土地の所有者か、開発に関わった不動産業者かが資金回収の足しにとやっているのだろう。

 でもその駐車場は傑作だった。なにがって、駐車できるのはたった1台なのである。立地条件が良く、人気のある駐車場で、空きスペースが無いというのではない。もともと駐車できるスペースが1台分しかないのである。

 ご存じのように京都の屋敷は「うなぎの寝床」ともいわれるように、奥行きの深い敷地が多い。その駐車場は、そんな京の敷地に作られているのである。でも駐車場を知らせる看板や小銭を両替するための両替機はちゃんと取り付けられている。通りから見れば、そこの奥には少なくとも何台かは留められるスペースがあるように見える。でも留められるのはたった1台なのである。
 いくら30分で200円の駐車料金とはいえ、常に満車(こういうのも変だが)ではなかろう。果たして1ケ月にどのくらいの「アガリ」があるのだろう。機械の電気代や維持管理の出費を考えると決して十分なもうけがあるとは思えない。まあ資金回収の足しにというんだろうから、もうけはなくとも構わないのだろうが・・・

 休みの日など、デパートの駐車場などは空待ちの車が並ぶ。デパートが集まる四条河原町など、河原町通りの四条から五条通あたりまでずらっと並んでいる。しかしさっきの駐車場で、空き待ちする車っているのだろうか?


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